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女性作曲家は男性作曲家より稼いでいる額が30%~40%少ない?

先日行ったドイツ人女性作曲家ブリギッタ・ムンテンドルフ(Brigitta Muntendorf)が事前インタビューでこう漏らしたんです。

「女性作曲家は男性作曲家より稼いでいる額が30%~40%少ない」

欧州でも、ここ日本でも殊に美術界においては、出展アーティストの男女比が問題視されている現状があります。欧州現代音楽界でも似たような状況があるわけですが、ブリギッタの発言を聞いて、委嘱される作曲家の男女比だけでなく、委嘱費用までも差があるのか?疑問に思いました。そもそも、日本では委嘱費用について公にしないような風潮がある中で、ドイツでは一体どうやってどんな形でリサーチが行われているのか、興味を持ち、調べてみることにしたんです。

先の数字は、Deutscher Musikratが出している研究によるものだとブリギッタから聞き、そちらの文献から探してみることにしました。そうしたら、出てきたんです。文化と女性に関連する山のような数字資料が!

Deutscher Kulturratが出版しているこちらの文献(PDFでも手に入ります)。女性と文化の関係について、現実的な数字が書かれていて、目から鱗。著者はGabriele Schulz、Carolin Ries、Olaf Zimmermann氏。タイトルは「Frauen in Kultur und Medien - Ein Überblick über aktuelle Tendenzen,
Entwicklungen und Lösungsvorschläge」となっておりまして、日本語だと「文化とメディアの中の女性たち - 実際的傾向、発展と問題解決のための提案」となるでしょうか。

こちらのリサーチについて紐解いていく前に、以下の記事、同著者によるものですが、同様の内容がわかりやすくまとめられていましたので、少し引用したいと思います。

ドイツには女性と男性のアーティストがどの位いるのでしょうか?

Künstlersozialkasse(KSK)の調べでは、多種多様な文化を担うアーティストと呼ばれる人たちが約20万人登録していますが、アートという分野の曖昧さからそれを数値化するのは、難しいことかもしれません。このリサーチでは、そういった曖昧さは承知の上で、上述のKSKのデータを基に数値化してみることにしました。(中略)リサーチによると平均して、ドイツではクリエイティブな人材の大半は他の従業員よりも給与が低く、パートタイムとして働いています。また、フリーランスとして活動している方が多いことも特徴です。昨年、自営業のKSKメンバーの平均年収は、男性で20,000ユーロ(約260万円)と好調でしたが、女性の場合は、16,518ユーロ(約219万円)という低い数字になっています。(中略)賃金格差に加えて、自営業者の多くが十分な退職金や、パンデミックのような危機的状況に備えた準備金を用意できないことを示しており、改善すべき問題として熟慮する必要があります。正社員よりも週の労働時間が長いにもかかわらずです。男女平等、クオーター制、MeTooなどについて広く世間で議論されていますが、お金の面では何も変わっていません。

Wie geht es Künstlerinnen und Künstlern? Gender Pay Gap? Tendenz steigendより引用(意訳あり)※ドイツ語

日本の現状は、なんとなく肌身で感じることはありますが、実際的なことがわからないので、ツイッターで簡単なアンケートを試みることにしました。

1~2声部、10分程度の作品に対して委嘱費用は大体いくらで受けていますか?

ちなみに2021年6月24日夜7時の時点で、95票頂いていて、こんな中間状況です。

FireShot Capture 418 - (1) わたなべゆきこー6_29はオンラインイベント”Knappe Berührung”上演会さんはTwitterを使っています 「悩むな_ - twitter.com

作曲家のみなさま、ぜひご協力頂けましたら嬉しいです。明日までアンケート、オープンしておきます。ソロもしくはデュオ作品、10分以内で頼まれたらいくらで引き受けるか、引き受けてきたか。ざっくばらんに思いついた金額でお答えください。

演奏家はいくら払えるのか?のアンケートもご希望がありましたので、後日できたらと思います。

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