毒親からの解放ストーリー(15)

 大学へは出来るだけ推薦入試で受験したかったので、学校の成績は全科目、オール5を目指した。そのためにも土・日の図書館で、母に邪魔されずに復習と予習ができるのは、ありがたかった。
 母には図書館に行ってきたという証拠として、図書カードを見せるのがルールだ。図書カードには貸出した本の日付が入っているから本当に図書館に行ったのかがわかる。

 市立図書館は学校のそれより規模が大きくて音楽を聞いたり、映画を見る事もできる楽しい場所だ。それに学校の友達と待ち合わせをして一緒に勉強をしてからたまには、母に内緒でお出かけをすることも出来た。
 夕飯代から貯めた小遣いもあるから、気持ちも少しだけ大きくなったような気分になった。そのお金で生まれて初めて母に嘘をついて映画に行ったことがある。当時大ヒットした映画『タイタニック』を友人と観に行った時の感激は忘れられいな思い出だ。おまけに母を出し抜いたのが凄く嬉しかったことを覚えている。
 
 ちょうどその頃、弟が同級生に怪我を負わせてしまった。原因は、イジメだったらしい。詳しいことは知らせて貰えないので、わからないが、どうやら弟はイジメグループの一員だったらしい。そんなこんなで、母が学校にちょくちょく呼び出されたり、怪我をさせてしまった家に謝りに行ったりして大変だったようだ。

おかげで、私に対しての締め付けは更に緩くなったので、それに関しては、弟に感謝したものだった。 反対に今までは弟に対してはひどく甘やかしていたが、イジメの件以来、弟の対しても厳しく接する様になった。そうは言っても、母の口癖である「ウチの総領息子」と、言っている母の対応は私から見れば、王子様扱いに等しい。

 私は弟の事など全く関心を持たない様にして、毎日自分の勉強に打ち込んだ。この三年間さえ我慢すればこの家と決別できると思うと毎日の勉強さえも楽しく感じられたのだった。
 高校生活も順調だった。学校にいれば、母の目を気にする必要がないだけ私の気持は楽だった。良い成績さえとっていれば、同級生からも一目置かれたし、先生方が私を見る目も違っていったからだ

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