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教育熱心じゃない私が、6年間2人の息子に絵本を読み聞かせたら、自主的に本を読むようになってくれてうれしかった話。

我が家では、こうした光景がことあるごとに繰り広げられている。

「今日は疲れたから、読み聞かせなしでもいい〜?」と言う私に、「やだ! 絵本!」と騒ぐ子どもたち。読み聞かせは彼らが小さいころからの習慣だ。だから、彼らも、絵本を読んでやっと“寝るモード”に入れるらしい。

読み聞かせを続けたら、私も絵本が大好きになってしまったので、息子2人に「大好きな絵本ベスト3」を聞いてみることにした。

ほかにも、どんな読み聞かせ方をしているか、振り返ってこのnoteにまとめている。

少し長くなったが、これから出産される方や、小さなお子さんのいる方の参考になればうれしい。

ことの始まりは、6年前になる。


絵本の読み聞かせだけは、自然に始められた

読み聞かせを始めたのは、今年8歳になる長男が2歳、今年6歳になった次男が0歳のころ。

といっても私は、教育熱心な母親ではない。むしろ、教育に無頓着で、周囲の子育て上手なお母さん方を見ては焦り、見よう見まねでいろいろとやってみても上手くいかず、落ち込んでいた。

でも読み聞かせだけは、自然に始めることができた。

最初は、プレゼントでもらった絵本を読んでいただけ。世間一般に言われる、「読み聞かせで学力が上がる」とか、「読解力がつく」とかの意図はなかった。というか、のちに仕事の取材などで読み聞かせの効能を知ったけど、当時は知識がなかった。

私自身が初めて買ったのは、せなけいこさんの絵本だ。

まだ歩くこともできなかった次男が保育園でせなけいこさんの絵本が好きだと知り、買ってみたら、うちでも、お座り姿勢で『ねないこだれだ』や『いやだいやだ』を一人でよくめくっていた。2歳の長男が赤ちゃん返りの時期で、次男は、かわいそうなことに放っておかれる時間が長かったのだ。

『ねないこだれだ』は、寝かしつけのとき、3人で仰向けで、(長男が私の右、次男が左にぴったりくっついて)「とけいがなります ぼーんぼーんぼーん……」と読んだものだ。2人とも、なぜか語尾だけ私と一緒に「(だれ)だーあ!」「(どろ)ぼーう!」と叫んでいたのが懐かしい。

次第に私が絵本を読む楽しさにハマっていき、最初は1冊しかなかった絵本が、2冊、3冊と増えていった。

家にあるのは200冊ほど。ほかは図書館で借りている。図書館では、私の地域では無料で月10冊まで、母子3人合わせると月30冊まで絵本を借りられる。読みたい絵本が図書館になければ、ネット予約をすると、市内の別の図書館から2-3日で取り寄せてくれる

ちなみに、毎日読み聞かせてはいたけど、2歳児と0歳児が「全部聞いてくれる」ことはほぼない。私はきちんと読んであげたくても、2歳児は「自分でめくりたい!」欲が強すぎて文脈おかまいなしにどんどんめくっていってしまうし、0歳児は、ページを破る、破る。

図書館の絵本も私の不注意で破れてしまったことがあり、謝りに行った。図書館では、破ったことを正直に伝えれば専用の補正テープで直してくれるのだけど、さすがに2度目は合わせる顔がなくて、新品を買って持って行ったっけ。

「いい絵本」を読んであげたい

2020年、長男が4歳、次男が2歳のとき、日本最大級の絵本情報サイト「絵本ナビ」の編集長・磯崎園子さんが書かれた『ママの心に寄りそう絵本たち』を購入した。

この本では、数え切れないほどの絵本をご覧になってきたであろう磯崎さんが厳選した絵本が、100冊以上も紹介されている。テーマも、こわい絵本や男の子向け、おじいちゃんが出てくる……などさまざま。どの絵本を選べばいいか、見当もつかなかった私にはぴったりだった。

私はこの本で、いくつもの名作に出会った。

たとえば、くすのきしげのりさん作の『ぼくのジィちゃん』。

クラスで一番走るのが遅い「ぼく」は、運動会が憂鬱で仕方なかった。運動会前夜、ぼくの運動会を応援するために、田舎からおじいちゃんが泊まりに来る。夜の縁側で、おじいちゃんに、鬱々とした気持ちを打ち明けるぼく。おじいちゃんはそんなぼくに、「速く走るコツ」を教えてくれた。「そもそもジィちゃんって、走るの速いわけ?」と疑うぼく。でも、運動会当日、思いもよらぬ光景を目にして……。

つい、読む側も夢中になってしまう臨場感。この絵本をきっかけに私は、くすのきさんの絵本が大好きになった。

のちに次男が好きになる「アブナイ」シリーズも、『ママの心に寄りそう絵本たち』で出会った。

『アブナイこうえん』と『アブナイおふろやさん』もある

小学生男子5人組が繰り広げる、大人には思いつかないであろう想像の世界の冒険。彼らにかかれば、放課後の帰り道も、近所の公園も、銭湯も、大冒険の舞台に早変わりだ。「小学生のころ、こういう男子いたいた!」という微笑ましさと、母目線での、「男の子の頭の中ってこうなっているのね」という学びがある。

2022年、長男が6歳、次男が4歳のとき、仕事で、札幌の絵本専門店「ちいさなえほんや ひだまり」の店主・青田正徳さんを取材した。

青田さんとの出会いも、大きなものだった。取材後、青田さんに、息子たちに絵本をセレクトしてもらったのだ。それが、この3冊。

▲「オオカミ」が好きだった次男に

▲卒園が近かった長男に

▲「オバケ」が好きだった2人に

青田さんが思う「いい絵本」は、オリジナリティがあること、筆者の原体験や想いが感じられること、ヒューマニティがあり心が温かくなること。私はまだ絵本をうまく選ぶことはできないが、この3冊を読むときにはいつも青田さんの笑顔が思い浮かぶ。子どもたちも、シリーズ買いをねだるほどハマっている。

こんな風に、私が絵本を選ぶ基準のひとつは、信頼できるプロの方が勧めているかどうか。

青田さんの記事にもあるのだが、残念なことに、“売れる”ことを最優先にした絵本がたくさんあるという。なんでも吸収する幼い子どもたちには「いい絵本」を選びたい。

昨年ダイヤモンド・オンラインで取材した、筑波大学付属小学校の国語教師・白坂洋一先生のご著書『子どもを読書好きにするために親ができること』も参考にしている。

巻末で絵本や児童書が100冊以上紹介されているので、順に図書館で予約し、子どもたちがハマったものを購入するのだ。

白坂先生のご著者で取り上げられている絵本や児童書は、長男の小学校の国語の教科書の中で「おすすめの本」と紹介されていることも多い。「あ!この絵本、うちにもある!」とうれしくなる。

▲この記事でも一部紹介されているのでぜひ

7歳長男と6歳次男が選ぶ、絵本ベスト3

私:一番好きな絵本、1位から3位まで選んで〜?

長男(7):え〜、はい! 決めた決めた!(『ぼくのじしんえにっき』を棚から出す)

私:なんでなんで〜?

長男(7):え? なんでって言わなきゃいけないの?

私:別にいいよ!(笑) それ、好きだもんね。

次男(6):決めた!これですっ!!(『わんぱくだんのロボットランド』を出す)

私:ああ〜、好きだよねぇ。

長男(7):これは昔めっちゃ好きだった。(『ばあばは、だいじょうぶ』)

次男(6):2位、エルマ〜!!!(『エルマーと16ぴきのりゅう』)

私:それ次男くん、読んだことないしょ。

長男(7):うちにあるのじゃないとダメ?

私:前に図書館で借りたのでもいいよ。

長男(7):じゃあ2位、餃子、餃子!(『ぎょうざつくったの』)

次男(6):ぼくちんはね、1、2、3。あっ4位もある。グレッグ。(グレッグのダメ日記

長男(7):3位は、危険生物! はい決まった〜!!(『大迫力!世界の危険生物大百科』)

そんなこんなで、彼らが選んだベスト3はこちら。

長男。
1位 ぼくのじしんえにっき
2位 ぎょうざつくったの
3位 大迫力!世界の危険生物大百科

次男。
1位 わんぱくだんのロボットランド
2位 エルマーと16ぴきのりゅう
3位 どろろんびょういん おおいそがし

どれも私の予想に反し、「え、いつもそれ持ってこないじゃん!」などと思いながらも、すごくおもしろかった。ちなみに、長男が実際によく寝る前に「読んで」と持ってくるのは『メガネをかけたら』、次男は、『ママの心に寄りそう絵本たち』で出会った「わんぱくだん」シリーズと「アブナイ」シリーズである。

日常的に本を手にとる子どもたち


読み聞かせ方は自己流だが、参考にしている方がいる。2022年にダイヤモンド・オンラインで取材した、脳研究者で絵本専門士の森慶子先生と、絵本専門店の青田さんだ。

▲森先生の読み聞かせのコツはこちらの記事に

青田さんは、迫力のあるシーンでは、ページをゆっくりめくって……ワッ! と開くなど、子どもたちが夢中になる「ページのめくり方」をされていた。私も、余裕があるときは意識している。

今、長男は小学2年生、次男は年長さんだ。

一時期は1人1冊+私が選んだ本の合計3冊を毎晩読み聞かせていたが、今は、1人1冊ずつの合計2冊になった(ちょっと疲れてきたのもある笑)。森先生が、小学生以降も読み聞かせを続けるのは良いことだとおっしゃっていたので、長男は絵本くらい自分で読めるのだろうけど、今も、寝る前は私が読み聞かせている。

6年間続けたからといって、長男と次男が天才になったとか、そんなことはない。でも、自主的に絵本や児童書を読む姿は、よく見る。絵本だけじゃなくて、私の大人向けの本も、勝手に取り出してめくったりしている。

きっと、彼らの心の引き出しには、たくさんの物語や登場人物、絵本で見た風景が詰まっていると思うのだ。この先の彼らの人生で、この引き出しの中のものが、彼らを支えてくれたならうれしい。

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