中島みゆきさんの歌詞の意味深さについて語る「僕たちの将来」

中島みゆきさんといえば失恋ソングの歌姫とも呼ばれていますが、あれを失恋と一味で表現するのはまた話が変わってきそうです。

悪女とかいろんなのあるけどその中身は失恋以外にも要素があって計り知れない。専門の大学にも中島みゆきの歌詞を取り上げることは多いのだそう。

今回は「僕たちの将来」という歌詞に目を向けて語ります。


あたしたち多分 大丈夫よね
フォークにスパゲティを巻きつけながら彼女は訊く
大丈夫じゃない訳って何さ
ナイフに急に力を入れて彼はことばを切る

まず「あたしたち」から始めて彼女と彼氏の歌なんだと聞き手に思わせます。そしてフォークにスパゲティを巻き付ける女性と何かを切っている男性を思い浮かばせる。ここに隠喩があって「あたしたち多分 大丈夫よね」と不安に思っている彼女に対し「ナイフに急に力を入れて」との表現を使い彼氏がイラついているのをわからせます。そして「切る」と「黙る」をかけます。ここで味わいが生まれるんですよね。


ここは24時間レストラン
危いことばをビールで飲み込んだら
さっき抱き合った宿の名前でも もう一度むし返そうか
僕たちの将来はめくるめく閃光の中
僕たちの将来は良くなってゆく筈だね

「ここは24時間レストラン」という謎のキーワードが入ってきます。これは時間に限りがないのを象徴してますね。それに比べて「僕たちの将来は」と漠然とした不安を投げかけます。そしてここからがこの記事に大事な要素です。

青の濃すぎるTVの中では
まことしやかに暑い国の戦争が語られる
僕は見知らぬ海の向こうの話よりも
この切れないステーキに腹を立てる

 テレビの中で暑い国の戦争の映像が流れているのに対して、複雑な気持ちを込めています。まず彼女と彼氏が悩んでいることの小ささと戦争の悲惨さを比較しています。そして暑い国に反して彼女たちは一向に冷めている。という温暖差がここでは結果として出ていますね。そして彼氏はそんなことよりも目の前のステーキに腹を立てると。前に出さなかった正体が今わかることによりその存在感が急に露出されます。そして続く。

僕たちの将来はめくるめく閃光(ひかり)の中
僕たちの将来は
僕たちの将来は
僕たちの将来は良くなってゆくだろうか

こうしたコードな技術を巧みに使って中島みゆきさんの曲はできているんですね。そこには失恋よりも多くの言葉たちがもみ合っています。

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