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冷水乃栄流さんを迎えて②

夏にさっきょく塾で行った冷水乃栄流さんのレクチャーから第一弾、ようやく書き起こしを掲載します。冷水さんは、1997年和歌山県生まれ、現在東京芸術大学修士課程で学ぶ若手作曲家さんです(2020年12月現在)。今年行われた第30回芥川也寸志サントリー作曲賞で最終候補作品、また聴衆賞を受賞した「Not Found for Orchestra」についてお話頂きました。第一弾に続き、第二弾。後半部分の塾生さんからの質問を中心にお届けします。

冷水乃栄流さんを迎えて①

Q. 「Not Found」の創作にあたってビジュアル的なイメージがあったんでしょうか?

冷水:ありそうなんですが、実は最初はなかったんですよ。寧ろ自分としては「あれば良かったのに」って思うくらい。

さっきお話した世界観を出すために、「ベートーヴェン!第九を使おう!」というのは先に決まってたんですけど、結構最初苦労したんです、核心を得ないまま筆を進めてしまっていて。

その時のことよく覚えていて、2018年の12月20日だっと思うんですけど、新幹線乗って東京から和歌山に帰省するときに、「ああ!これだ!」って、突然ストンって落ちる瞬間があったんです。そういうのって最初からあるんじゃなくて、得体も知れないものと格闘していく中で突如として現れる。自分の創作の中で、結構大事にしていることでもあるんですよね、根拠のない核心というか、「なんかわかんないけど、この曲行けるぞ」っていう。

Q. 「Not Found」を書くにあたって参考にした作品はありますか?

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