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『劇場版ブルーロック ―EPISODE凪』鑑賞レポ【ネタバレあり】

 えーーーーそんなクソデカ感情を!!! 抱えて殴り合う姿を!!! 公式で見せてもらって良いんですか??? 血が湧きたちますわよ。やっばいですわ。というわけで自分・雪宮斎希、もはやこれしか書いてないのではという映画鑑賞レポです。

 これだけは言っておく。絶対エンドロールが終わっても席を立たないでください。後悔するからな。

以下、本編













 まずは冒頭、本編でも印象深いシーンとして挙げられていた凪のスマホトラップシーン。いやあの飛び出す瞬間の目の演出がたまらなく良い。あの、覚醒シーンでもあるあの瞳を、あそこで使ってくるのが最高に凪の才能の発露って感じがする。またブルーロックはTV版でもそうなんだけど、緩急とズームイン/アウトの演出が漫画のコマのテンポ感をよく表現してて好き。加えて〝かいぶつ〟の片鱗がいるのが、玲王が魅せられるのもわかるなぁー、と思った。

 そして! 凪あんた一人暮らしだったの! まじか! あとサッカーやる前から身体バッキバキでどうなってんだその肉体……と思うなど。絶対あの身体inゼリーだけじゃ維持できないだろ。ねぇ。(サボテン可愛がってる凪が可愛いねぇ)(心がおかん)

 それから何回も誘われるうちに凪が折れてサッカーするようになったのか。よく玲王のこと嫌ったりしなかったな。無気力だけど玲王と一緒ならそれなりに頑張る。研磨と黒尾みたいな関係性じゃん。自分そういうの大好物。良いぞもっとやれ。(でも夢見せてもらったあの部員たちは結局玲王たちに置いてかれるの可哀想だな……。まぁあの時の多くの高校がエースを欠くことにはなるんだけど)(あとばぁやがラ○ュタに出てきそうと思ってしまったのはここだけの話)

 玲王パパが息子の夢を折ろうとして、強豪校をけしかける度に、玲王率いる白宝高校がぶち破ることで、玲王&凪が天才コンビとして名を馳せることになる。もう玲王の夢の後押ししてるじゃん。アンリちゃんが2人を見つけたのだってそういう経緯だったし。ここまでくるとファインプレーですらある。

 そしてブルーロックへ。なんか他の人の視点で見ると、潔が真っ先あの説明会場で走り出したの、かなり異様に思える。いやだからこそ、潔は生き残れるだけのエゴを持ってるんだろうな。ストライカーとしての適性は、あの場では間違いなく潔が一番だろう。まさに主人公体質。
 凪は玲王のこと主人公体質っていうけれど、確かにそういうところはあるけども、どちらかというと玲王は影なんだよな。凪という大きな光の影。本人も華があるタイプだけれど、絵心に煽られてなお、

「凪を世界一にする」

と言える時点で、玲王は影のタイプだ。絵心の求めるストライカー像とはそぐわないタイプなんだけど、玲王が手を引かないと、きっとあの頃の凪はブルーロックで自分の才能を知ることも、生まれ変わることもしなかった。あの場を踏み出させた玲王の熱は、紛れもなく凪を〝天才〟にしたと思う。

 入寮テストの鬼ごっこ。残りわずかの時点で玲王にボールが当たるかと思いきや、
「それはだめ」
と凪が受けて打ち返す????? オタクに都合の良い幻覚か?? 外したら頑張った感と出しつつ終われるとか言いつつ、凪の目は絶対に当てる気だった。生き残る目だった。その無自覚さとそれに釣り合わない行動がまた凪の良いところ。これだけで関係性オタクの俺は爆発するところだった。危ない危ない。あとあの頃から斬鉄の実力は抜きん出てたんだな。

 一次セレクション初戦。あの最強チームVもぐちゃぐちゃだった時があったのか。それを斬鉄・凪・玲王の3人で得点を決め続けることでまとまりが生まれた。斬鉄と凪の司令塔が玲王だから、玲王がリーダーって感じに収まって最強になったと。よくできてる。(3人でサッカーやってんのかってぐらいにゃチームメイトの影うっすいけど)

 斬鉄の過去語り。まさかの歯医者家系の出。「本当に賢い人にはバカをバカと言わない優しさがある」ってのは本当にそう。でも斬鉄は確かにバカだけど、足が速いという特技を活かしてスポーツで食べていこうとか、鬼ごっこで跳ね返りを利用して人に当てようとか、凪が言うなら玲王に従ってみようとか、その辺の状況判断がきちんとできて、素直で、決して愚かではない。使い方次第で化けるタイプ。玲王との相性はめちゃくちゃいいと思う。

 馬狼が凪のサッカーを奴隸サッカーというシーン、周りを見ない独りよがりの王様ではなく、ちゃんと周りを、凪のことを見てるからこそ出てくるセリフだと思った。(貶してるけれど)まぁ逆鱗に触れて、凪の中のエゴを引っ張り出してしまったわけだが。そして、玲王と凪の関係に亀裂が入る音がする。

 さてさてやってきましたチームZ戦。思わぬ奮闘に追い詰められて、それを契機に完っ全に凪が覚醒する。いやあのシーン、チームZからしたら厄災到来そのものだけど、玲王にとっても福音であり厄災だったな。決定的だもの。自分なしで動いて、自分の元を離れて飛ぶ翼を得た凪は、玲王を必要としない。悔しくて、認められなくて、潔に持ってかれて。だからこそ最後、自分でシュートすることを選んだ。ストライカーとして正解かもしれない。天才コンビの玲王だったらしないことだが。

 あと凪の〝かいぶつ〟が真っ黒のドクロで黒い霧をまとって襲ってくるのを、潔のダイレクトシュートの光が切り裂く演出、天才じゃなかったか?? 天才すぎるだろ。あそこめっちゃ好き。凪にとってはああ見えていたのかと思うと、その後の関係性も含めて大変よろしい。決められたあともまだ取り返せる。再開しようって1人だけ諦めずにボール抱えて走るのも、あの熱に焦がれるのも、悔しいと思うのも、楽しいと思うのも、潔に当てられて、引っ張られたからこそなんだと思うとさーーー! 玲王の悔しさがわかってしまう。自分の手が良かったよね。この手であの生き物を変えたかったよね。凪が楽しそうで本当に良かったねと思いつつ、同時に口惜しく思うのはそれはそうすぎて……。

 個人的には千切の「良い子だ潔、あとでよしよししてやる」が劇場の非常に良い音響で聞けて良かった。エッッッッッッ////すぎて顔を覆ってしまいましたわ。隣の方も同様でしたわ。こちらがお嬢にされてしまう破壊力。ぜひ劇場で体感してほしいですわ。

 二次セレクションの3人組で、まさかの凪が玲王を捨てるシーン。行って来いが言えなかった玲王と、また玲王と組むためにを言わなかった凪。お前らちゃんと言葉にしろ! 玲王は仕方ない面もあるけれど、凪は言っても良かったろ。面倒くさがるな。凪はずっと玲王を相棒だと思いながら、一時的に離れたんだろう。だったらちゃんと言え。凪に捨てられて、選ばれなくて、ぐちゃぐちゃになった玲王の姿、結構痛々しいし。凪はずっと玲王を選ぶ気でいたのに、すれ違いがしんどい。玲王があのままロックオフしなくて良かったね。また会えて、言葉を交わせて良かったね。

 ラストの「天才は1人では天才たり得ない」は本当に凪を見つけた玲王のためにあるような言葉。日本に、世界に凪誠士郎という男を知らしめたのは、玲王の功績だと思う。凪にエゴを自覚させたのは潔だけど、やっぱり凪の相棒は玲王しか居ねぇよなーーー!! と思ったところで、凪がピッチに上がる直前の、

「待ってろ」

きゃーーーー!!! ちょっと! 俺を捨てた凪を潰すとか言ってたのに(まぁ裏返しの感情みたいなところあるけど)その台詞はアツい。やばい。てか投げた手袋、玲王が愛用してるやつでねの?? 口元抑えちゃったよもう。

「はじめまして日本……俺が凪誠士郎だ」

 なるほどこれで締めるために二次セレクション以降飛ばして日本代表戦にまで持ってったのか! 原作勢向けの演出の組み方ではあるが、良い。(でも強欲だから二次セレクションとかでの玲王のクソデカ感情もっと見たかった。全然2幕ぐらいやってくれたって観に行く)全国で上映して、もしかしたらブルーロックをあまり知らない人もいるかもしれない状況下で、このセリフはスクリーンと観客席が繋がる代物。その瞬間もう俺があの熱狂の観客席にいた。やばかった。凪のいる世界線にいた。展開駆け足でちょっとアレだなとか思ってたのがすべて吹き飛んだ。100億点。

 発展途上の天才と、その最高の相棒の未来に幸あらんことを祈りつつ、これからもブルーロックを愛を捧げていくことを此処に誓い、最後の挨拶とする。

〈了〉

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