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捉われのない人生を歩みたい

サッカーを続けてきてもういくつ歳を重ねたでしょうか。多分ただ歳を重ねただけでなく、様々なことを重ねて今の私はこうして今もなおサッカー選手を軸にしながら生きていられているのだろうと感じています。

2023年になり、プロ選手としての歩みを始めて14年目に突入します(ベレーザでのデビュー戦から数えたら21年目)。

10代、20代の時ほど苦しい思いをしなくなり、30代に突入してからはよりサッカーも人生も楽しくなり、2016年からは日本代表から離れたことで、その為に着飾っていた鎧やその重石も削ぎ落とされ、人生を良い意味で楽に、そしてよりナチュラルな自分で生きられている実感が強くなりました。

振り返ってみると、2016年にリオ五輪出場権を逃し、サッカー選手として生きる気力を失いかけていたあの当時、心が置いてけぼりになりそうになっていた自分を必死に繋ぎ止めながらのもがきながらの生活が大きな転換点となったように思います。

何かにぶつかったらすぐにでも割れてしまいそうなガラスを身に纏った精神状態の中、新体制になった代表チームに呼ばれて参加するも、私自身がここにいる理由や価値を見出すのが難しくなり、2回目のキャンプが行われたスウェーデン遠征の最終日に代表活動から一旦離れたいという思いを当時の監督に伝えました。

そこからの人生は今までの人生とは全く異なる、まるで失った青春時代を取り戻すかのような、サッカーと私の関係性を構築し直す形で、これまでとは違った意味での楽しさが私を待っていました。


2017年にアメリカに来てからのこの7年間は、素の自分に限りなく近い状態で過ごすことができるようになり、少しずつ葛藤が消え、他人が考える固定概念に縛られ続けた人生を歩んできたことに気付き、周囲が求める目標や結果に捉われることをやめ、「自分自身がどうありたいか」という軸で生きることができるようになりました。

「出来ないことが出来るようになる喜び」を感じることが私がサッカーに夢中になった原点だったことを思い出させてくれ、プロ選手でありながらも「そこに戻ってもいいんだ」と次第に思えるようになっていき、ただ純粋に「上手くなりたい」という思いが私の原動力となっていきました。

少し遠回りはしたけれどそこに再び回帰し、また純粋無垢に夢中になれる自分を取り戻したことで、サッカーをまだ続けたいと思う自分に出会うことができました。

サッカーとの向き合い方が変わったというよりは、付き合い方が変わったという感じでしょうか。昔よりは程よく距離を取れるようになったし、距離を取った方がいいと感じたときは距離を取り、縮めるときは縮め、入り込む角度を変えたり絞ったり、自分の性質・性格にあった付き合い方ができるようになった気がしています。

この7年間で心身ともにライフスタイル含めて本当に色んな変化がありましたが、心がズタボロになるようなことがさっぱりなくなったことは、一つ大きな気付きでした。おそらく、そんな心がズタボロになるような生き方をずっとしていたら、とうの昔にサッカーをやめていたでしょう。これまで何度も辞めようかな、もう無理かなと思ったことはありましたが、それでもやめずに続けてきて良かったなと心の底から思っています。

やめずに続けたことで新たな景色を見ることができたし、10年前の自分にはできなかったことができるようになり、サッカーがより楽しく感じられるようになった今、まだこの旅を楽しみ続けたいという想いがあります。

1人でなんでも決断するタイプなので、様々な局面が訪れるたびに最終的には自分の意志で決めてきた人生ですが、有難いことにいつも私の身近にいてくれた人たちがいて(物理的にではなく)、その人たちが決断に与えた影響はものすごく大きくて、恩知らずな人生を自分でも送っているなと感じることはありますが、プレーで表現することが1番の恩返しだと思っているので・・・ここで言うことでもないかもしれませんが、本当はありがとうの気持ちで溢れています。


今年はまた違った音を奏でられるよう、変わらず日々自分の身体と心と向き合い、自分なりのベストを尽くして表現していきたいと思いますので、今シーズンの永里優季もよろしくお願いします。


YUKI


みんなが協力しあって生きていける社会へ。愛と共感力で、豊かな世界を創っていきたい。サッカーが私にもたらしてくれた恩恵を、今度は世界に還元していきたいです。