八代亜紀並み

夕飯を食べた後、スマホで何気なくネットニュースを眺めて目に入ってきた
「八代亜紀さん死去」
の見出し。

お母さんに
「八代亜紀さん、亡くなったみたいだよ」

とこれまた何気なく伝えると

「え？!」とかなり驚いた声を出し、いそいそと老眼鏡を手に近づいてきた。
八代亜紀さんのニュースを真剣なまなざしで読み、老眼鏡を外してため息ひとつ。

「年齢が近い人がなくなると、知り合いでもないんだけれど、なんか寂しくなるわね」

とぽつり。自分も死がいつ訪れてもおかしくないと思っているのだろう。

わたしはといえば、大ファンだったとか、舟歌が十八番だったとかというのはないのだが、一度だけコンサートのチケットをもらい母と二人で行ったことがある。

かなり前の席だったため、肉眼でばっちり八代亜紀さんを眺められた。目鼻立ちがくっきりぱっちり、お肌は真っ白で無茶苦茶厚化粧だな八代亜紀さん！と思ったのだ。

それ以来、厚化粧の人のことを
「なんか、今日、八代亜紀並みだな」
なんて失礼な使い方をしていた。

化粧を選ぶのもするのも下手なわたしは自分の肌にあわないファンデーションを購入し、べったべったぬったくっては
「今日、八代亜紀並みだけど気にしないで」
なんて使い方もしていた。

ほんとに失礼な話である。

しかし、コロナ禍で、いろんなアーティストが無料でライブ映像を公開していたころ、たまたま八代亜紀がゆきぽよメイクに挑戦してみた♪というかなりうけるタイトルの動画がTLに流れて来て、気になりすぎてクリック。

動画を見た瞬間、衝撃が走った。八代亜紀がゆきぽよに似ているといわれるとか、メイクが上手すぎてまるでゆきぽよにしか見えないとかそういうところじゃない。

すっぴんがままで八代亜紀。
八代亜紀にしかみえない。

何を言いたいかというと、化粧している八代亜紀とすっぴんがあまり変わらないのだ。
ということは、八代亜紀は目鼻立ちがもともとはっきりしているだけで、厚化粧どころかすっぴん風メイクということになる。

今まで本当にごめんなさい。八代亜紀並みはもう使いません。と動画を見ながら誓い、その日を境に、八代亜紀並み～を使わなくなったどころか、

「知っている？八代亜紀って厚化粧じゃなかったんだよ。ただ、顔が濃いだけだったの！」

と熱弁したら

「いや、どっちも失礼な言い方じゃね」

と友達に突っ込まれた。

コンサートのときにトークは見た目のクールな感じとは違ってお茶目でかわいいなと思ったのだが、そのときは厚化粧にびびってトークが耳に入ってこなかった。しかし、八代亜紀ちゃんねる♪をたまにみては、八代亜紀さんのキュートさ、面白さにちょっとファンになっていた。

おそらく消されることはないと思うが、ここにお気に入りの「ゆきぽよメイク」をのせておく。本人大絶賛のゆきぽよメイク。似ているよね？といわれて

「う～ん、に、似てるかも？」と気を使って答えた私である。

ご冥福をお祈りいたします。