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オープンDの音色を追って 58 ~日高富明ソロアルバム『シークレット ゾーン』~

(約11分で読めます。前半は曲のデータ、後半がアルバムの感想です)

シークレット ゾーン

 今年1月10日にアルバム『シークレット ゾーン (+4) [2014 Remaster]』(日高富明)が配信されました。
 待望のトミーのソロアルバム復刻です。
 この調子でこれ以前のアルバム『TOMMY』(Tommy名義)も売ってくれないものでしょうか。
 ……贅沢を言うのはやめておくことにして。
 購入した『シークレット ゾーン (+4)』を、2月22日、トミーの誕生日に聴き始めました。

 デジタルミュージックなので、ライナーノーツがありません。
 作曲はトミーでしょうが、その他の情報も知りたくなります。
 調べましょう。
 ネット上に、レコードで出たとき(1979年)のデータがありました。


各曲データ

SIDE-A

1)グッバイ オリビア(3:04)
作詞・及川恒平/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Acoustic Piano&Cembalo:難波弘之
Acoustic Guitar:日高富明、堀内 護
Drums:マーティー・ブレイシー
Electric Bass:原田"KUMA"時芳
Percussion:斎藤ノブ
Flute:旭 孝
Oboe:坂 宏之
Strings:多アンサンブル

2)ビックアップルを射とめろ(4:44)
作詞・阿木耀子/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Acoustic&Electric Piano:佐藤 準
Acoustic Gitar:笛吹利明
Electric Gitar:松原正樹、日高富明
Drums:林”MITCHI”立夫
Electric Bass:岡沢 茂
Percussion:斎藤ノブ
Alte Sax:ジェイク・コンセプション
Tenor Sax:斎藤 清
Baritone Sax:砂原俊三
Trumpet:数原 普、岸 義和
Trombone:新井英治
Back Vocal:佐藤 準&圭子・ロバート・ブリル

3)ファイナルゲーム(3:48)
作詞・坂元昭二/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Acoustic&Electric Piano:難波弘之
Acoustic&Electric Gitar:日高富明
Drums:マーティー・ブレイシー
Electric Bass:原田"KUMA"時芳
Percussion:斎藤ノブ
Trumpet:数原 普、岸 義和、中川芳弘
Back Vocal:芹沢 廣、広美和子
Strings:多アンサンブル

4)サマーワインでさよならを(4:35)
作詞・坂元昭二/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Acoustic Piano & Organ:難波弘之
Electric Gitar:日高富明
Drums:村上”PONTA”秀一
Electric Bass:原田"KUMA"時芳、佐野俊幸
Percussion:川原直美
Trumpet:新田一郎、兼崎順一
Trombone:吉田俊之

5)雨の街に消えた瞳(5:17)
作詞・門谷憲二/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Electric Piano & Synthesizer:佐藤 準
Acoustic Gitar:笛吹利明
Electric Gitar :松原正樹
Drums:林”MITCHI”立夫
Electric Bass:岡沢 茂
Percussion:斎藤ノブ
Back Vocal:佐藤 準、日高富明、山川恵津子
Strings:多アンサンブル

SIDE-B

1)シークレットゾーン(4:09)
作詞・及川恒平/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Acoustic & Electric Piano、 Synthesizer:佐藤 準
Acoustic Gitar:笛吹利明
Electric Gitar:松原正樹、日高富明
Drums:林”MITCHI”立夫
Electric Bass:岡沢 茂
Percussion:斎藤ノブ
Back Vocal:佐藤 準、日高富明、山川恵津子
Strings:多アンサンブル

2)ミッドナイト・ブルー(3:22)
作詞・阿木耀子/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Acoustic Piano & Synthesizer:佐藤 準
Acoustic Gitar:笛吹利明
Electric Gitar:松原正樹、日高富明
Drums:林”MITCHI”立夫
Electric Bass:岡沢 茂
Percussion:斎藤ノブ
Back Vocal:佐藤 準&圭子・ロバート・ブリル
Strings:多アンサンブル

3)SEXY PIN-UP(4:46)
作詞・坂元昭二/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Electric Piano:難波弘之
Acoustic&Electric Gitar:日高富明
Drums:マーティー・ブレイシー
Electric Bass:原田"KUMA"時芳
Percussion:斎藤ノブ
Flute & Alte Flute:ジェイク・コンセプション
Bass Clarinet:砂原俊三
Vibraphone & Glokenspiel:宅間久喜
Back Vocal:芹沢 廣、広美和子
Strings:多アンサンブル

4)愛に向かって走れ(4:11)
作詞・門谷憲二/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Acoustic Piano:難波弘之
Acoustic&Electric Gitar:日高富明
Drums:マーティー・ブレイシー
Electric Bass:原田"KUMA"時芳
Percussion:斎藤ノブ、ペッカー、金山 功
Trumpet:数原 普、岸 義和、中川喜弘
Trombone:新井英治、平内保夫、三田治美、岡田澄雄
Horn:沖田安宏
Flute:旭 孝
Back Vocal:芹沢 廣、広美和子
Strings:多アンサンブル

5)ラスト プレゼント(6:05)
作詞・及川恒平/作曲・日高富明/編曲・佐藤 準
Acoustic Piano & Synthesizer:難波弘之
Acoustic&Electric Gitar:日高富明
Acoustic&Electric Gitar:日高富明
Electric Bass:原田"KUMA"時芳
Percussion:川原直美
Flute:旭 孝
Oboe:坂 宏之
Back Vocal:芹沢 廣、広美和子
Strings:多アンサンブル

Special thanks to
芹沢 廣(courtesy of VICTOR RECORDS)
ロバート・ブリル(courtesy of KITTY RECORDS)
堀内”マーク”護
佐藤 準&圭子
Art Direction 林 柾
Photoqraphy 内田 功
Stylist 永島智恵子

 [+4]
 上記のアルバムの後、トミーが組んだバンドMa・Ma・Doo!!のシングル曲です。
#Ma・Ma・Doo !! はスリーピースのロックバンドで、ギターとリードボーカルはもちろんトミー。
 ドラム・豊田邦仁、ベース・菅原信一郎というメンバーでした。
 Ma・Ma・Doo!!は、マサイ族の勇者を意味する言葉だそうです。

ドント・ストップ・ザ・ミュージック

『ドント・ストップ・ザ・ミュージック』
作詞・作曲/幹竜一
編曲/津村泰彦
 雑誌「ポップティーン」のCM曲。

『はるかなる旅路』
作詞・作曲/幹竜一
編曲/Ma・Ma・Doo!!

 次のシングルでは、ベースが野沢文明になります。

フルーツシャワーレディー

『フルーツシャワーレディー』
作詞・長谷川みつ美/作曲・Tony Redfield(あかのたちお)
編曲・Ma・Ma・Doo!! Tony Redfield
 ケンタッキーフライドチキンのCM曲。

『FRIDAY NIGHT』
作詞・菊地真美/作曲・幹竜一
編曲・Ma・Ma・Doo!!
 1981年「レインボー」武道館公演の前座で演奏した曲。リッチー・ブラックモアのお気に入りだったそう。

 Ma・Ma・Doo!!は当初覆面バンドとして売り出されました。
 作詞作曲の「幹竜一」はトミーのペンネームです。
 ローマ字表記では「Ryuichi Kan」。
「みき りゅういち」ではなく「かん りゅういち」なのです。
 占いによって決められたペンネームなのだとか。
 トミーいわく「新幹線の『幹』」だそうです。

アルバムの感想

 全曲聴いてみて、いちばん意外だったのはボーカル(といっても大野真澄のことではなく、歌声のことです念のため)のスタイルです。

「こんなにこぶしをまわすんだ」と驚きました。
 GAROのときとは違います。
 ボーカル(今度は大野真澄のことですややこしい)いわく「(GAROは)シンコペーションの練習は徹底的にやった」とのことですから、三人合わせて歌う必要上、独自の節回しはできません。
 そこからぬけ出たトミーの歌のスタイルって、こうだったのか。
 アルバム一曲目『グッバイ オリビア』の最初の方「(鎖に)見とれてる」から既にバンバンこぶしがまわっています。
 ちょっと演歌っぽいなと思いました。
 アルバムタイトル曲の『シークレットゾーン』では、こぶしに加えて唸るというか、すごむ唱法もあり、ますます演歌味が。
 この片鱗はGARO時代にもあったな、と思います。
『二人は友達』の歌い方が後ノリっぽいのが気になっていました。
「忘れ♪ないで ほしい」の♪部分に微妙なタメがあるし、トミーの声って「泣き」が入っていますよね。だから、演歌寄りに感じてしまうのです。
『シークレットゾーン』には、後のもんた&ブラザーズの曲に似た雰囲気もありました。
 トミーは長年続けていたら「ロック調を取り入れた歌謡曲」方向に進んでいたかもしれない、演歌歌手に曲を提供していたかもしれない、と思いました。
 現に石原裕次郎に『不思議な夢』(村井邦彦との共作)を書いていますし。

 アルバム全体がもっとロックテイスト濃い目かと思っていたのですが、そうでもなかったです。どちらかというとポップス?
『SEXY PIN-UP』はソウルっぽいアレンジも含めて『セクシー・バス・ストップ』に似ています。タイトルからしてトリビュートなのかな。
『ミッドナイト・ブルー』は『巴里にひとり』(沢田研二)リスペクトかな。

「トミーはこういう曲がやりたくてGAROをぬけると言ったんだな」という私の想像と合致するのはMa・Ma・Doo!!の方です。でも『フルーツシャワーレディー』だけはポップでアイドルの曲みたいですね。

 特に良かったのは『グッバイ オリビア』におけるマークのギター。
 GAROの『一本の煙草』に並ぶ繊細さだと感じました。
 それと『サマーワインでさよならを』。
 ブラスが派手なこの曲のトランペットは新田一郎兼崎順一だったのです。
 スペクトラム!
 GARO+スペクトラム=大好物。
 好物が組み合わさった状態を、私は「天ぷらそば」と呼んでいます。天ぷらと蕎麦が好きだからです。
 この曲は、まさに私にとっての天ぷらそばでした。

(つづく)
(文中敬称略)

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