八坂公洋に〇〇について聞いてみた(1)
ちょっと聞いてみたい音楽の話、記念すべき10回目。わたなべのカナダ出張につき、今月は番外編です。ドイツから飛び出して、カナダ・モントリオール在住のピアニスト、八坂公洋さんにお話を伺ってきました。
(わたなべ)モントリオールでフリーランスのピアニストとして活動されている八坂さんですが、もともとピアノを始めたきっかけから教えてください。
――(八坂)僕ピアノを始めたのが、遅かったんです。それまでピアノを触ってはいたけど、本格的に始めたのは12歳の頃でした。
それは日本で?
――はい。
ピアノって幼少期に始めるイメージだったけれども、12歳で始めてもプロになれる。もちろん才能あってのことだと思いますが、夢のある話ですね。
――もともと音楽は好きで、ピアノに触ってはいたんです。でもね、当時習っていた先生に聞いたら、その頃僕は指を返すことも知らないで、手をひっくり返してピアノを弾いていたらしいです。それくらい何も知らなかった。
何でもかんでも、早期教育が良いっていうわけじゃないのかな。
――自分の意志だと思います。
「本人のやりたい」という気持ち。
――そうそう。僕の場合は、もともと音楽が好き過ぎたっていうのはあるんだけれど、12歳の時にバッハと出会って、対位法と数学の関係に魅せられたんです。もともと数学が大好きで。そこからのめり込んでいった感じです。今でもバッハが大好き。
どことどこが結びつくか、わからないんですよね。とにかく、子どもには色んなものを触れさせてあげて、そこから何かを見いだせる土壌を作っておくっていうことなのかな。
――もちろんね、楽器って、早く始めるに越したことはないと思うんです、身につきやすい。そういう意味では、早く始めるって良いことだとは思うんです。ただ、「強いる」というよりは「触れさせる」っていう感覚で良いんじゃないかな。子どもって個性的じゃないですか、みんな違う。だから、音楽も一辺倒のものだけじゃなくて、色んなジャンルのものに触れさせてあげられたら良いのかなって思います。
なるほど。うちにも小さな子供がいるので、考えさせられます・・・・。
そして、どういった経緯でモントリオールに?
――僕は長崎出身なんですね。それで、一年だけ長崎大学の教育学部に行っていました。長崎大学の教育学部って、その後ピアニストとして活動されている方なんかもいて。その時は何となく、教員免許を持っておいたほうが良いのかな、っていうのもあって。
教育に興味もあって、総合大学に。
――そうなんですけれど、一年で方向性の違いに気づいて。その時、たまたま友人がマギル大学に留学をしていて、ご縁もあって大学で教鞭を執ってらっしゃる橋本京子教授のレッスンを受けることになったんです。それがとっても良かった。そして、それがきっかけで留学を決意しました。
それって、おいくつの時ですか?
――19歳です。
早いなぁ!12歳でピアノを始めてから、の流れがはやい。
――沢山の方がサポートをしてくださって。それで何とか入学できたんです。長崎大学で受けた授業を振替して、編入という形でマギル大学に入って、ピアノ科の学部と院を卒業しました。
じゃあ、もうモントリオールに来られて長いんですね。
――10年以上になりますね。大学院を2011年に卒業して、ここでピアニストとして活動し始めてから、8年になります。
八坂公洋に〇〇について聞いてみた vol.2 は、11月5日にお届けします。八坂公洋さんには、2019/2020さっきょく塾の演奏家ゲスト講師を担当頂きます。実際に楽譜を見てもらって、コメントをもらったり、試演をして頂くことも予定しています。オンラインで学べる・知れる現代音楽の世界。購読、そしてサロン入会方法は以下リンクよりご一読ください。