花森ゆきめ

短い物語、テキストを書きます。 twitter ▶︎ @clumsy_wink ins…

花森ゆきめ

短い物語、テキストを書きます。 twitter ▶︎ @clumsy_wink instagram ▶︎ yukime_hanamori

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「ランプの下で」のこと

ちょっとした逃避のために本を広げることがあります 手のひらに収まる小さな本の扉を開くだけで、どんな場所にも行ける 月と会話できるし、懐かしいあの子に会えるし、 真夜中の美術館に忍び込んでみたり、 だれかの本当の願い事を知ったり、 ここにしかない場所に行けたりする とても疲れたから もう眠いけれどまだ寝たくない そんな夜更かしに付き合ってくれる一冊を枕元に置いて 眠る瞬間まで柔らかな光のようにそばにいる、そんな本を作りました 「真夜中色のコーヒーを一杯 スプーンの上にお砂糖を

    • Lulu

      蜘蛛の女の子はきれいなものがだいすきでした 桜の季節には 花弁の薄紅色が映えるような巣を張ったり 梅雨になると 雨の雫で宝石のカーテンを編んでみたりと だれにも作品を壊されないように だれの邪魔にもならないように ひっそりと小さなしあわせに感動するのが趣味なのです 季節は夏 彼女にとって初めての季節です 大きな太陽と涼やかな風鈴の音、蝉の歌 それから、出会ってしまった運命を変える存在 世界が鮮やかに感じるのは 夏の日差しのせいだけではないような 数日前のことです 彼女の

      • Chlorisについて

        春がすきです 体調を崩す人も多い季節、例に漏れずわたしもそうなのだけれど、やはり花が咲くからすきです 人生の半分は祖母の家で過ごしてきたのだけど、植物がたくさん植えてあって、季節によっていろんな花が咲いて、風に乗って良い香りが運ばれてきます そして大きな桜の木があって、桜吹雪も桜の絨毯も見せてくれる、視界がピンクで染まる季節 少し湿度のある日、乾燥してる日でまた春の映り方も違うような… 花がどんなふうに映るかは人それぞれちがうかも わたしの春は、甘い香りと優しい風と柔らか

        • レターセット ホテル波打際

          2018年に開催したガラスの小鳥社展示会「波打際」のコンセプトで、2019年に日香里ちゃんとのコラボレーションレターセットを作成しました アンティークのホテルステーショナリーをイメージして作られたホテル波打際オリジナルレターセット✉️ 美しい点描画でホテルが描かれています 裏面は浜昼顔と人魚の模様でホテルの壁紙と同じデザイン 中には波打際展に寄せた手紙の詩の一編を添えています 白くてサラサラした紙と点描画の淡く幻想的な雰囲気が美しいレターセット 誰に手紙を書きましょうか そ

        「ランプの下で」のこと

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        • 作品
          5本
        • text
          2本
        • traumerei
          1本

        記事

          Instagramスタート

          アドベントカレンダーをホームページで公開中ですが、スマホからも見やすいようにInstagramを開設しました📷 @yukime_hanamori そしてHPはPCからの表示を変えてみました http://yukime.stars.ne.jp/index.htm 今日までの分は上がっているので暇な時にでも是非 24日まで更新、26日には終了にしようかなと思います その後はまた何かインフォメーションや企画でも考えていきたい💭 クリスマスまで折り返し地点ですね🎄 年齢性別環境

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          Advent Calendar

          「Dear Santa Claus」と言うアドベントカレンダーを作りました🎄 12/1〜24まで一日ひとつ、色んな「サンタクロースへの手紙」が追加されるので暇つぶしにでもなればうれしいです 少しずつ見やすくしていきたいな💭 🎄 サンタクロースへの手紙の思い出 小学校高学年の頃、サンタクロースに手紙を書いたら、返事が届いたことがあって 切手も消印も日本のものではなく、手紙の内容は英語と日本語(パソコンで書いたものだった)で何行も書いてあってとても感動したのでした 差出人が

          Phewについて

          昨日見た夢の話から「Phew」というプロダクトが完成しました 今回はシガー型物語についてのお話です どこかの国の街角にある喫茶店の中 飴色の什器や家具 カウンターで注文をして、広めのボックス席に着く ウェイターが運んできたのはお皿に乗った葉巻煙草だった たしかそんな夢だった (実際世の中にはシガーバーというものがあるというのをこの時はまだ知らないし、今でもあまり詳しくない) そんな夢の話をもとに鳥居椿ちゃんが絵を描いてくれた そこには青年、少女、女性と煙草が並んでいる

          Phewについて

          CD「波打際」のこと

          2021/5/16(日)に文学フリマ東京に参加します 12:00〜17:00 会場 東京流通センター 第一展示場 ブース:ア-15 ※開催情報に変更がありましたらまたお知らせします そんな宣伝からスタートしました今回は「波打際」のお話をします🐚 2018年に鳥居椿ちゃん、日香里ちゃんの創作ユニット【ガラスの小鳥社】が16周年を迎えた記念に「波打際」というタイトルの展示会がありました 展示のイメージソースの提供として詩で参加することが決まり、記念演奏会で出演の永井幽蘭さんが

          CD「波打際」のこと

          「吉報」

          タイトルは誕生花の花言葉 今日またひとつ歳を重ねて、 改めて「よくここまでがんばったわね!」という気持ちを持てたのだけどそれはわたしにとっては成長なのです 数年前まで誕生日に何か特別なことを考えたこともなく、 去年はやっと「なにかしよう、すきな場所へ行き(叶えば)すきな人たちに会って、欲しいものを自分に買ってあげる日にしよう」なんて思えたのに、 世の中がガラリと変わってしまって、 さっきあげ連ねた願い事はほぼ叶わず、とても落胆していたりした でもやっぱり、ラクラクでスムーズ

          ホットからアイスにかわる日

          お気に入りの絵本屋さんは夜遅くまであいている カフェ併設の所謂ブックカフェで、 今日初めてカフェを利用してみました たくさんの絵本や児童書に囲まれて、 注文したアイスカフェオレをいただく 今日は親子が多いけれど、 平日の夜遅くに静かな店内を覗くと、おじいさんが2人、 別のテーブルにいながら店員さんを介して話してたりして、とても良い とても、良い 今日はいいなと思った本を2冊手に入れたけれど、 果たして本棚に入るのでしょうか ちゃんと読むから順番を待っていてほしい 疲れている

          ホットからアイスにかわる日

          月々色々

          1月 赤とオレンジ 2月 薄紫 3月 水色と黄色 4月 乳白色 5月 黄緑と抹茶色 6月 グレー 7月 紺色と白 8月 蛍光ピンクとミントグリーン 9月 ベージュと黒板の緑 10月 朱赤 11月 青とレモン色 12月 ゴールド、白 そんなイメージ

          prose

          ◆◇◆ チクチクする噂話 金曜日の夜、 修道女たちは金平糖を 空にまいて 天使を召喚 秘密のひとつ 安心して夢を見るのもままならない 花のくせに、だなんて 花にだって主役級と そうじゃない品種があるのよ 今までの出来事が どのように報われるか知りたいだけで 明日もきっと バラ色の口紅をひく

          ウェンディのネグリジェ

          あのネグリジェはどんな素材で出来ているのか お話の中では人魚たちにばかにされてしまったりもするけれど とても物語にふさわしい服 あの水色も夜空に映えるし、彼女にとても似合っている 「ピーターパン」はヒーローとヒロインがお互いに憧れを抱いて それぞれの役割をきちんと果たして 勇敢さを身に着けたり、人を守ったり、信じる心を手に入れたりして、 最後はお互い元の生活に戻るという終わり方をするけれど 特にふたりに恋心が芽生えていたわけではないのかもしれない ふたりとも自立していて、

          ウェンディのネグリジェ