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生後5ヶ月息子の先天白内障手術までの記録

先日、息子が右眼先天白内障のため手術を受けました。手術を受けるまでいろいろと調べましたが、稀な病気のためか、あまり情報が出てきませんでした。以下、私の息子に起きたことを書き留めておきます。

先天白内障とは?

生まれつき水晶体が白く混濁しており、1万人に3人に起こる稀な病気です。良好な視力を獲得するためには、両眼性では生後10~12週、片眼性では生後6週までに手術を受ける必要があります。両眼性の場合、風疹などの子宮内感染が原因のことがあるそうですが、片眼性の場合は突発性のことが多く、原因不明と言われました。息子の場合は右眼のみで、先天性の眼疾患のある親戚は知る限りではいません。

小児眼科を受診するまで

生後1ヶ月半を過ぎた頃、上2人と比べて発達が遅いように感じました。そろそろ目が合ってもいい頃なのに目が合わない、1人で遊ぶことができず、よく泣くので抱っこばかりしていました。夫も目が合わないと違和感を訴えていましたが、成長していく上で気にならなくなるだろう、と軽く済ましてしまいました。このタイミングが、良好な視力を獲得するための手術のリミットでした。どうしてこの時きちんと話し合って行動しなかったのか、とても後悔しています。。

生後3ヶ月になり、ハンドリガード(自分の手を眺める動作)をあまりせず、右眼の斜視も気になってきました。ここでやっと小児眼科の予約を取りました。評判の眼科のようで、予約は3週間後。受診まで斜視について色々と検索し、不安な日々を過ごしていました。

斜視の治療でアイパッチ(良い方の目を隠して、悪い方の目で見るようにする訓練)があることを知り、試しにやってみることにしました。左目を隠すと右目がキョロキョロ定まらず、眼振が強くて驚きました。小児眼科の受診までまだ先だったので、別の眼科を受診することにしました。そこでは斜視は否定され、3歳にならないと視力検査ができないからわからない、と言われました。

小児眼科の受診

生後4ヶ月になる前日が小児眼科の受診の日でした。右眼の中に濁りがあり、先天白内障の疑いと診断されました。ただの斜視だろうと思っていたし、肉眼で見る限りでは濁っているようには見えなかったので、この診断には驚きました。小さな眼科なので詳しい検査はできず、国立成育医療研究センターの予約を取っていただきました。予約は最短で1ヶ月後。先天白内障で検索すると早急に手術が必要だと出てくるのに、また待つのか、、と行動が遅かった自分を責めました。左眼の視力はだいぶ発達してきたようで、1人遊びも集中してできるようになりました。嬉しい反面、右眼との差が開いていくのが心配でした。

息子は生まれた時から右への向き癖が強かったです。授乳の際も右側だけ嫌がる(首を左に向けないと飲めない)ので、向き癖のせいだと思っていました。先天白内障の疑いと診断されてからよく観察してみると、右側の授乳時に左目が隠れ、右目の眼振がありました。暗いところでの授乳は嫌がりませんでした。眼振の症状がいつから始まったのかは不明ですが、私がもっと観察していれば早く気づけたのに、、とまた後悔しました。

国立成育医療研究センターの受診

生後5ヶ月になる前日、国立成育医療研究センターの受診の日でした。先生が光を当てて軽く見ただけで、「反射返ってこないね。」と一言。その後、散瞳の目薬を何回かさして改めて診てもらい、右眼先天白内障と診断されました。どうか誤診であって欲しい、、と夫婦で願っていましたが、誤診ではありませんでした。最短で手術の予約をし、10日後に入院が決まりました。入院前の検査として、採血とレントゲンをしてもらい、この日は帰宅しました。

入院当日

コロナや風邪に気をつけて過ごし、無事に入院当日を迎えました。身体測定と麻酔科医の診察、眼科医から手術の説明を受けて病棟へ。ベッドでころころ寝返りをして機嫌よく遊んでいました。面会時間終了に合わせて帰宅。息子が生まれて初めて別々に過ごします。

手術について

目にストロー状の2本の針を刺し、一方からは目の成分と同じ水を入れ、他方からは水晶体と硝子体前部を吸い取ります。硝子体前部を除去するのは、硝子体が流れてきて他の病気になるのを防ぐためだそうです。片眼性なのでメガネは難しく、術後はコンタクトレンズを装着すると説明がありました。

手術当日

手術中は保護者待機が必須なので、朝8時に病室へ。麻酔前6時間は絶食のため、夜中2時のミルクが最後で空腹のご様子。ずっと指しゃぶりをしていました。目薬で瞳孔が開いているせいか、いつもより強めに斜視を感じます。9時ごろ、抱っこして手術室前までお見送り。いってらっしゃい、頑張ってね!

10:20ごろ、手術が終わり、担当の先生から説明を受けました。目の奥の構造は異常なく、視力が向上する可能性はあると言われました。少しほっとしました。傷は0.5ミリほどの小さなもので、痕も残らず痛みもほぼないそうです。

手術室から息子が出てきて、一緒に病室へ戻りました。両目に眼帯、足には点滴と血圧&心拍モニターがつけられています。なかなか痛々しい。。両目に眼帯の理由は、右目だけに眼帯をしてしまうと左眼の視力が発達してしまうためです。両手で指しゃぶりをすると伝えていたので、点滴は足から入れてくれたようです。手術当日は絶対安静のため抱っこ禁止です。少量の水を飲めるか確認して問題なかったので、1時間後にベッドに寝かせたままミルクを飲ませました。ミルクを飲んだ後も麻酔の影響かほぼ動かず寝ているようでした。

手術翌日

手術翌日からは授乳時の抱っこの許可が出ました。眼帯を外すのを防止するため、肘が曲げられないようにバンドで固定されていました。さらに、寝返りの防止のため、ベッドにくくりつけたベストを着せられていました。見た目は可哀想だけど、息子は喃語言いながら足をバタバタさせてご機嫌で安心しました。

目薬の指導があり、術後初めて右目を見ました。充血しているけど、想像しているほど真っ赤ではなかったです。

術後4日目

左目の眼帯は外し、右目のみ格子状の眼帯に変えてもらいました。シャワー(ベビーバスで沐浴)も可能になりましたが、目に水が入るのはNGなので、洗髪は禁止でした。

術後6日目

目の状態が安定してきたので、コンタクトレンズの度数を測ってもらったようです。よくわからないですが、目に光を当てて反射を見て計測したそうです。

術後7日目

コンタクトレンズの着脱練習をしました。黒目から少し離れた部分は結構充血が残っており、痛々しかったです。息子がそこまで嫌がらず、割とスムーズにレンズの着脱ができました。外すのが難しいけど、コツを掴めば大丈夫そう。練習がうまくいかず、退院が2〜3日延びちゃう子もいるらしいです。。私自身がコンタクトレンズを使っていて慣れているので良いですが、扱ったことない人は大変だと思います。

術後10日目、退院!

退院診察も無事におわり退院。洗髪も許可が出ました。頭の脂漏性湿疹が増えて可哀想だった。。

退院後

目の充血はなくなり、若干白目が黄色っぽいですが、日に日に白くなってきています。術後に処方された目薬が3種類あり、退院後も1ヶ月間は続けるように指示がありました。1日に5回が2本と2回が1本です。朝寝と昼寝の時間もあるので、点眼はなかなか大変です。

あと、息子めっちゃ顔ぷくぷくしたし重くなったなあ〜と思ったら、入院時の体重から700gも増えてましたw

手術のために予防接種を先延ばしにしていたり、6〜7ヶ月健診があったり、皮膚科に行く用事があったり、引き続き眼科の診察もあるのでしばらく忙しく過ごしそうです。離乳食も開始しなくては…!

入院費用

手術ありの11日間の入院でしたが、子ども医療費助成制度のおかげで、自己負担は食事代だけでした。離乳食開始前なので食事といってもミルクのみですが、月齢かかわらず金額が一律に決まっているようで、トータルで16,000円ほどでした。この食事代も自治体に申請すれば返ってくるようです。なので、実質無料です。すごい!

療養費(治療用装具)の支給

9歳未満の小児が小児弱視等の治療として、メガネやコンタクトレンズを購入した場合、療養費として8割返ってきます。さらに、自治体への申請で自己負担分も返ってきます。ただし、購入金額の上限は約16,000円(コンタクトレンズの場合)。うちは今回4枚購入して5万円越えなので、上限を超えてしまいます。また、申請後1年間は再申請できないようです。度数は半年〜1年毎に変更する予定なので、無くしたり度数の変更があると自己負担がなかなか大きくなりそうです。

弱視訓練について

大人の白内障とは違い、手術をしたからといって見えるようになるわけではありません。生まれつき見えていなかった(光は感じていたようです)ので、見える方の眼を使うよう脳に記憶されてしまっています。

コンタクトレンズが届き次第、アイパッチで良い方の目を隠し、弱い方の目で見るように弱視訓練を開始します。コンタクトレンズがない間は訓練をしても意味がないそうです(水晶体がないので裸眼では近くも遠くもピントが合わない)。起きている時間の半分を目安に指示されました(それ以上すると、良い方の視力の発達に影響が出てしまう)。訓練中は、絵本やスマホなどの細かくて色鮮やかなものを見せて脳を刺激するのがおすすめとのことでした。目標視力は0.1。矯正視力で0.1はなかなかツライなあ、、とは思いますが、0.1より視力が伸びる子もいるようです。最大限視力を伸ばせるよう、前向きに頑張っていこうと思います。

最後に

長女が赤ちゃんの時、点頭てんかんの疑いで大きな病院にかかったことがありました。この時は、たまたま点頭てんかんの知識が頭にあったので、発作とみられる症状があり、すぐに受診することができました。脳波の検査をし、異常はありませんでした。4歳現在、元気いっぱいです。

長男の先天白内障に関しては知識がなく、違和感を覚えながらもすぐに行動ができませんでした。人生で一番の後悔をしています。先天白内障は早期発見が重要な病気であるにもかかわらず、早期発見がなされていない病気です。主治医曰く、小児科医が診ただけでは気づけず、1歳過ぎてようやくわかることも多いそうです。生後6週までに手術をするためには、遅くとも1ヶ月健診で気づく必要があります。手術を受けた病院では、目についても1ヶ月健診の所見に含まれているようです。私が出産した個人病院も含め、多くの産院では1ヶ月健診で目を診てくれるところは少ないのではないでしょうか。親が必要な知識を身につけ、日頃からよく観察し、少しでも違和感があれば受診して相談することが重要だと改めて認識しました。

同じ病気を診断された方、子どもを持つ方、これから親になる方にも読んでいただけたらと思い、ここに残すことにしました。どなたかの役に立てましたら幸いです。


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