「灼熱カバディ」と出会ったら大変なことになった

 こんにちは、雪乃です。初めて「灼熱カバディ」の記事を投稿した日からそろそろ1年経つので、久しぶりに「灼熱カバディ」について書こうと思います。出会い、そしてのめりこんで1年。本当に、人生が大変なことになりました。

 人生に起きた最大の変化。それは、何と言ってもスポーツ、ひいてはゼロサムゲームの楽しみ方が分かったこと。
 今まで勝ち負けのあるものに対する苦手意識があった私が、勝ち負けのある「スポーツ」という分野を楽しめるようになりました。といっても、まだカバディだけですが。いやカバディだけって相当に稀有だけれど。

 「灼熱カバディ」の私の推しチームは、主人公・宵越属する能京高校カバディ部。登場するチームすべてが愛おしく、心の底から尊敬できる最高のチームなのですが、なんだかんだで推しチームは能京です。でも読み進めるほどに全チーム優勝してほしくなる。どうしよう。

 能京高校カバディ部というひとつのチームを見つめ、追いかけ、見守るうちに、いつしか能京高校の勝利を切望するようになりました。だからこそ、合宿編の最終試合が嬉しくてたまらなくて、私はあの合宿編で「灼熱カバディ」に完全にハマりました。

 勝利を喜ぶチームがあれば、ラインで区切られたコートの向こう側には負けたチームがいる。それは当然です。でもだからこそ、私は今までスポーツに興味が持てませんでした。「負け」が存在するシステムそのものを残酷だと、見たくないと感じていたからです。
 しかし「灼熱カバディ」との出会いで、考えが変わり始めました。相手が自分たちよりも「積んで」いるから負ける。そんなシンプルな論理を、宵越が教えてくれました。その「積んで」いる姿をすべてのチームで描いてくれるから、どんな結果にも納得がいく。勝ち負けは、もはや私にとって「見たくない」システムではなくなっていました。誰かの勝利を願う感情が、誰かを勝たせたいと手を伸ばす姿が、何よりも美しいと知りました。誰かの終わりを惜しむことが、敗北を糧にして前へ進むことが、こんなにも尊いことなんだと知りました。
 勝負を通して生まれるのは、単なる点の取り合いだけではなくて。あの熱いコートの上に広がっていた世界は、人間の生きる姿でした。試合を通して、自分の知らなかった、自分や仲間やライバルの強さと出会っていく。名試合の数々を目にしたことで、「勝負」の本質を知ることができました。

(と言いつつ、毎週先読みを読むのがマジで怖いです。たぶん私は英峰星海戦でえらいことになります。)

 「灼熱カバディ」で描かれる青春は、キラキラしているばかりではありません。誰しも多かれ少なかれ、痛みや弱さを抱えています。それはメインキャラクターから、名前の明かされることのない1人の3年生に至るまで。痛みや弱さから目を背けることなく、しかし人間の愛おしむべき部分には光を当ててくれる。だからこそ読者は、心の底から喜び、そして涙を流すことができます。形は人によって違うけれど、「灼熱カバディ」は物語全体が「熱くなること」へ向けられた賛歌なのです。

 そして「灼熱カバディ」にハマった私は、気が付けばYouTubeでインドのプロカバディの動画を手当たり次第に視聴するようになりました。自分でも驚きました。「灼熱カバディ」でルールや試合の見方、守備と攻撃のどこに着目したらいいかを知ったおかげで、生まれて初めてスポーツを「面白い」と感じました。

 攻撃手のダイナミックでありながら的確に刺さる攻撃、アクロバティックなときもあれば、指1本で成し遂げられることもある多彩な帰陣。スーパータックルが決まった瞬間の爽快感。集団でありながらまるで一つの生き物のように動く守備。多人数での連携による守備は、まさしく狩猟そのもの。本能と肉体の躍動、スピード感と人間の身体が生み出す重みを存分に味わうことのできるスポーツです。

 これはnoteですでに4回くらい書いている話なのですが、私の就活中の心の支えは「灼熱カバディ」でした。168話の、「だけど、自分の力でもがくんだ。未来の俺が少しでも…『面白かった』と笑えるように。」という井浦慶のあのモノローグに、どれだけ背中を押してもらったことか。あのときもがいたおがけで何とかなったよ、井浦さん。

 あと私の人生に起きた変化と言えば、グッズを買うようになったことですね。今までのめり込むジャンルに限ってグッズ展開があまりなされなかったので、推しのグッズが手元にある嬉しさを噛みしめております。ユニフォーム柄のハンドタオル、届くのが楽しみです。

 「灼熱カバディ」は王道スポーツ漫画ですが、とても普遍性のある作品です。特に、現在(2021年8月)リアルタイムで進行中の奥武戦。あるキャラクターの印象的な台詞が心に刺さったまま抜けなくなりました。スポーツ以外にも、創作などにも通ずる台詞でしたね。とにかく奥武戦まで読んでください。というかこんなこと書くんだったら、この記事をマンガワン祭りまでに仕上げておくべきでした。来年に期待。

 できれば最推し・王城さんについても語りたいのですが、どう考えても長くなるので別記事でまたやろうと思います。「王城正人というカバディ選手に(以下略)」、久しぶりにパート3を書くかもしれません。あの記事、なんであんなに長いタイトルにしたんだろう。

 「灼熱カバディ」、これからもまだまだ灼熱と最善が更新されていくすさまじい作品です。これからも人生が大変なことにされ続けたい。そして私はいつか試合を生で観たいです。

 「灼熱カバディ」、とにかく読んでください。私が言いたいのはそれだけです。本日もお付き合いいただきありがとうございました。

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