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台湾的音楽 阿爆 ABAO

ラジオで紹介していた、台湾のアーティストをnoteに書き記すシリーズ。
阿爆 ABAO。アーバオと日本では表記されていますね。

台湾の女性シンガーソングライターです。
歌声に大地のような広さや力強さがあるアーティストで、ジャンルでいうとソウルからR&B寄りですね。
台湾の原住民、パイワン族であり、ビデオなどでも民族衣装をモチーフにしたものを身にまとっていて、そこからも彼女のアイデンティティを感じることができます。(※台湾では、先住民ではなく原住民という呼び方が一般的なので、今回も原住民と表記しています。)

2019年リリースの『kinakaian 母親的舌頭』に収録されている「Kinakaian 母親的舌頭」。歌詞は、パイワン族の言葉です。この作品自体が、パイワン語族の歌謡を基調として、彼らの言語で歌われた作品です。

同アルバム収録の「1‐10」は、パイワン族のファミリーのこと10個のエピソードで歌う感じ。ちょっとレゲエのような雰囲気もありつつ、子どもたちの出てきて楽しいMVです。パイワン族の衣装がカラフルで美しい。

台湾には、台湾のグラミー賞とも呼ばれている、金曲奨(Golden Melody Award)というアワードがあります。台湾でリリースされた作品から優秀な作品に賞を授与するものですが、特徴の一つが賞の区分。楽曲賞や作詞賞、編曲賞などは、万国共通かと思いますが、歌われている言語別に賞があるのです。

少し歴史の話になりますが、台湾にはパイワン族やアミ族、タイヤル族などの原住民が暮らしていました。時が流れて1600年代~1800年代に中国大陸から客家人などが渡ってきます。その後、日本統治時代があり、第二次世界大戦が終わり、蔣介石と共に渡ってきた漢民族をルーツにする人たちがやって来ます。台湾は、いろいろなルーツを持つ人たちが共に暮らす、多様性のあるところなのです。

ということを踏まえて、金曲奨には、言語別の賞があるのです。
原住民族の言葉で歌われている作品に贈る賞、台湾語で歌われる賞、北京語で歌われる賞、客家語で歌われる賞、言語に関係なく最優秀作品に贈られる賞…といった感じです。

昨年に発表された、第31回 金曲奨 (Golden Melody Award)では、彼女の『kinakaian 母親的舌頭』が、アルバム賞と原住民語アルバム賞を。収録曲「Thank You 感謝」が楽曲賞と三冠を達成しています。

楽曲賞を受賞した「Thank You 感謝」。
ゴスペル調の楽曲に、魂が揺さぶられ、とても好きな曲です。

「tjakudain 無奈 feat. 李英宏 aka Dj Didilong」
いろいろなルーツを持つ人が集まる台湾ですが、私自身、旅行で行っているだけなので、暮らす人たちや社会が抱えていることまでは、詳しくは理解していないのが現状ですが、この曲を聴いた時には、その一面を垣間見たような気がしました。

打ち込み、ラップと耳にしているだけだと、トラックがカッコいいところに彼女の歌声も混ざっていいなと思いのですが、字幕に出ている日本語の歌詞を読むと、民族間での恋愛とか難しいところがあるのかなと。
あくまでも推測ですが。

自分のルーツの言葉で歌うことや、こういう曲を歌うこととか、エンタメだけではなく気付きを与えているようで、歌のもつチカラを最大限に活かしている方だなと思いました。

彼女の楽曲もSpotifyで聴くことができます。
またFacebookも頻繁に更新しているので、活動の様子を見ることができますよ。日本語ではないですが…。
ぜひチェックしてみてください。

ちなみに、台湾の楽曲を紹介するコーナーがあるのは、FM FUJI「Y’S TOKYO」です。毎週土曜日、午後2時~5時まで。台湾のコーナーは、午後3時5分くらいからです。
(東京は 78.6MHz 甲府は 83.0MHz/80.5MHz。Radikoでもお聴き頂けます。)

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