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美しい夏と、ひとを好きになること

5月頭に、「君の名前で僕を呼んで」を観た。
あまりにきれいな瞬間を見てしまってぼーっとして、2週間以上経った今も、思い出してはじんわり切なくなる。
すごい映画だと思う。

映画の内容としては、イタリアの美しい片田舎の夏が舞台で、芸術の感性が高い17歳の青年・エリオと、教授であるエリオの父親のもとにインターンで訪れた大学院生のオリバーとのひと夏の恋の話である。

ネタバレではない程度に書くけれど、何も知りたくない人は読まないでもらえればと。

4月までに、グレーテストショーマン、レディプレーヤーワン、ペンタゴンペーパーズを観ていたわたしは、どの映画も面白かったものの「最近の映画はマーケティングばっかりだなー」なんて呟いていた。(グレーテストショーマンやレディプレーヤーワンはダイバーシティとか多様性、ペンタゴンペーパーズは女性の成長・活躍がテーマではと思う)

そんななかで、「君の名前で僕を呼んで」も、LGBTのマーケティングかしら、、なんてことを思いつつ観に行ったのだけれど、ゲイだのなんだの超えて、本当の青春恋愛映画(言葉にすると安すぎるけれど)だった。

正直はじめから中盤にかけては「長回しのおしゃれ映画か、、あるある…ねむそ…」なんて少し思ってたりしたのだけれど(ひどい…反省します)、だんだんエリオの気持ちがぐっとオリバーに近づくと同時にどんどん引き込まれて、この映画いちばんの魅力のラストのシーンで、胸にきて動けなくなったと同時に、映画全体の長回しのシーンや空気はこのためか、と思わせられた。

人生にそう何度もない(と思う。私だけかな)、美しくて純粋な恋愛(でも生々しい感情がある)と、家族の(とくにお父さんの)考えの素晴らしさ。映画だからこそ描ける美しさがあって、本当に素晴らしかった。

多くの人が恋愛でつらい、悲しい経験があり、それを乗り越えて「自分」ができあがっていく。
そしてその時のことを、ラストのシーンで自分に重ねながらみんな観るのだろう。

セリフでもあるタイトルの意味は、よく考えると深い心理の言語化としてすごい。原作をあわせて読みたい。

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