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何気ない一言を覚えててくれたとき

日帰り新幹線出張の朝は早い。駅に到着するころにちょうどおなかがすく。出張時は、朝から豪華に駅弁が定番。お気に入りの弁当やに立ち寄ると、隣のお土産屋に、一度は食べてみたい!と思っていた下鴨茶寮のちりめんナッツ発見!

なぜ、駅の片隅に!と、ちょうど棚に補充している店員を捕まえて聞くと

「週2回だけ特別販売しているんですよ」

とのこと。なんと!そんなサービスが!

しかし、今から仕事。日帰り出張だから帰りに購入すればいいか!とその時買わなかったのを後悔した。

夕方、ちりめんナッツを買うために売り場に向かうと

「本日の販売は終了しました」

の小さい文字があるのみ。なんと!そんなご無体な・・・

またしてもちょうど棚に補充している店員を捕まえて聞くと

「ちりめんナッツは5個しか入ってこないんですよ。だからすぐに売り切れちゃうんです」

って、そのときに教えてくれよ!と言いたかったが後の祭り・・・

と、その一部始終をみていた仕事仲間Uさん。

仕事仲間Uさんが興味があろうがなかろうがおかまいなしに、ちりめんナッツがいかに貴重か、いかに人気か、いかにおいしそうか、購入することをどれだけ待ち望み、今に至ったかを電車の中で永遠としゃべり続けたあげく、私のほうが先に駅についたもんだから

「今日はお疲れさまでした~。ちりめんナッツ残念でござんした~」

とほざいて、電車を降りた。仕事で疲れているだろうに、くっだらない話に付き合ってくれたUさん。

そういえば、Uさんってくだらない話どころか、仕事の愚痴、悪口までず~~~っと聞き続けてくれる。くだらない話をしゃべるのは簡単だけど、くだらない話を聞き続けるのは大変な作業だということはよく知っている。

よくお母さんと電話しているときに、お母さんがお友達の話をするんだけど、そのお友達知らないし、だから何なの?と思ってしまうとあくびが止まらない。

「あんたって、私と電話するときいつもあくびするわよね~」

と嫌味の一つも言いながらも、また同じ話をする。

これも親孝行の一つと思うからこそ聞き続けられるくだらない話。そして、Uさんは単なる仕事仲間の私のくだらない話を永遠と聞いてくれる。しかも、カフェでは必ずおごってくれる。って書いていくと、ほんとにいい人なんだなとしみじみ。

そんなUさんと昨日、仕事が一緒になった。

Uさんとは仕事始めということでひとまず「今年もよろしゅうに」なんてうやうやしく挨拶をすると、百貨店の紙袋を一つ。

え~なんだろな~、ありがとうございます~と中を見ると、駅のお土産屋さんで買えなかった下鴨茶寮のちりめんナッツ!

「いつものお礼です」

というUさんの笑顔がまぶしかった。

25年若かったら小田和正のラブストーリーは突然に!がまさに流れた瞬間だった。

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