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オープンDの音色を追って 77 ~交わらなかった三叉路~

(約5分で読めます)
 やっとのことで秋風が立ってきました。
 GAROが歌った秋の曲『どこまでも駆けてゆきたい』を聴きましょう。
『どこまでも駆けてゆきたい』は、作詞:谷川俊太郎/作曲:冨田勲。
 NHK『みんなのうた』1973年10月~11月の曲です。

 そろそろ秋なので、少し寂しい話題です。
 先日、GAROファンの先輩から画像をいただきました。
 GAROが解散するにあたって出したラストアルバム『三叉路』の広告です。
 この画像の部分的なもの、不鮮明なものは見たことがありましたが、全体的で鮮明なものは初めてです。
 文章も読み取れますので採録します。

ガロ、最後のアルバム!!

ガロが「三叉路」を残して
5年間のグループ活動に終止符をうつ
ガロは'70年12月にグループを結成してから
1年後に「たんぽぽ」でデビュー
「学生街の喫茶店」/「君の誕生日」/「ロマンス」等の
大ヒットを生み
常にニュー・ミュージック・シーンをリードしてきたが、
互の友情を誓い
それぞれ別々の音楽の世界へと
旅出っていく
この作品は
従来とは違い3人が全てプロデュースをし
しおれぞれ4曲ずつ作詩作曲、編曲を担当した
ガロ、サウンドの集大成とも云うべきもので
最後を飾るにふさわしい出来上りである
(原文ママ)
(この広告では、収録曲『仕事のあとは』が『仕事が終って』となっています)

 当時週刊誌に載ったというこの広告について、画像をくださった先輩はこう言っています。
広告は当時、週刊誌に掲載されたものでした。
トミーは既に先頭に立ってエレキギターを弾いている。もうトミーの中では「ファイヤー」の活動をしているのですね。
それを後ろからマークは左を向いて、ヴォーカルは右方向に向かって見守っている。
もう3人は別々の路へ向かっているんですね。

(ファイヤーは、GARO解散後にトミーが組んだロックバンドです)

 先輩のおっしゃる通りで、GAROファンにとっては寂しい写真です。

ペーター佐藤による『三叉路』のジャケット

『三叉路』を作ったときのことを、ボーカル(大野真澄)は、次のように語っています。

解散が決まって3人の中にあった“何か”が吹っ切れたのか、ファースト・アルバムの時以上に和気藹々とした中でのレコーディングだったし、初めて3人がレコーディングを本当に楽しんだ作品といえるものだったかもしれない。

GARO BOX アルバム解説 大野真澄

 三人の仲こそ良い雰囲気だったようですが、作り方としては、それぞれが作った曲を持ち寄った状態なので、あまりハモってはいません。各人のソロ曲を集めた感じです。

 特にトミー(日高富明)はこの先エレキギターを主体にロックをやっていくんだという気概に満ちて『ヘビー・ローラー』を演奏しています。
 しかしその一方『ペガサス』ではおとぎ話のようなかわいらしい世界観を見せており、これはアイドル扱いされたGAROという存在への置き土産のようなものかと思いました。この曲には、高校時代のバンド仲間・松崎しげるがタンバリンで参加しています。

 マーク(堀内護)は、好きだという「和」の要素を取り入れたフォークソング調のものを書く一方、アルバムの開幕を飾る『夜間飛行機』ではクイーンを意識したツインギターを取り入れて作風の幅の広さを見せています。
 ラストシングルになった『さいごの手紙』もマークの作品ですが、かなり感傷的なので、あまり好きではありません。そのB面の『青春の旅路』は、歌詞の内容がGAROファンの間で物議を醸したとされています。

『青春の旅路』はボーカルの作品です。多作なマーク、トミーに比べるとこれまでは作品数の少なかったボーカルですが、作詞に関してはデビュー曲『たんぽぽ』のときから冴えています。
『三叉路』では、何かの終わりを嘆くようでありながらサバサバした『誰もいない朝』(元は『一本の煙草』用に書かれた曲)、失恋の歌なのに恨みがましいことは何も言っていない『あいつ』、マークとトミーとのかけあいが楽しい『仕事のあとは』。いいですよね。
 ボーカルには、GARO解散後にあおい輝彦に提供した『あなただけを』(作詞)の大ヒットがあります。

『あなただけを』あおい輝彦 昔テイチク株式会社に勤めていた私はJASRACへの申請書に何度となく「作詞:大野真澄」と書いていたのです。遠い未来にGAROファンになるとも知らずに。

 結局、いちばん長く音楽活動をしているのが、名古屋から絵の勉強のために上京(セツ・モードセミナーに入学)したボーカルだというのも不思議な運命です。

 CSN&Yの『4 Way Street』をヒントにボーカルが考案した『三叉路』というタイトル。
 解散後、三人が揃うことは二度となかったわけですが、そんな未来、このときは予想していなかったでしょう。

(つづく)
(文中敬称略)

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