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長渕剛さんとお風呂をご一緒した息子の奇行

私には中一の息子と小五の娘がいる。

わたしの母からエイリアンの緑の血より
たちの悪い遺伝と血液を脈々と受け継いだのは

娘ではなく息子の方であると日々感じる。

保育園のときは
みんなが園庭で走り回るなか
一人すみっこで狐小判という木の実を集めたり
小石を積み上げたり
タンポポというタンポポを摘みちらかしたりするおとなしいタイプの子だった。

そんな息子が悪しき遺伝が
受け継がれていることの
片鱗をみせだしたのは
小2のころである。

かごしまのとある霧島方面の温泉に
旅行に行ったときのこと。

夫と息子が温泉に浸かっていたら
なんと驚くことに
あのスーパースター、長渕剛さんが
SPらしき方と
ペットボトルに入った水をもって
お風呂にはいってこられたらしい。

夫は緊張しながらも
水の近くにいたので
「熱くないですか?」
など声をかけさせていただいたりして
ちょっと舞い上がっていたそう。

ご一緒している息子は
ことの重大さに気づかず
マイペースに過ごしていたらしい。

そしてまず先に息子の体を洗い、頭を洗い、
自分の体を洗い、頭を洗っていたイーオット。

この、一瞬の隙がまずかったのだろう。

頭を洗いながら
はたと息子が、目の前にいないことに気づき
顔を上げて探すやいなや
シャンプーだらけの手と頭で
息子を瞬間的に羽交い締めにするイーオット。

どうも彼は
長渕剛さんがもたれている
湯船の縁にピラミッド型に桶を積み上げ
最後の一個をボーリングのように
滑らせようとしていたらしい。

地獄か。

それがそのまま完遂されていたら
長渕の脛椎はどうなっていたのか。

考えるだに恐ろしい損害である。

イーオットは生きた心地がしなかったらしい。(そらそうよ。)

そんな息子はあれから図体ばかり大きくなり170ある母と身長だけは
いっちょまえに並ぶようになったが
さっき買い物から帰ったら
小五のときに着ていた
ピチピチのTシャツと短パンをはき
目を閉じながらマンションの壁に
ボールを当て

「考えるな、感じろ」

とぶつぶつ呟いていた。

最近は風呂のかべに
わたしと娘の髪をひろって
山や川の絵を描く気色の悪いアートにはまり
写真を撮ってインスタに載せろという。
貴様の感性はどうなっているのだ。

以前PTAに行ったら
帰り際に担任の先生がすっと来られて
果たして何事かと思ったら

「彼は目立つタイプではないが
ボソッと言うことが面白くてですね!」

とお褒めの言葉をいただき
学級通信にもちょこちょこ
彼の言動をいじられて載せられている。

勉強も運動もアートの才能も
特筆すべきものは
なにも持っていないかもしれない。

だが人間、愛嬌があれば
なんとかやっていける。
お母さん、もう普通の感じは諦めてる。
とにかく多くは望まないから
愛されて生きていけよ。
お前に望むことはそれだけさ。

#子供の成長記録



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