神戸といえば「ぼっかけ」やもん。 下町こそが”真の神戸”。
梅雨の谷間のむせ返るような暑さが支配する神戸の夜。7月2日の午後7時ちょっと前。
ド平日だったけど、結構付き合いの長い友人3人と初めてご飯の約束をしたのだ。
ちなみにこの友人3人は生粋の神戸っ子。うち1人が名古屋から帰省してきたので、このタイミングでのご飯会になった。
やってきたのは新長田のアーケードの中にある、本格的な”神戸の流儀に則った”お好み焼きのお店・ふうふうさん。
長田は、神戸が生んだソウルフード・ぼっかけの本場。
神戸はオシャンティーなイメージがある港町なのだが、友人とも意見が一致したように『神戸の真髄は下町にある』と。
そのうち1人は――――――
―――――― 生粋の神戸っ子が言うのなら間違いないや。
ねぎぼっかけ。
『ぼっかけ』っつうのは、牛スジ肉とこんにゃくを醤油とかみりんで甘辛く煮たやつでして。
これをお好み焼きに混ぜるという、神戸の下町が誇るソウルフードである。
甘辛い味付けである以上に牛スジ肉の脂の甘みがしっかり出ていて、病みつきになる味。
そこに塗るのは、神戸が誇る名調味料『どろソース』。
どろソースは、ウスターソースの醸造タンクの底に溜まる沈殿物が元となっている。
野菜や果物の旨味成分やスパイスがたんまり含まれているため、『旨味が非常に強く、そして辛い』。
―――――― それがぼっかけの甘い脂と非常に相性がいい。そして、ビールが進む進む。
そして長田で食い忘れちゃいかんのは『そばめし』。
文字通り「焼きそばとご飯を鉄板で焼いた」、神戸っ子のDNAに深く刻まれている味。
4人で鉄板にこんもり乗ったそばめしをカッ食らって、ビールで流し込む至福のひととき。
店のテレビでは阪神の試合が映っていて、今のうだつの上がらない岡田野球にボヤきながらチューハイをおかわり。
―――――― 最高に関西人しとる。
幼い頃から神戸には縁があってニワカに知っている気がしたけど、まだまだ知らないことだらけの神戸の”ディープな”深淵。
この日一日でオシャンな神戸だけでなく、アクが強いが賑やかな神戸ももっと好きになれた気がする。
―――――― じゃ、また神戸で会いましょうや。
そう言って私は大阪に帰っていった。
2024年7月6日
中井みこと
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