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お絵描きで学ぼう! ~野毛の植物~  

 この企画は、野毛公園 拡張地域 近隣に住む オーストリアご出身のF.Christianさんによるご提案。当日(2022年3月26日(土))参加者の皆さんに描いていただくテーマ(生き物・植物)は自由。公園内の豊かな自然を象徴する姿をヒントとして3つのパネルにして提示します。パネルは、グラフィックデザイナーの上村知世さんが制作してくださいました。その素案は、毎月「野毛公園:生き物調査チーム」で観察した学びから3点ほど私の方で抜粋しました😊

A:イチョウ (イチョウ科) Scientific name:Ginkgo biloba

2021.11.26 撮影 @New Noge Park

 秋には、その葉を鮮やかな黄色に染めるイチョウ。東京都の木、そして、野毛公園のシンボルツリーにもなる樹形の美しい樹木です。世界で最古の樹種の一つで原産は中国。名前の由来は、中国名「鴨脚(ヤーチャオ)」が転じてイチョウへ。そういえば、葉っぱはカモの脚にある水かきに似ていませんか? 

 イチョウには、花粉を出す花を咲かせるオスの木と、実がなるメスの木があります。メスの木は、受粉した後に、銀杏(ギンナン)と呼ばれるオレンジ色の実をつけます。オスの木とメスの木の見分けは、花が咲く時期(4~5月)と、ギンナンがなることでわかりますが、それ以外の方法で見分けるのは難しいようです。

イチョウの「乳(担根体)Ginkgo tree chichi」の正体は?

 所説あるようですが、専門家も結論は出ていないとのこと。根でも枝葉でもない構造で、シダ類がもつ特異な器官です。この担根体は、場合に応じて先端が根に変じたり、枝葉に変じたりするのが特徴だそうです。

◆信頼できる専門家の解説

https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2354

パネル A


B:コナラ (ブナ科) Scientific name:Quercus serrata

幹の周りの植物はナンテン 官舎時代のなごりかも・・・
撮影 2022.2.25@New Noge Park

芽を出しても、なぜ大きくならないの?

 今、この公園には成長したコナラの木が一本だけあります。コナラは雑木林(昔の人が生活に必要な火を燃やすための薪を得るために手を入れた森)の代表的な樹木のひとつで、冬には葉を落とす落葉広葉樹です。

 コナラのドングリは細長く、葉は横幅が広く縁がギザギザ、木の幹には縦にみぞがあります。ドングリは9月下旬~10月に熟し、実を落とします。ドングリはたくさん実る年と全然実らない年があります。さて、今年の秋はどうでしょう?

 コナラの実(ドングリ)は乾燥に弱いので、落ちた後すぐに根を地面に伸ばしそのまま冬を過ごします。冬の間に外側の殻が割れてとれてしまうものもあります。ドングリの中身は子葉(双葉)で、たくさん栄養が蓄えられています。赤くなる子葉もあり、園内を散策していると目につきます。新緑がまぶしい季節になると、雑木林の地面にはたくさんのコナラの実生(ドングリから芽を出したもの)が見られます。ですがほとんどの実生は大きく成長してドングリを実らせることなく一生を終えます。

 コナラ(ブナ)は生長するにしたがって、根から毒素を出していきます。そのため、一定の範囲に一番元気なブナだけが残り、残りのブナは衰弱して枯れてしまうのです。とはいえ、自然界はとっても複雑。近くに2本のブナが双子のように生えている場合もあるのです。

なぜ? と思った人は、いろいろ調べてみてね!

秋に落ちたドングリから赤い子葉(ふたば)が・・・
撮影 2022.2.25@New Noge Park

ブナの毒(アレロパシー)について

◆信頼できる専門家の解説

https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1989

パネル B

C:イヌシデ(カバノキ科)と、ビワ(バラ科)

 Scientific name:Carpinus tschonoskii Maxim/ Eriobotrya Japonica Lindley

2022.1.13@New Noge Park

 イヌシデは、本州から南の雑木林などでよく見られる落葉樹。この公園内にも何本か見られます。似たものにクマシデやアカシデなどがあります。よく知られる植物と少し違う種名に「イヌ」と付けられることがあります(例・オオイヌフグリやイヌタデ、イヌムギなど)。シイタケのホダ木によく使われることでも知られる樹木です。

 ビワは、だいだい色で楕円形の果物がなる、あのビワです。中国の揚子江沿岸や日本の関東地方より西に生えている一年を通して葉が落ちない常緑樹。 花は11~12月に香りの強い白い花をたくさんつけ、6月ごろ実がなります。

この木はイヌシデ。 さて、まん中の葉っぱは何?

 このイヌシデの木の枝の分かれ目にはビワの幼木が育っています。こんなところでなぜ、ビワが? 目撃者がいないので、本当のことはわかりませんが、おそらく鳥などが、どこからかビワの実を運んできて、この木で食べてタネを残したのかもしれません。もしくは、動物などが、ビワの実を丸ごと食べて木に登り、そのフンがタネごとここに残ったのかもしれません。

 公園内の大きな木を見渡すと、他にもこのようなビワの幼木がひっそり育っているすがたが見られます。発見したら教えてね! 

パネル C

 自然界の営みをいつも観察していると、その季節の物語がいくつも発見できることでしょう。

その発見を、ぜひアート作品に表現してみてください(^^♪


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