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おまえとはやらないからな

るい(仮)くんは、1年生。
なかなか授業についていかれない。

先生の言っていることが分からない。
クラスは、みんな嫌なヤツばかりだ。
いちいちムカつくことを言ってくる。

ふと気がつくと、たいてい、お腹が減っている。
だから、大声で叫ぶんだ。
「おなかへったー!」
と。
そして、そこら中のモノを噛みちぎってやる。

先生たちは言う。
「あと少しで給食だよ」
とか、
「朝ご飯食べてこなかったの?」
とか、
「食べて良いのは給食だけだから我慢」
とか。

オレは我慢はできない質だから、
「がまんできないー!おなかへったー!」
と、叫ぶ。

先生達は困った顔をする。

本当は、お腹はそんなに空いてない。
給食だって、そんなに好きじゃない。
見たことないものがいっぱいで、正直きもい。
オレは、マックが食べられればそれでいいんだし。

それに、とにかく分からない先生の話を聞くのが嫌なんだ。
勉強っていうのが、どうしてやらなきゃいけないのか分からない。
ひらがな、たしざん、ひきざん、えをかく、ハサミできる、テスト、、、。
そんなことより、オレはキョウリュウを見ていたいし、ゲームをしたい。
本当に学校っていうところは、めんどくさい。

でも、行かないとおかあさんが怒るから。

ある日、お母さんに怒られて家を出たオレは、すごくイライラしていた。
学校に着いたけど、ランドセルを床に捨てて、机に仰向けになって寝ていた。
オレのクラスには、いろんな先生が来る。担任の先生の名前は知ってるけど、他の人の名前は知らない。俺には関係ない。
その1人が言ったんだ。
「るいくん、今日はどうしたの?
とりあえずランドセル片付けよっか?」
って。

俺は知ってる。
たいていこういう事を言うやつは、俺がランドセルをしまったら、大げさに褒めたあと、
次はあれをしよう、これをしよう、って言うんだ。

だから、言ってやった!
「おまえとはやらねーよ!」
って。

そいつは、
「えぇー!おまえ、は、ひどくない?ランドセルは片付けないといけないでしょ?」
と。

しょーがねーなー、と思っていたら、担任の先生にも言われた。
「るいくん、赤ちゃんなの?早くランドセルをロッカーにしまいなさい!」

オレは赤ちゃんじゃない!だから、言ってやった!
「おまえともやらねーからな!」

そしたら、担任の先生はすごい勢いで、オレの前まで歩いてきて、
「なんて言った?
いい加減にしなさい!言われたくないなら、さっさと一人でやりなさい!
やることもやらないで、お前!とはなんだ!」

あんまりにもすごい勢いだったから、びっくりして涙が出た。担任の先生のことは、好きだったから。
だから、言った。

「ないてない!こわくなんてない!」

担任の先生と、はじめに声をかけてきた先生は顔を見合わせて言った。

「鼻水出てるよ。」

オレは言ってやった!。

「おれ、鼻水だーいすき!」

オレはどうすればいいのか、わからなくなる。
先生達は、分かってるのかな?オレがどうすればいいのかって。
それは、ランドセルを片付けたらなんとかなることなのかって、さ。

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