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全人代開幕! 中国共産党の全人代を真面目に解説


全人代とは?

簡単に言えば中国の国会であり、国家の最高立法機関です。

この中国の全人代で構成されるのは、省・自治区・直轄市・特別行政区の人民代表大会で選出された方や中国人民解放軍から選ばれた代表から構成されています。

現在は2,977名の代表で、日本の衆参合わせても約3倍以上の方々が
中国の立法機関にいるのです。

その方々が大きい議会に集まり、開かれる全人代はテレビの視聴者を
思わず食いつかせるほど、いい光景なのも特徴ですね!

全人代が開幕し、政府活動報告を読み上げる李強首相(5日、北京の人民大会堂)=宮崎瑞穂撮影

中国の第14期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の第2回会議で、李強(リー・チャン)首相が5日に実施した政府活動報告の要旨は次の通り。

【2023年の回顧】複雑極まりない国際環境下にあって、習近平(シー・ジンピン)同志を核心とする党中央の指導のもと、全ての民族・人民が団結した。外部からの圧力をしのぎ、内部の困難を克服した。

出典:2024/3/5 日本経済新聞 中国、2024年全人代の政府活動報告要旨

つまり中国の経済や政治、今後の日中関係や日米関係は
中国の全人代を知ることが求められます。

中国のトップは習近平国家主席であり、現在は3期目となります。

習主席はこれまで反スパイ法の改正や香港の一国二制度の導入をはじめ、
共同富裕を掲げ貧富の差をなくしたり、教育のコスト増から
学習塾の運営をなくしたりなど、様々な政策を過去10年成してきました。

もちろんその間、日米をはじめたとした欧米諸国との関係にも
変化はそれぞれありつつも、GDP第2位の経済大国の動向には
大国としての責任は常に問われ
ています。

今回は習近平主席-と李強首相体制が決まってから初の全人代であり、
李強首相の政府活動報告には国内外高い関心があるでしょう。

李強首相は上海で習近平氏を支えた側近であり、
経済重視としてテスラの誘致に務めてきたこともあります。

特に昨年の国際会議での場では、福島の処理水放出の一件で
難しい問題があっても、岸田総理と李強首相が若干、対立の温度を
下げ立ち話ができたことは強い魅力です。

今回の全人代ではいかにして中国国外の投資家を呼べるかが問われます。

国防大臣交代はできたが外相交代は?

昨年、二人の大臣が解任される結果となり、
いわゆる外交関係に課題がありました。

例えば日本の防衛大臣であるカウンターパートは
例年、中国の国防大臣となります。

日本側:岸信夫氏であれば中国側:魏鳳和氏となり、
日中が衝突しない抑止力となります。

しかし国防相が解任されたことで、現在の防衛相である
木原防衛大臣は誰と話せばいいんだ?というふうにポストの空白は
一大事です。

幸いにも国防相は海軍出身の方が後任に就任しましたが、
外相は未だ王毅氏が兼務の形となります。

香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは29日、オーストラリア政府が中国の王毅外相に対し3月後半のオーストラリア訪問を招請したと報じた。貿易問題などが話し合われるとみられる。

出典:2024/2/29 日本経済新聞 中国の王毅外相、3月後半に訪豪か 香港紙、貿易など協議

王毅氏は本来の業務は共産党内での外交の意思決定を握る立役者的な
ポジションであり、その下の政府の外交の顔や窓口的な役職の兼務
相当の負担がかかります。

ただ前任者の解任もあり、急に本来は後継として日本での大使勤務やアメリカでの大使勤務を経験した後に中国の外交トップを目指すルートが
まだ出来ていないことから、王毅氏が当分の間はイニシアチブを取っていたとも
考えられます。

しかしその役割も今回の全人代で終わるかもしれません。

王毅氏の兼務を終わらせ、王毅氏が本来の党の外交トップに専念し、
後継者は共産党の中央対外連絡部部長の劉建超氏が就任する見方があるからです。

この氏は最近、いろいろな要人との会談を積み重ねており、
近年は中国の要人としても注目されます。

特に訪米や訪露、さらに公明党の山口代表や大使の会談など
様々な場所で顔を出しています。

これが次期外相である見方が強い理由です。

【ワシントン=吉田通夫、北京=新貝憲弘】ブリンケン米国務長官は12日、ワシントンで、訪米している中国共産党中央対外連絡部の劉建超(りゅうけんちょう)部長と会談した。米国務省によると、ブリンケン氏は「台湾海峡と南シナ海の平和と安定を維持することの重要性を改めて強調した」という。13日投開票の台湾総統選を前に、中国が軍事的な圧力を強めないよう自制を求めたとみられる。

出典:2024/1/13 東京新聞「台湾海峡と南シナ海の平和と安定維持を」 ブリンケン米国務長官が中国「外相候補」に自制求める

果たして全人代、異例続きの3期目の
習近平政権はどのような2024年を歩むのか?注目です。

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