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【イチロウ】家政婦とイチロウの違い サービス編#2

介護保険外の在宅介護サービス「プライベートヘルパーイチロウ(PHイチロウ)」を運営している株式会社LINKの水野です。

今回は、介護士と家政婦の違いについてです。

弊社の運営するPHイチロウは、介護の資格を持った経験豊富な介護ヘルパーへ気軽に保険のルールに縛られない介護を依頼できるところに特徴があります。
PHイチロウと似たサービスとして、すでに「家政婦紹介サービス」が存在し認知されています。個人事業主である家政婦さんを紹介してもらい、自宅の家事や介護を気軽に依頼することができるサービスです。

そして、その家政婦さんたちもPHイチロウのヘルパーと同様、介護の資格を持っていることが多いため、PHイチロウではなく家政婦紹介サービスを利用する選択肢もあるわけです。

しかし、私たちには現役の介護士を抱え、きちんとした介護を提供することで明確な違いがあると思っています。
今回は、その介護士と家政婦の違いについてPHイチロウをご利用いただくお客様のエピソードを踏まえながらご説明します。

介護業務は資格がなくてもできる

PHイチロウを運営していると、「介護って誰でもできるんですか?」と聞かれることがあります。答えは「できます」です。介護行為としての排泄の介護や入浴の介護などは、医療行為とは違って専門職による独占業務ではないため、誰でも行うことができます。

医療行為は、医師や看護師の資格を持った専門職種による独占業務として明確に定められているため、資格を持っていない人には行うことができません。介護行為については、「社会福祉士及び介護福祉士法」で、「業務独占」ではなく「名称独占」として明記され、介護行為を行うことはできるが、国家資格がないと介護福祉士と名乗れないとなっています。

よって、ルールとして介護行為は誰にでもできるということになっています。

訪問介護には介護の資格が必須

介護といえば自宅に介護ヘルパーさんを呼ぶことができる「訪問介護」があります。この訪問介護には、介護保険上で「初任者研修修了者以上」ではないと訪問介護ヘルパーとして働くことができないルールになっています。

そのため、初任者研修という昔のホームヘルパー2級の研修を受けた人ではないと訪問介護ヘルパーとして働くことができません。

特別養護老人ホームや有料老人ホームなどには明確な定めがないため、初任者研修を受けていない無資格の介護士さんも働いています。

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結局、介護士と家政婦の違いとは

介護は誰にでもできるとなると、介護事業所で働いている人は介護士で、家政婦事務所で働いている人は家政婦という単純な分け方になるかと思いますが、これはちょっと違います。

ここからは、介護業界に15年近く携わってきた私の考え方を含んでいますが、事例を元に説明していきます。

PHイチロウをスタートし、2ヶ月ほどたった頃に事務所へ1本の電話がありました。それは、2人暮らしのご両親へ介護サービスを検討している娘様からでした。
これまで家政婦サービスを利用してきたが、父親の要介護状態の悪化により、依頼している家政婦さんのうち数名の介護力に限界を感じ、自宅での長時間利用できる介護サービスを探していてイチロウを見つけてくださったとのことでした。

サービスの概要を説明し、すぐにご利用いただけることになりました。
初回の日、私と担当する介護ヘルパーが一緒にご自宅へ伺うと、旦那様がベッドで横になっており、横に奥様が見守っていました。

担当の家政婦の方から詳しく話を聞いていくと、ほとんどベッドで横になっており食事もベッド上で食べているとのことでした。
私も同行したヘルパーもすぐに「このままでは廃用症候群による肺炎や褥瘡ができてしまう」と思いました。娘様へ1日1回でもいいので車椅子へ起こしてはどうかと伝えましたが、担当家政婦が「起こしてはいけない」と言っているから起こさないとのことでした。
私も同行したヘルパーも疑問を抱えながらサービス提供を続けました。
サービス提供を続ければ続けるほど、健康な生活とはほど遠い介護が行われている現場を目の当たりにしていきます。
安静のためにトイレへ行かずオムツをつけているため、便秘になり下剤を服用し、オムツ内でお尻がただれてしまっていました。そしてお尻がただれて痒いためにオムツを外そうとすることを防ぐために、ベルトのついた介護の用の拘束パンツをはかせるようになりました。

通常は、食後などの最適な時間にトイレへ誘導し便秘を改善させる。便秘を改善てオムツを外し、ベッドから起きている時間を増やしていく。
このような私たちが通常の生活で行なっている生理現象に則って介護を進めていきますが、この発想はないようでした。

娘様へ「このままでは寝たきりが進んでしまいます」と伝えましたが、担当家政婦の意見だからと介護の仕方を変えることはありませんでした。何度も提案するたびに、娘様も現状を理解しながらも母親と信頼関係を築いている家政婦をないがしろにできない理由があることがわかりました。
それを悟り、私たちはご家族の意向を汲み取り、その担当家政婦の方針に従うことにしました。

そして、サービス開始からちょうど1年後の2020年5月に、旦那様が亡くなりました。最後は、食事が食べられなくなり、肺炎を繰り返しながらの最期でした。

私たちには確信がありました。
もし、きちんと生理学に則った介護を行いリハビリを行えば、まだ歩いていた可能性もあると。無知な介護が行われなければ、まだ数年生きられと。

私たちが考える介護士と家政婦の違いはここにあります。
既存の家政婦は、現在の介護の知識や技術にアップデートされていません。家政婦を紹介する家政婦紹介所も、家政婦の教育までは行わないため、知識や技術は古くなっていきます。そして、その無知な家政婦が介護を提供していきます。

たらればになってしまうため、なかなか見えにくい部分ですが、介護の仕方で確実に寿命を伸ばすことができるし、健康寿命を伸ばすこともできます。

だからこそ今回のエピソードは、私たちには辛く悔しいものでした。もう少し私たちが早くサービスを立ち上げ依頼を受けていたらと感じました。

依頼されるご家族によって長生きが必ずしも正解ではないこともありますが、自立した生活を送る期間を伸ばしたり長生きしもらうことは可能だということを理解して、きちんとサービス提供者を選んでほしいと思います。

まとめ

介護行為に対して業務独占がないため、介護は誰にでもできるため介護と家政婦の違いはないのかもしれません。しかし、きちんとした介護の知識と技術を持った介護士へサービスを依頼することで、介護を受ける要介護者のQOL(生活の質)は確実に変わります。

QOLの高い老後を送ってもらうため、介護の可能性をたくさんの人に知ってもらうために、PHイチロウのサービスをより良い介護サービスへと成長させていきます。そして、そのPHイチロウを日本中の要介護者へ届けられるよう努力していきたいと思います。

介護保険外の介護サービス:プライベートヘルパーイチロウ
https://ichirou.co.jp/


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