「日本三國」1巻感想

 こんにちは、雪乃です。「日本三國」の1巻、やっと買えました。

 以前からマンガワンで読んでいた「日本三國」、待望の1巻。マンガワンはずっと「灼熱カバディ」を読むためだけに入れていたのですが、今はこの「日本三國」もお気に入り登録しています。

 って事で今日は1巻の感想をざっくりと。

 舞台は近未来の日本。……ではあるのですが事実上日本は滅亡し、日本だった場所は3つの国に分かれて統治されている時代。「日本三國」で描かれる歴史はすべて現実世界の歴史(感染症や震災の名前はすべて実名、その他「日本時代」の固有名詞等も実名で登場します)を前提として成り立っています。この現実世界と地続きの世界観こそSFの醍醐味。私としては本当、「こんなSFが読みたかった」的なSFです。国の滅亡に至るまでの過程が、本当に「ありそう」なんですよ。物語冒頭で示されるシナリオは最悪中の最悪なのであっちゃまずいのですが。「199X年、世界は核の炎に包まれた」的な滅び方とは一線を画す、じっとりを肌にまとわりつくような、不気味なまでのリアリティのある滅び。巻末に掲載された年表も含めて、SFでありながら歴史ものの要素もあります。

 日本滅亡の混乱期を経て成立した国家のひとつが大和。ディストピアSFによくある管理国家ではなく、帝が統治する君主制の国家です。内務卿が自身の娘を皇后に立てて権力を握るなど摂関政治じみた政治が行われており、近未来でありながら日本の過去をなぞるという独特な世界観。ゲームオーバーになってからリセットするのではなく強引にコンティニューしてしまったがゆえに戻るところまで戻った感じでしょうか。

 物語冒頭で「文明は明治初期まで後退」と書かれているように、文明レベル自体は戦前を思わせる雰囲気で統一されています。しかし登場人物たちのセリフはかなり砕けており、「未来日本語」的に感じさせます。このアンバランスさが、歴史を逆行する近未来世界が抱える歪さ、そして現実世界との「地続き」感の解像度を上げてくれるように感じました。

 そんな「日本三國」の主人公は三角青輝という青年。内務卿に妻を処刑された彼が日本の3つの国家を統一し泰平の世を目指す物語の、そのプロローグが1巻には収録されています。ディストピアからポスト・ディストピアに至るまでが描かれる過程が楽しみです。

 マンガワンで「日本三國」を読み始めたとき、主人公・青輝の妻である小紀がめちゃくちゃ好みだと思ったんですよ。ヒロインがどストライクだし読み続けよう!と思って。なのでいきなり小紀が処刑される展開はショッキングでした。でもその後の展開が純粋に面白いので、あそこで心折れなくて良かった……と思います。

 ショッキングな展開はあるものの、青輝のキャラクター造形には「気持ちよさ」があるのでけっこうさっぱりと読めました。純粋に応援したくなる主人公です。

 マンガワンで先読みしてるんですけど、今後も良いキャラが出てくるしさらに面白くなってるしで、2巻が楽しみです。

 本日もお付き合いいただきありがとうございました。

 

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