豊穣の女神イシスの根源

エジプトにおける豊穣の女神はイシス。
冥界の王オシリスの兄妹であり、妻。
オシリスの星は南極老人星カノープスとされる。
ではイシスは?

イシスの星は、りゅう座エルタニンもしくはおおいぬ座シリウス、または乙女座ともされる。
シリウスはナイル川の氾濫の時期を知らせる重要な星であるのは有名な話。
シリウスが夜明け前に見える頃、夏至を迎える。
夏至は太陽が一番力を持つ時期である。

りゅう座エルタニンは、紀元前3500年頃には暁天に昇る光が神殿奥の神像の眼を射たと言われる。

乙女座は、北極星がこぐま座βの頃の秋分点を示す。
春分の頃、太陽が力を増していく、農耕の時期を知らせる星座である。

エジプトは、太陽を中心に物事を捉えていた。
そして太陽の力を導く星が豊穣の星とされたのだろう。

さて、全天一明るいとされるシリウスであるが、シリウスはいつの時代も夜空に見えていた訳ではない。
北極星がこと座ベガにあった14000年前の夜空では中緯度帯の場所からシリウスは見えない。
白鳥座、こと座、ヘラクレス座に北極星が座す時代、シリウスは夜空に輝くことはなく、オリオン座さえ、三ツ星あたりまでをのぞかせるだけであった。
また、季節は逆転しており、オリオン座は夏を代表する星となる。
これは地球の歳差運動による。

地球の気候は最終氷期を終えて温暖化し、一万年前頃から定住化が進み、農耕社会へと変化していく。

定住化が農耕につながり、太陽暦の成立を促した。

太陽系は、銀河をこと座ベガに向かって進んでいる。
ベガは14000年前の北極星であった。
14000年前、ベガを中心に天文学が花開いたと想像する。
毎夜沈むことなく、ベガとデネブとアルタイルが見えていたとしよう。
この天体の観測を通じて、既に地球の歳差、章動、惑星の楕円軌道を知っていたのではなかろうか。
デネブも北極星となる星である。
北極星がデネブからベガにかけての時代に、りゅう座に黄極を発見した。
それを、アンクが象徴しているように思える。
アンクは、ラテン十字に卵型の輪っかがついた生死の鍵とされ、十字と輪の結び目はイシスの結び目と言われる。
輪っかは地球の歳差運動の軌道を、十字は楕円の軸を象徴しているのではないか。

豊穣の女神イシスの根源は、こと座のベガ。
ベガは、太陽系が向かう場所。つまり太陽を導く星。
また、14000年前に、沈まぬ北極星として北の夜空に鎮座し、南極星カノープス(オシリスの星)と対を成していた。
だが時代が下るにつれ、ベガはその存在の意味を失っていく。
ベガはアラビア語で落ち行く鷲と言われるが、天の中心の地位から失墜した事にも重ねられている気がする。

ベガは、こと座をなす星であり、日本では織姫として有名である。
この東西の物語の根源に、ベガの役割をみる。
こと座はオルフェウスの竪琴である。
亀の甲羅に7つの弦を張って作られたもの。
音楽の神でもある太陽神アポロンから譲り受ける。
亀の甲羅は天空を、七つの弦は、太陽系の惑星の軌道にあたる。
太陽系の惑星の縦糸は、こと座に向けて張られている。

また、機織り仕事に従事する織姫ベガは、惑星軌道の縦糸と周極星として横糸を紡ぐのだ。

神話の成立には必ず根拠があると確信している。








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