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憧れのホテルの前にあるイチョウの木

三島由紀夫、川端康成、池波正太郎などなど、文豪が定宿にしていた山の上ホテル。文化人のホテルといわれるのもうなずける文豪たちがこよなく愛したホテルだ。

軽井沢にある万平ホテルも同じような名前がずらりと並ぶところからして、このころの文豪さんたちは洋館ホテルが好きだったのかなと思う。

昔、よく、神保町の古本屋にいった帰り、丘をてくてく登り、山の上ホテルを通過してお茶の水駅にいったものだ。

「いつかお金稼げるようになったら泊まってみたいな~」

と思っていた20代。40代になってもクラシックホテルに泊まれるほど収入はあがらず、耐震工事のため休館中の山の上ホテルをやっぱり眺めるだけで通過。

山の上ホテルのクラシカルな雰囲気も大好物でわざわざ泊まりもしないのに見に行くのだが、晩秋は特にお気に入りのイチョウの木がある。
丘をてくてく登っていくと山の上ホテルよりも先に目に入る巨木。そして、もりもりすぎるほど黄色に色づいたイチョウたち。

10年ぶりにこのイチョウの木を思い出して、昔のようにてくてく登る。息切れ度合いで年を取ったなと思う。

10年ぶりにみたイチョウの木はさらに大きくなっていた。あと100年くらいしたら背後のビルを追い越してしまうんじゃないかというほどの成長ぶり。

こんなもりもりのイチョウの木は見たことがない。山の上ホテル同様、相当歴史がある、もしくは「かの文豪ゆかりの木」なんていう説明版があるはずと、木の周りをうろちょろしてみるもそんなものは見つからず。

ということで、誰かがなんとなく植えて、手入れもされず放置されて巨木になったのだろう。

でも、かの文豪たちも見ていたかもしれないと思うとロマンがある。

今日も読んでくれてシュクリア(ウルドゥー語)

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