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図書記録 孤独の意味も、女であることの味わいも

国際政治学者 三浦瑠麗氏の初の自叙伝
女性性に縛られていた著者が、
女性性を愛するようになった今、
タイムスリップするように語りたい時代を
読み切り形式で語られている。

語り口であるが、少し癖がある文章で、
無機質を極めている森博嗣氏を思い出させるが、
高学歴で屁理屈捏ねなところも見受けられ(誉めている)
明らかに違う文章である。時折出てくる抽象的な表現は、
読み手によってニュアンスが変わってくることが
見込まれる。

内容は女性であれば誰しも持ち得る感情や、
稀な経験、女性家族との関わりなどが記されており、
女性であれば大抵の人が共感できる。
無機質で客観的な記され方と抽象的表現により
入り込みやすくなっていると感じる。
(逆に男性は共感できるのか????)

しかし、後半の一文で、我に返る言葉を突きつけられる。

孤独な人びとは、他者の不幸に自分の不幸を繋げようとする。

そして続き
しかし、どこまで行っても他者は他者だ。
人生の意味を本人以外の人間が与えることはできない。

ここで、著者に対する哀れみや同情は不要と跳ね返され、
更に、あなたの不幸は存じ上げませんとそっぽを向かれる。
(もちろん本当にそう記されてあるわけではない)

逆に自分の不幸は自分で暖め、乗り越え、労ることが
大切とも感じる一文であった。

最後に自分の感想であるが、
辛いことは起こって欲しくなくても必然的に起こるもの。
ならば日々を楽しく豊かに過ごしていきたい。
それでも些細なことで心を乱す自身は
とても幸福な場所で生きているのだろう。

三浦瑠麗氏の次作
橋下徹氏との共著を楽しみにしたい。

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