机の上の交換日記
ちょっと暇だったので、小学生頃の塾でのエピソードを書いてみようと思う。
小学4年生か5年生ぐらいから、中学受験のための塾に通っていた。
自転車に乗ってバスに乗って、自宅から1時間くらいはかかっていたと思う。
週に1回。土曜日だけ通っていた。
一緒に通っていた子は、他の曜日も行っていたけど、当時わたしは成績が悪くなかったので土曜日だけ通えばよいと言う事になっていた。
教室で座る机は、誰がどこに座るか決まっていた。
塾の机なので、曜日や時間によって、別の学年や学校の子が同じ机を使う。
小学校でよく使われているような天板が木の机だった。
机は使い込まれて、傷があったり、落書きがされているものが多く、きれいな机にあたればラッキーであった。
ものによっては、彫刻刀で掘ったのではないかと思われるような机の板を貫通するような致命的な穴があいていたり、テストの際にえんぴつがひっかかるような傷があるものもあった。
わたしの使っていた机は、そんなによごれていない方だったと思う。
ある日塾の自分の席に座ると、大きな魚の絵が落書きされていた。
机の右上に、机の8分の1くらいを占める大きさで、力強いタッチで、かつ細部まで書き込まれていた。
とても上手に描けており、なかなかの力作であった。
思わず、絵の感想みないなことを書き込んでしまった。
次の週、その机に座ると、それについて返信が来ていた。
そうして、なんとなくその絵の主とわたしの数行の言葉を机に書いておくと言うやりとりが続いた。
勉強の愚痴や学校であったことなども書いていたかもしれない。
何を書いていたかは今となっては思い出せない。
そのあと、わたしはたぶん特に何も書き込まなくなったんだと思う。
冬になって受験シーズンになった。
いつものように机に座ると、
「もう最後になるから、なんでもいいから、何か書き込めよ。」的なメッセージが書かれていた。
ちょっと驚いた。
そしてちょっと嬉しかったような気もする。
だが、何を書き込んだらいいかわからなくて、書き込むのを躊躇してしまった。
それで、その日は何も書き込まなかった。
後日何か書き込んだような気もするが、それについての返信は来なかった。
よく考えてみると、その書き込みをしていたのは6年生で、まさに受験に突入して、その机は使わなくなったのだと思う。
そしてわたしも学年が1つ上がり、使う机は変わった。
・・・・以上
知らない子と塾の机で交換日記みたいなことをしていたと言う話でした。
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