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多岐にわたる

漫画家っていう仕事はトライアスロンに似てて、気力体力はまあ全般必要なんだけど、仕事の過程によって職能が全然違う。絵を描く能力と話を作る能力は全然別なんだけど、両方持ってないといけない。それに加えて自営業なので、営業できるだけのコミュ力とかもだ。メンタルをある程度維持できるだけの心理学的教養とかも必要かもね。絵を描く能力、と一言に言っても、デッサンが出来ている、とか、構図が上手い、とかは別の職能だし、デッサンや構図が出来てても売れるとは限らなくって、この年代に好かれる絵柄、みたいなのも関係してくる。絵、ひとつとっても才能が多岐にわたるんだ。物語もそう。ジャンルによって必要な知識教養が違うし、脚本術も必要だけど、少女漫画の場合はそういう問題じゃなくて、胸キュンが描けるかいなか、みたいなのも大事なんだわ。胸キュンとはなんぞ?みたいになってると、どれほど日本史と鎧兜に詳しくてもなかなか少女漫画では芽が出ない。それだとちょっと変化球を考えて仕事の戦略を立てなければいかん。

とにかく勉強しないといけないことが大量で多岐にわたるから、基本、自分と関係してることしか勉強しないんだけど、私、絵をあんまりきちんと勉強したことがないので、ここ1年くらいジェスドロをやっている。ジェスドロだけやってても上手くならんので、他のイラスト系のオンライン講座を受けてる。デッサンを4~5年くらいやってたひとが先生で、とにかくデッサンが上手いんだわー。ジェスドロとデッサンはまた違う。ジェスドロは動作を描いてるんだけど、デッサンは基本、光と質感だ。ああ、また多岐にわたってきた。

ほんと勉強することにキリが無いなって思いながら、勉強はしてるわけ。しかたがないからな。わりと勉強が好きなひとがなってるかんじがする。私の師匠も、なんかひとつ『これを練習する』と言ってるな、と思うと、その習慣が数年軽く続くんだ。努力を努力と思わない。舌をまくほどに博識のひとが多い業種だ。広く深い。私はほんとまだまだ。

絵はそんなかんじなんだけど、物語の資料として今日読んだのはこれだ。全部じゃない。仕事と関係しているところだけ。

明治大正期の日本政治の国際化に関する歴史書なんですけど、秋嶋亮の本と話が似ていてものっすごい面白かった。日本の国内政治ってなんだかんだいって昔から国際的な地政学的ダイナミズムの中で決められてたのね。そんなの当たり前なんだろうけど、この歳になってようやく見えてきた。近代史とか戦後政治史って、ある程度情報が自分の中で溜まって、今の日本が昔の延長線上にあることを実感として理解できて、はじめて面白いって思うんだなあー。

他にもファンタジー系の書籍も読まないといけない。漫画描きながら書籍をラジオみたいに聞いていることが多い。どの辺を勉強するか、に加え、どうやって勉強する時間を捻出するか、みたいなのにこだわらないといけない。最近はうかうか家にいると株式相場が激動すぎてぼんやり長時間観てたりするから、ネット環境のない喫茶店で書籍読んだり仕事したりをするようにしている。喫茶店を仕事場がわりにしている。そのほうが実際仕事場を借りるよりかは安上りなので。

わりと家事も私がやってて、畑もやってて、PTAもやっている。あとの時間は仕事と勉強で埋めたい。

他の、余計なことを考えない。

みたいなのが目標だ。でなければ、うっかり日本国債10年長期金利が0.3%になっただけでドキドキして観ちゃうからだ。もうあの辺のことでいまさら動揺したくないんだ。

もうあんなの観ていたくない。絶対見ない。視野に入れない。

みたいな現在の生活の方針。


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