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現地へ行って感じた、アメリカと日本の子育ての違い

「アメリカでは子どもを絶対に一人にしてはいけない」と、以前何かで読んで知っていた。

何歳以下の子ども、とは厳密には決まっていないようだけど、5歳と6歳のうちの子たちは、間違いなく一人にしてはいけない年齢。

たとえば日本では、都会と田舎で多少異なるけれど、小さい子どもたちがそのへんの公園や原っぱで遊んだり、スーパーで保護者が買い物中に子どもだけお菓子コーナーでおやつを選んだりする光景はめずらしくない。小学生はひとりで登下校するし、お留守番もする。

これが、世界では全然普通ではないのだ。

アメリカでも上記すべてのケースがNGで、とくに小さな子どもを置いて外出するのは「ネグレクト」として通報されることもあるという。

この違いが、今回の旅で私をすごく悩ませた。

たとえば、私たちの滞在したマンションは3階建てで、1階がガレージになっていた。私たちの部屋は2階。

ガレージには洗濯機と乾燥機があって、ここへ行くには1階に下り、鍵のかかったドアを開けて外へ出て、ガレージの扉をガガガガーと開け、奥に置いてある洗濯機へ行く必要があった。

たかが1階下のガレージへ洗濯しに行くだけだし、日本なら子どもたちがテレビをみている間に「洗濯してくるから〜」と出ていくところ。でもここでは、

①洗濯物を洗濯機に入れるとき
②洗濯物を洗濯機から乾燥機へ移すとき
③乾燥機から出すとき

の計3回、30分から1時間置きに子どもたちを「ごめん洗濯するからついてきて〜」と連れていかなければならなかった。「洗濯機と乾燥機が“部屋の中”についている宿にすればよかった。。」と後悔した。

Uber Eatsを頼んだときも、1階のドアの前に置かれる配達物を取りに行くのに、一応毎回連れて行った。10mもない階段を降りるだけなんだけど……。

こんな感じで、「このケースはいいの? 悪いの?」という塩梅がわからなくて、ひとまず「一瞬たりとも子どもたちを一人にしない」という方法をとったら、とても大変だったのだ。

あと、アメリカは日本の何倍も、「子どもたちを虐待から守ろう」という意識が高いのだと感じた。英語の記事をいろいろ検索して、そう思った。

たとえば、公共の場で大声で叱るのも、下手すると虐待と思われてしまう。通報されるのかはわからないけど、外を歩くときも念のため細心の注意を払った。だって日本では、

「こらーー!!車きてるよーー走らないっっ!!!」
「けんかしないっ」
「そこ道路だよーーっ!!!」

といつも大声を張り上げていたから……。

それもこっちでは、優しく小さな声で「こーら、だめだよ〜^^」と伝えるようにした。ただ、そんなんで聞く耳を持つような子たちじゃないので(多分聞こえてないと思う)、車に轢かれるんじゃないか、迷子になるんじゃないかとハラハラした。

一日の疲労度は、母子旅ということもあるけど、日本にいるときの100倍くらいだった。

「子どもが辛い思いをしていないかどうか社会全体で目を光らせる」というのはとても良いことだけど、育児する側からしたら、常に疑いの目を向けられているようでやりにくいんじゃないだろうか。

現地の保護者さんたちはどう感じているんだろう……? もう慣れっこで、さほど大変に感じていないのだろうか。

それと、こちらの方々の育児の声がけが優しく感じるのって、もしかして上記の理由もあるのかな? とも思った。もちろん気質が一番なんだろうけど、「虐待と思われないように!」とがんばっている部分もあるのかな……?

印象に残っているのは、外出中になかなかついて来てくれない2〜3歳の子に、「Bye baby〜♪」と柔らかい声で言っていたお母さん。4人も連れていたのに、すごいなぁ、優しいなぁ……と尊敬の眼差して見ていた。日本では「置いてくよー! バイバーイ!」なんてよく聞くし、私も疲れているときはつい言っちゃうから。

そう、アメリカの人たちは、本当に子どもに優しいのだ。

日本では見たことがないような大型トラックが路肩に停まっていて、子どもたちが「見て! 大きい〜!!」と驚いて見ていると、運転手の女性がクラクションを鳴らして、子どもたちに手を振ってくれたり。

Uberの運転手さんが、「Hello〜〜!! How old are you?」と聞きながら、子どもたちのシートベルトを締めてくれたり。

マンション付近の住宅街では、車がこれでもかというくらいゆ〜っくり徐行し、子どもがいるとすぐに停車してくれる。どの車も、私と子どもが道路脇によけると「先に行っていいよ!」とジェスチャーしてくれた。私の地元北海道はアメリカと同じ車社会だけど、残念ながら、子どもがまだよけきっていないときでさえ、普通のスピードで通り過ぎていく車もいる。

そう考えると、やっぱり子どもに優しいのはこの国の方たちの気質なのかな。

とにかく、この「子どもを守ろう」という風潮が強いアメリカで、どうやって保護者の方たちがストレスを溜めないように育児されてるのか、「怒り」の感情とどう折り合いをつけているのか? が気になって仕方がなかった。

いくら「叱ってはいけない、諭そう」とは言っても、子育て中ってそんなに終始、穏やかではいられないと思うから。

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