卒業
2年以上お世話になったダンススクールが近く閉店の運びとなった。
私自身転勤の予定があるのでいずれ辞めなければならなかった案件ではあるが、これが想像以上になんとも寂しく、男と別れる時以上の切なさが募っている。決して恋ではない。これが卒業に伴う喪失感なのかと、青春時代に味わわなかった切なさを感じている。
もとはといえば、育休中に「こんな長期の休み二度と訪れないのだからこれまでの人生でやりたくてやれなかったことをやろう」と思い立って扉を叩いたのが発端だ。かなりクセのあるインストラクターだが私とはウマが合い、毎回楽しく続いた。部活やバイトが続かなかった私にとって、2年以上続いた習い事は本職以外では初めてのことだった。人生でやっとやりたいことが出来ている充実感があった。
だから、別れの時が来てしまったことが心にぽっかり穴が空いたように悲しく、この時がずっと続いて欲しく、「これっていわゆる卒業じゃね?」と思っている。中高一貫校だった私にとって、中学の卒業式なんてあってないようなものだったし、高校や大学の卒業式はその先にある未来にわくわくして悲しいなんていう気持ちはまったくなかった。首都圏出身だけに学校が変わっても友人や家族と離れることもなく、転勤による引っ越し以外で寂しいと思う経験をしないままアラフォーまで来てしまった。
折しも息子は現在通っている保育園を3月に卒業する運びになっており、小さいながらに卒業の寂しさ・切なさを感じているらしい。彼の方がよっぽど私より早く卒業に伴う味わい深さをかみしめている。息子と同じタイミングで母親である私も卒業の寂しさを感じることができて、シンクロ感にもなんとも言えない気持ちが募った。
今となっては吐き気がする程嫌いで、でも当時慕っていた上司が「人生が大きく変わる時は、人は悲しくなるものだ」と言っていたのを思い出す。本当にその通りだと、しみじみ頂いた言葉だけをかみしめている。
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