灼熱カバディの21巻を読んだよ

 こんにちは、雪乃です。「灼熱カバディ」21巻、遅ればせながら読みました。帰りの電車で読んで、泣きました。そして家に帰ってからは心置きなく泣きながら読みました。

 21巻ではいよいよ奥武戦の決着がつきました。奥武戦ラスト、本当に良かった。
 私は「灼熱カバディ」の更新をリアルタイムで追い始めたのが奏和戦終盤からなので、最初からマンガワンで読んだ試合は奥武戦が初めて。最後の最後まで人間ドラマで魅せてくれた、本当に良い試合でした。
 人間ドラマで魅せるのは奥武戦に限らず全試合がそうなのですが、やっぱりリアルタイムで追うと違いますね。しんどさが。奥武戦は特に、いかにして生きてくか、どこに人生の着地点を見出すのか、ということにまで切り込んだ試合。毎週少しずつ、誰かの人生に立ち会っていくときに抱く感情は、ひどく生々しくて、苦しくて、愛おしい。この感情を何度でも噛みしめたくなる試合でした。

 そして21巻は表情も必見。すごすぎる。見開きで描かれる山田駿の表情は、もう本当に全人類に見て欲しいです。「灼熱カバディ」の全表情の中でも、ダントツで好きな顔。見開きの見せ場はアプリより単行本の方が良いですね。このページを開くだけで泣いてしまう。
 ここの表情は言葉だと表現できないので、もう本当に「見て」としか言いようがないのですが、本当にすごいですよ。感情が言葉に変換されないまま、ダイレクトに飛び込んでくる。読者であるこちら側すら溺れそうになる深い覚悟と、そこに足を踏み入れた瞬間の人間の表情。人生では体感したことがないはずの感情が、あの表情を見た瞬間に「理解」できてしまう驚嘆と、それゆえに味わう痛み。いろんなものを、あの2ページで味わうことが出来てしまうのがすごすぎる。漫画というメディアそのものの良さみたいなものも全部詰まった、大好きな2ページです。

 そして21巻は王城さんの表情も必見。レイダーとしての、魔王モード全開の王城さんも、宵越に託したあの瞬間の表情も、全部好きです。チームがひとつの群れであり、ひとつの巨大な生き物でもある、カバディというスポーツ。チームメイトはそれぞれ、体の一部。しかしレイダーはその体を飛び出し、1人敵陣へと切り込んでいくスポーツ、それがカバディです。21巻の王城さんにまつわるエピソードは、そんなカバディの特性と共鳴した展開でした。
 てか王城さん、「『能京』という体は、もう僕がいなくても回る。」って言ってるけど、王城さんの能京のポジションってどう考えても心臓なんですよ。心臓がなきゃ能も手足も動かないんですよ。カバディへの愛と熱を、王城さんという心臓がチームメイトという全身へ送り出してくれるから、能京は動けるんですよ。とかいろいろ考えた奥武戦でした。

 奥武戦、あまりにも「人生」でしたね……。決して広くはないコート、決して長くはない試合時間。そこに人生のすべてが詰め込まれた試合。目の前で試合を追っていたら刹那のうちに過ぎ去ってしまうプレイや表情のひとつひとつの重みを掘り下げて、一瞬を永遠にしてくれる。カバディに限らず、スポーツを漫画で読む良さはここにあるんじゃないかな、と思いました。

 あと、やっぱり「灼熱カバディ」を読むとカバディが観たくなります。今年の兵庫の大会めちゃくちゃ行きたいんですよ。遠征できると良いなぁ……。あと早く詳細が出てほしい……。

 奥武戦を単行本で最後まで読み切ると、舞台で観たくなります。ヴィハーン覚醒の瞬間とか、あまりにも見たい。ヴィハーンに訪れた夜明けがどんな照明で表現されるのか。心象風景がどんなふうに表現されるのか。舞台でやってほしいシーンが多すぎるので、カバステは本当に無限に続いてほしいです。

 そして21巻は、英峰と星海の試合も収録されています。152ページは何度見ても面白すぎる。平良くん、なぜか1人だけメンタリティーがゴールデンカムイなんだよな。あと本田貴一のヤバさが本格的に明らかになってくるのも21巻なんで、21巻は本当に必見です。出る漫画を間違えているんじゃないかと思う本田貴一のアンティは全人類見てくれ。あと22巻は本田貴一のレイドが収録されるはずだから、こっちも全人類見てくれ。メインキャラが誰も死んでないのに心の底から「生死」を感じられるヤバい回なので。

 そういえば「灼熱カバディ」の舞台化が発表されたのって、私の記憶が正しければ本田貴一レイド回だった気がします。あのときは本当に情緒が終わりました。本田さんのレイドだけでも消化しきれないのに、さらに舞台化まで発表されて。
 その後舞台も無事千秋楽を迎え、こうして21巻が発売しています。原作も目が離せないし、舞台もすごく良かったし。まだまだ「灼熱カバディ」に燃え続けていきます。

 本日もお付き合いいただきありがとうございました。

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