見頃に

逆さにして 吊るしていて ずっと待っているから
まだ焦らして 見つめていて そんなとこも好きよ
セピア色に収めて 白い光の中
幸せを散らすよ わたしは霞草

甘噛みして わたしと似た紅い唇で
まだゆっくり もっとやさしく 撓る四肢を撫でて
『ああ皐月 ああ皐月 いよよくれなゐに』
青空に差し上げて わたしは雛罌粟

気高く咲いて熟れているでしょう 本当は恥じらっているの
さかった裾の衣擦れを聞いて あなたにも聞こえる?
昏がりに頬を染めて 熱くなっているの?
鎮めて差し上げよう わたしは芍薬

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