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台湾的音楽 以莉高露 Ilid Kaolo

ラジオで紹介していた、台湾のアーティストをnoteに書き記すシリーズ。
以莉高露 Ilid Kaolo 
イリー・カオルーと読みます。

台湾のシンガー・ソング・ライターで、"大地から伸びる美しい歌声" と称される女性です。何かと心配事が多いいま、彼女の歌声はとても優しくカラダに染み込みます。

「17歳のあなた」
新アルバムに収録される曲です。ゆったりとしたテンポとアコースティックの音色、そしてイリーの優しい歌声が合わさり、穏やかな曲です。曲の雰囲気は穏やかですが、歌詞の内容は悲しい話で、その歌詞を追いながらMVを観ると、穏やかさの中にも、柔らかいけれども、そこはかとなく悲しさがも感じられるような曲です。
この曲は、彼女の大叔父さんを題材にした曲で、彼は戦時中に日本企業の船員となって働いていましたが、アメリカ軍の爆撃により命を落としたそうです。彼が17歳のときのことだったそうです。いまは、海に眠る彼のことを想った歌、ということなのです。

「美好時刻」
2015年のアルバム『美好時刻』から。
アコースティックの音色が柔らかくて、小春日の縁側のような、ほっとする感じが良いです。恋愛かどうかは、きっとその人の心情に委ねられる感じですが、人との出会いでとてもいい時間が流れて、人生が優しく良い方向に流れていく、というような歌詞。彼女の歌声にも、とても説得力があり、聴いていると顔を上げて前を向きたくなる、そんな気持ちになります。

以莉高露(イリー・カオルー)は、幼少期に台湾の原住民アミ族の集落で暮らし、7歳で台北へ移住。いまは、スローライフを求めて、台北ではなく台東で暮らしています。音楽活動だけではなく、農作業もしてお米を収穫して毎年数量限定で販売し、多くのファンが買い求めているそうです。アコースティックで優しい音色や、何か懐かしさを感じるのは、彼女のライフスタイルが関係しているのかもしれませんね。表面的ではなく、生活に根差したところで音が鳴っている、そんな感じですね。

「輕快的生活」
2011年の作品ですが、同名のアルバムで第23回 金曲奨(Golden Melody Award)で、最優秀新人奨、最優秀原住民歌手奨、最優秀原住民語アルバム奨を獲得しています。
台湾のグラミー賞と言われる、金曲奨(Golden Melody Award)は賞の区分が、台湾の言語で分かれいるというお話は、前に紹介した通りですので、気になる方は、コチラの記事も読んでみてください。

さて、2017年にFUJI ROCK FESTIVALに出演、2018年には元ちとせとのコラボレーションなど、日本でも活動をされている彼女。
最初に紹介した、「17歳のあなた」を収録する、3枚目の新アルバムですが、リリースに向けて、いまクラウドファンディングがスタートしています。アルバムでは、音楽による "短編小説集" を作ることを試みているそうです。「17歳のあなた」を始め、アミ族に伝承される神話などの情景が描かれるそうです。

また、ギターの演奏には、bonobos、LITTLE TEMPOのメンバーの小池龍平さんが担当。小池さんは、久保田利伸、畠山美由紀などの多くのアーティストのサポートも務めています。「17歳のあなたのMV」の制作も日本の制作会社CHANCE MAKER Film Connectionsが担当と、日台のクリエイターが活躍しています。

他にも、このアルバムでは編曲にYELLOWの黄宣を始め、多くのアーティストが参加するなど豪華な布陣です。
クラウドファンディングの詳細は、こちらです。
リターンも、いろいろあって面白そう。

以莉高露 Ilid Kaoloも、Spotifyで曲を公開しています。ぜひチェックしてみてください。


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