見出し画像

私の好きなアーティスト❤️

美術を志した理由はいくつかあるけど
勉強ができなかったというのが理由の6割を占めている。

私は小学生のころから勉強に才能がないことに気づいていた。
日能研に通っていた頃は毎週末テストがあり、どんなに文章をしっかり読んでも、理解できないし楽しいとも思えないし出来ないことをやろうとしても無意味だ、、。という思いを常に抱えていた。
もちろん塾のクラスは毎回最底辺。
懇切丁寧に説明をされても、理解する気が無いので全く頭に入らない。
これを解ければ良い学校に入れるんだけど!
と言われても良い学校に行くメリットを見いだせていなかった。

高校の頃は化学式が全く理解できず試験をボイコットして白紙で答案を返却したことがあった。
心配した化学の先生が個人面談を設けてくれ、なぜ白紙で提出したのかわけを訊ねてきたので「化学式は方式に則れば解が導き出されるというが、その法則がなぜ導き出されたのか理解できないので解く気がなかった」と返答したら先生が押し黙ってしまった。

このような私が学業に順応できるわけがなく
美大に行けなければFラン大学も厳しかったに違いない。
(そのせいで今は運転免許のペーパーテストに頭を悩ませているのだが)

話が脱線したが、ルールに則らずに生きれる方法として唯一選択肢に上がったのが芸術家だった。

ジェフクーンズという芸術家は、芸術家になる前はウォール街で投資会社を経営していた。
そこそこの業績を納めていた彼はアートも同様に売っていけば芸術家になれると確信し、芸術家になった。
後に彼は「私はセールスをしていた時と何も変わっていない。売るものが株からアートに変わっただけ」と言葉を残している。

彼は生存する芸術家の中で二番目か三番目の長者で大変人気のある作家だけど、彼の作品は吐き気がするほどナルシシズムと無意味さで溢れていて
彼の作品を所有するだけで富と名声と悪意ある皮肉を手に入れることができる。
そのようなブランディングを一代で築き、死してなお夢物語のように語り継がれるアートという世界はどこを見渡しても奇妙で愉快に映った。
なぜなら彼の存在自体が富裕層の欲望を象徴し卑猥でキッチュで、彼の作品が売れれば売れるほど、世の中が歪んでいることを可視化できる。

芸術家の多くは
作品を通して死生観などの哲学的思考、環境破壊への警鐘、社会的な構造の問題や、風俗的な抑圧の違和感など、見た目が難解になる程に内容が批評的で考察に富むものとなっている。
または「美」という尊い感性を研ぎ澄ます作家や、心を沈め浄化するような作品を作る匠も存在するが、彼の作品は批評する意味を失うほどしょうもないのだ。
私はそんな彼の底なしの悪意に心底惚れてしまった。
所詮は誰かの慰みものになるのがアートの運命であると思っている。
強烈な美はあまりの美しさに言葉を失うことがあるのと同様に
強烈な皮肉もあまりの底意地の悪さに言葉を失う。

勉強ができないことに悩んでいた私だけれども
悩んでいることがバカらしくなるほどに、
努力して極めた先の世界はこんなにもしょうもないのかと知ることができた。
全ての呪縛から解放された気分になった。

アーティストになりたければこうしなければならない
勉強はできなければならない
たくさんの努力をしなければ達成できない

そんな先人のアドバイスはそこまで耳を貸さなくて良い。
努力したところで待っているのは一体数億で取引される犬の糞のオブジェだ。
好きなことをやれば良い


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?