絶対忘れるながやめられない 5

～会社員6人組がCDをリリースするまでの記録～
前回のお話はこちら。

2013.3～
2月に行った初ライブが思いのほか好感触だったので、興に乗った我々はそこから精力的にライブをしまくる……ことも特になく、またいつもの日常に戻っていった。会社に行ったり、バイトしたり(主にアルバが)、ダメな恋愛したり(主にセルラが)、各々が家族と過ごしたりしつつ、1、2か月に1回集まってUst配信をした。ついろぐによると高円寺のぜわすハウスでアニメ『惡の華』のエンディングテーマをみんなで聞いてたら本気で怖くなった志賀さんが自分の家に帰れなくなったことなどがあったようだ。

この頃からわたしは東中野のBAR「バレンタイン」でときどき一日店長をやらせてもらうようになった。バレンタインとは、Tシャツ界でその名を知らない人はモグリと言わざるを得ない有名ブランド「ハードコアチョコレート」を主宰しているMUNEさんが経営しているバーで、夜な夜なサブカル業界を中心にさまざまな人たちが集うお店である(そしてわたしは今も月一で働いている。お世話になっております)。で、バレンタインで知り合ったお兄さんが高円寺の「円盤」というイベントスペース兼レコードショップでイベントを主催しているというのでぜわすの話をしたら「出てよ」といってくれたので初ライブから5か月後の7/23、2度目のライブ出演が決まった。

今見てもなかなかのジャンルレス感。レゲエのビガライジさん、ヴォードヴィリアンのBARONさん、元WhiteberryのYUKIさんこと前田由紀さん。あるあるだけど高校生の時はじめて組んだバンドでコピーしたのがWhiteberryの「夏祭り」だったわたしは共演できて色めき立った。

あとその日円盤でバイトしていた「水中、それは苦しい」のジョニー大蔵大臣さんもついでにライブをしてくれてなんかラッキーな気分になったのを覚えている。全体的にほがらかでとてもいいイベントだった。ぜわすが何をやったかほぼ覚えていないけど、いつものトラック+ラップに加え弾き語りとかもやった気がする。主宰のマッチさん、その節は得体のしれない我々を出してくれてありがとうございました！

2013.10
ぜわすを見て「絶妙にイラッとする期待の新星」みたいな評をしていたジョニー大蔵大臣さんだったが、そのときの縁でご自身の主催のイベントにもぜわすを呼んでくれた。それがこれ。

その日はすいちゃんの娘さんも来ていたのだけど、トップバッターのうどんさんを見てからずっと泣いていた。なぜかというとビジュアルがこんなだから。

うどんさんはライブも狂っていたけれど、パンダのマスクを取るとはにかみ屋さんですごく優しいイケメンのお兄さんだったことがわたしたちをますます混乱させた。
(話が逸れるが彼のアルバムのポップな表題曲「こんな大人になるなんて」のYouTubeを久々に開いてみたら7高評価＆7低評価で「youtubeの評価は壊れています。私は高評価をクリックしたのに低評価になります。これは間違いなので評価を気にしないで下さい。」という誰かのコメントがついていた。うどんさんはどこまでも持っているなあ、と思った)

藤井洋平さんはヤバいロックスター。会場の空気を完全に持っていっていた。当時、名盤「Banana Games」発売直前だった藤井さんは打ち上げで「NEXT行きてえな」という名言を放っていたが、宣言どおりNEXTに行かれていた。あと個人的に大好きな藤井さん語録は「三言で言えばMusic is best」。

埼玉のトムヨークことやまのいゆずるさんは、美人ではかない雰囲気のベーシスト・かわかみえりさんとのユニットで、良い意味での暗さがとてもよかった。一時期ceroかやまのいゆずるしか聞いてない時期があったほど。今聞いても「ニュータウンの亡霊」が良すぎてためいきがでる。やまのいさんもものすごく変な人ということが後々わかったけれど文章ではうまく説明できない。己の力量不足を恨む。ひとまず「『ガリバーボーイ』、架空の映画です」という彼のセリフが我々ぜわすに深く刻み付けられていることだけは記しておきたい。

さてぜわす。序盤のうどんさんに怯えていたすいちゃんの娘さんがずっと「パンダさんこわい」と恐怖を引きずりつづけていたため抱っこしたままライブを決行。でもそんなのは関係なく他の演者がただただ強烈すぎて気持ちが負けていた。ミスもあったし、いわゆる「食われていた」状態だったと思う。今思えばライブ三回目にしてよくこんなイベントに呼んでもらえたなという感じだったが、個人的にはぜわすやっててはじめて悔しい思いをしたのがこの日だった気がする。

(これも余談だが、7月の円盤のライブには益若つばめことつーちゃんも遊びに来てくれていて、ベロベロになって円盤の壁に衝突しながらCDを買っていた。)

こんな風に思いがけず高円寺で三連続ライブをした我々だが、ある日、思いがけない連絡を受け取ることになる。

つづく。