見出し画像

GR自転車部 始動

#写真家が自転車に恋をして  #07

写真は自転車の喜びを、自転車は写真の楽しさを、深めて広げてくれると思うのだけれど、意外と両立するのが難しい

写真家が自転車に恋をして #01



自転車に写真が加わる喜び



カメラは他の趣味との相性が良くて、可能性を広げてくれます。
釣り、バイク、フィギュアなどのコレクション、旅行・・・、カメラとの関わりが想像しやすいです。
撮った写真をSNSでシェアすることで仲間が増えたり、思いを共有できる、というだけではありません。それだけならスマホで十分、いやそっちのほうが便利。
ちゃんとしたカメラで撮ろうとすると、光を読んで、耳を澄ませて肌で感じ、構図や露出を決めるために時間をかけて、被写体を観察して、濃密に関わるから、体験が心に深く刻まれる。

撮影というプロセスは擬似的な恋愛で、被写体を好きになる必要があります。いいところを見つけることから始まる。その魅力をわかりやすいかたちにしてヴィジュアルに定着するのが写真と考えればわかりやすい。
その瞬間、誰かの物語をなぞっていたのが、自分の物語になる。
シャッターごとに関わりが深くなっていく。

"Taking pictures is savoring life intensely, every hundredth of a second."
写真を撮ることは100分の1秒ごとに人生を激しく味わっている
Marc Riboud

写真家マーク・リブーの名言

自転車で訪れた場所、見た景色、出会った人、それらは記憶に残っていくだけでも十分だけれど、アルバムとして保存したり、ストーリーを編むように写真を選んで並べたり、そういったことでプラスの連鎖が生まれます。
絵が上手な人ならスケッチを、俳句が詠めればそれもいいけれど、写真はカメラさえあれば始められるので、自転車に乗るときカメラを持つのはおすすめ。


何気なくて、言葉にするのは難しい出会い。でもスマートフォンでは写しきれない、
そういうシーンを刻むためにカメラは有効なツール。



写真に自転車が加わる喜び



写真を撮るのに理想の移動手段は徒歩。肉体と心が完全に一体化している。ていねいに細かく動け、いつでも立ち止まれて、視線もブレない。
でも徒歩で移動できる距離は限られていて、「うーん、いまいちだな。なんか手応えがない」と思ったとき、ダイナミックな変化をつけるのが難しいです。

自転車は世界が更新される速さが最も写真的
映画が毎秒24コマで、それより多くしたからってスムーズで感動的にならないように、視覚にとって最適な速度があって、世界を写真的に認識するのに自転車の速さは理想にちかい。

面白い路地をたくさん撮ろう、この街のガイドブックを作るように写真を撮ろう、といったときに移動が楽なのもいいです。
例えば清澄白河に写真を撮りにいくとして、初めてだったら「素敵な街だって噂を聞いたけれど、意外と店が少ないんだな」と感想を抱く人が多いのでは。下北沢や吉祥寺と違い、有名な店がぽつりぽつりと点在していて、密集している道などがあるわけではないから、あとは路地裏などを散策して見つけるしかない。
さらにその周辺にも隠れた名店があって、富岡八幡宮がある門前仲町までカバーしようとするとそこそこ距離がある。それをぐるっと回るのに、バスだと小回りが効かないし、徒歩だと途中で嫌になるけれど、自転車だったら快適。
停めるところに苦労するかもしれないものの、自動車に比べればずっと楽。


すごくいい店だけれど清澄白河からだと距離がある
有名店で定番
散策の醍醐味


GRIIIは最強の自転車カメラなのか



じゃあカメラは何がいいかなって考えたとき、GRIII、GRIIIxは最初の候補だと思います。画質がいいのに小さくて軽い。
自転車仲間にはローライや8×10を持って走る人もいるから、軽くて小さいことが全てだとは思わないけれど、ライドの気持ちよさを妨げることなく、服やカバンはいつものものでも気軽に持てることは重要。

ミニマルなカメラなので、よりシンプルに10gでも軽く!というローディの気持ちにもよく合うはず。
メーカーがオフィシャルに「片手で撮れる」ことをウリにしているくらいで、起動からシャッターまで片手だけで操作できるのもいいです。ジャージのポケットに入れておいて、停車してすぐ取り出して、シャッターを切って、さっとしまえる。ふだんはレンズが格納されているから、キャップやカバーがなくても汚れにくいのもいい。
これくらいのサイズのカメラには珍しく、内蔵メモリがあってたっぷり撮れるので、もしメディアを忘れたりしても大丈夫。

弱点ももちろんあって、今の時代に標準仕様になりつつある防塵防滴ではなく、雨や汗への不安があり、バッテリーの持ちがよくないので、ヘビーユースにどれくらい耐えられるかわかりません。
レンズは単焦点で固定式ですが、マクロがあって、画質を犠牲にしてもいいならクロップも簡単にできるため、被写体に対する対応力は高いです。
チルト液晶がないため、自撮りをよくする人だとそこも不満かも。

凹凸が少なくて収納が楽なのもいい


自転車仲間が集まってGR tripを

リコーにはオフィシャルの企画でGR tripという、仲間を集めて応募するとリコーのチームが写真家を連れて来てくれる企画があります。
ぼくも高知と北海道に行きました。
全員がGRユーザーじゃなくてもレンタルを利用できますから、自転車仲間が集まって写真を撮りながらポタリング or ライドしたいって応募するのもいいのでは。




ここの路地の向こうまで、と思ったとき、自転車なら考える前に漕ぎ出せる。

三重の、何気ない路地
あと五分しかない、でも奥まで見たい、と思うと同時にペダルを漕いでいた。



A perfect shop for bicycle  #04


believe / サイクルショップ

浦安駅からほど近い、川沿いの静かなエリアにあるサイクルショップ。
ブロンプトンやタイレルなど、得意なのは小径車だと思うけれど、ガチのローディーも遠方から訪れるほど愛されている店です。
一度だけかんたんな整備をしてもらっただけですが、すごく雰囲気がよかったのでまた行きたい。

浦安は、東京から近いのに歴史を感じる建築物や路地があって、ネットに記事も多くあるため写真散歩を目的に訪れる人もいて、知り合いが撮影会を開催したこともあります。
でもがっかりする人が多いそう。川越や佐原みたいなところを期待してしまうんでしょう。見どころが分かりやすくまとまっていて、ここから撮るといいよってガイドブック的な場所があるわけではないです。
路地が入り組んでいて道を曲がるたびに発見があり、川沿いを歩く楽しさがあり、あさり丼も美味しいし、いいところだと思います。
交通量も多くないし坂もないから、カメラをたすき掛けして小径車で回るのがいいかも。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?