『ひまわりの約束』と金木犀はニッキの生八ツ橋
この歳になって、やっとわかったことがある。
それは、ある曲や匂いで、昔の思い出が蘇る瞬間があるということ。
最近になってハマり始めた、秦基博の『ひまわりの約束』。
聴いていると、胸に小さな棘が刺さっているみたいに、一瞬だけチクっとする。
それと同時に、大学時代の思い出が蘇る。
入学1年目、仲の良かった友人と複雑な関係になるという、苦い体験をした。話すとだいぶ長くなるし、友人のプライバシーの関係もあるのでまとめると、
だれも悪気はないのに、知らず知らずのうちにみんなが辛く悲しい思いをした。今 考えてもたまに胸が締め付けられるほど、私にとってはあまり良い思い出ではない。
当時、私の友人が『ひまわりの約束』が大好きでよく歌っていた。
その影響か、この歌を聴いていると、苦い思い出が溢れてきて、複雑な心境になってしまう。
もう1つは、金木犀。
今までは、いい匂いだな〜、くらいしか思っていなかったが、最近少し変わってきた。
甘く、ふわっとした心地いい香りに包まれると、小学生の私が蘇る。
私の学校は、校庭だけでなく、3階建てのジャンボ遊具や、ツツジ・ツバキの迷路、木に紐がくくられていてぶら下がって遊ぶ、通称『ターザン』など、今 考えても、楽しい遊び場がたくさんあった。
私は、そういった遊具で遊ぶことが大好きだったので、休み時間や放課後は、いつも外へ出ていた。
放課後、もうそろそろ下校時刻だと残念な気持ちになった時、ふと金木犀のいい匂いに包まれる。
その当時の、もっと遊びたい、という気持ちが強かったのだろうか。
金木犀の香りは、もう家に帰らないと、という残念な気持ちにさせる。
大人になった今は、早く家に帰って休みたいという気持ちの方が強い。
けれど、金木犀の香りを嗅いだ瞬間だけは、まだ帰りたくないという思いが溢れ出て、足をとめそうになる。
私の経験からすると、思い出は、強烈なものやネガティブなものの方が、長く覚えているようだ。
曲を聴いたり匂いを嗅いだりする度に、複雑な思いをするのは、正直嬉しくはない。なんというか、個人的な感情に例えると、ニッキの生八ツ橋を食べた時のような気持ちになる。
美味しいんだけれど、独特な風味で困惑するかんじだ。
そういった複雑な感情は、時間の経過とともにめぐりめぐって、変わっていくのだろうか。
もしそうなら、遠い将来では良い思い出になっていたらいいなと思う。
かりんとう饅頭くらいのおいしさになっていると、すごく嬉しい。