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読書感想(文学賞候補)

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代表的な文学賞候補作品が発表されたら、頑張って感想を書いていきます。
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記事一覧

夜が明ける(西加奈子/新潮社/本屋大賞ノミネート受賞作品)

<著者について> 西加奈子さん ‎イランのテヘラン生れ。エジプトのカイロ、大阪で育つ。2004(平成16)年に『あおい』でデビュー。翌年、1 匹の犬と5人の家族の暮らしを描いた『さくら』を発表、ベストセラーに。2007年『通天閣』で織田作之助賞を受賞。2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞受賞。その他の小説に『窓の魚』『きいろいゾウ』『うつくしい人』『きりこについて』『炎上する君』『円卓』『漁港の肉子ちゃん』『地下の鳩』『ふる』など多数。 <本屋大賞とは?> 200

赤と青とエスキース(青山美智子/PHP双/本屋大賞ノミネート受賞作品)

<著者について> 青山美智子さん ‎大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。第28回パレットノベル大賞佳作受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。『お探し物は図書室まで』が2021年本屋大賞2位に選ばれる。 <本屋大賞とは?> 2004年に設立された、NPO法人・本屋大賞実行委員会が運営する文学賞である。 一般に、日本国内の文学賞は、主催が出版社であっ

ブラックボックス(砂川文次/講談社/芥川賞受賞作品)

<著者について> 砂川文次さん 大阪府出身。元自衛官の経歴を持ち、2014年に陸上自衛隊操縦学生であった頃に書いた『市街戦』が評価され、2016年「文學界新人賞」を受賞してデビュー。『戦場のレビヤタン』が2018年下半期、『小隊』が2020年下半期の芥川賞候補となり、三度目の候補ではれて受賞されました。 <芥川賞とは?> 芥川龍之介賞、通称芥川賞は、純文学の新人に与えられる文学賞である。文藝春秋社内の日本文学振興会によって選考が行われ、賞が授与される。友人であった菊池

黒牢城(米澤穂信/KADOKAWA/直木賞候補受賞作品)

<著者について> 米澤穂信さん 『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『いまさら翼といわれても』『Iの悲劇』『本と鍵の季節』『巴里マカロンの謎』などがある。 <直木賞とは?> 正式には「直木三十五賞」。単行本、各新聞・雑誌として出

同志少女よ敵を打て(逢坂冬馬乗/講談社/直木賞候補受賞作品)

<著者について> 逢坂冬馬さん 埼玉県 所沢市 生まれ、 横浜市 育ち。 明治学院大学 国際学部 国際学科 卒 。 2021年、『同志少女よ、敵を撃て』で第11回 アガサ・クリスティー賞 大賞を、史上初の全選考委員が5点満点をつけて受賞し、デビュー 。 <直木賞とは?> 正式には「直木三十五賞」。単行本、各新聞・雑誌として出版された大衆小説の中で最も優秀な作品に贈る賞として、1935年に芥川賞とともに創設されました。直木三十五氏は大正後半から昭和初期に活躍した大衆作家

氷柱の声(くどうれいん /講談社/芥川賞候補作品)

<著者について> くどうれいんさん 盛岡市で会社員として働きながら文芸活動を続けている。短歌、俳句の世界でも有名で、第六回全国高校生短歌大会(盛岡短歌甲子園2011)優勝。岩手日報随筆賞を最年少で受賞。作家としては盛岡の書店から刊行した、俳句と食にまつわる日記の「わたしを空腹にしないほうがいい」が異例のヒット。初の小説が芥川賞候補になりました。もしかして、文学界の大谷さんかもしれませんね。 <芥川賞とは?> 芥川龍之介賞、通称芥川賞は、純文学の新人に与えられる文学賞で

テスカトポリカ(佐藤究/KADOKAWA講/直木賞受賞作品)

<著者について> 2004年「サージウスの死神」が第47回群像新人文学賞の優秀作に選ばれる。 佐藤 憲胤(さとう のりかず)名義で その後2冊の単行本を刊行、執筆を続けるも「純文学の世界で十年以上を不良在庫として」過ごしていたとのこと。郵便局にアルバイトで勤務していた2015年「誰に頼まれたわけでもないゾンビ小説を書いて、知己の編集者にその作品の話をしたところ」江戸川乱歩賞への応募をすすめられる。2016年犬胤 究のペンネームで「QJKJQ」を第62回江戸川乱歩賞に投じ受賞

貝に続く場所にて(石沢麻依 /講談社/芥川賞受賞作品)

<著者について> 石沢麻依さん 東北大学大学院文学研究科修士課程修了。 大学では美術史学を専攻。2015年からドイツで研究生活を続けており、現在はドイツ在住。ハイデルベルク大学大学院博士課程に在学中。群像新人文学賞を受賞したデビュー作「貝に続く場所にて」で芥川賞を受賞されました。 <芥川賞とは?> 芥川龍之介賞、通称芥川賞は、純文学の新人に与えられる文学賞である。文藝春秋社内の日本文学振興会によって選考が行われ、賞が授与される。友人であった菊池寛が1935年に直木三十

犬がいた季節(伊吹有喜/双葉社/本屋大賞ノミネート受賞作品)

<著者について> 伊吹有喜さん ‎1991年に出版社に入社。 雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。 2008年に永島 順子という名義で応募した『風待ちのひと』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。 2009年に同作品のタイトルを「風待ちのひと」と改めて、ペンネームも伊吹有喜に変えて小説家デビュー。現在に至ります。 <本屋大賞とは?> 2004年に設立された、NPO法人・本屋大賞実行委員会が運営する文学賞である。

彼岸花が咲く島(李琴峰 /文藝春秋/芥川賞受賞作品)

<著者について> 李琴峰さん 台湾籍の小説家 ・日中 翻訳者 。 母語は中国語だが、日本語で作家活動をされています。台湾で生まれ、2013年に来日。2017年、初めて第二言語である日本語で書いた小説​『独り舞』で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞したのが作家デビュー。早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程を修了。 2018年10月1日、日本の永住権を取得。日台の文芸誌に寄稿したり、活動範囲は複数の国・地域や言語に跨った活躍をされています。 <芥川賞とは?> 芥川龍之

デス・ゾーン(河野啓/集英社/開高健ノンフィクション賞受賞作品)

<著者について> 河野啓さん 大学法学部後、北海道放送入社。ディレクターとして、ドキュメンタリー、ドラマ、情報番組などを制作。高校中退者や不登校の生徒を受け入れる北星学園余市高校を取材したシリーズ番組(『学校とは何か?』(放送文化基金賞本賞)、『ツッパリ教師の卒業式』(日本民間放送連盟賞)など)を担当。著書に『北緯43度の雪 もうひとつの中国とオリンピック』(小学館。第18回小学館ノンフィクション大賞、第23回ミズノスポーツライター賞優秀賞) <開高健ノンフィクション賞

星落ちて、なお(澤田瞳子/文藝春秋/直木賞受賞作品)

<著者について> 澤田瞳子さん 同志社大学文学部卒業、同大学院博士前期課程修了。奈良仏教史を専門に研究したのち、長編作時代小説のアンソロジー編纂などを行う。2010年『孤鷹の天』で小説家デビュー。2011年、同作で第17回中山義秀文学賞を最年少受賞。その後も数多くの賞を受賞。 ちなみにお母様は作家の澤田ふじ子さんです。時代小説家の母の血を引き継がれたのか、瞳子さんも歴史小説を主に書かれてこられました。 <直木賞とは?> 正式には「直木三十五賞」。単行本、各新聞・雑誌

心淋し川(西條奈加/集英社/直木賞受賞作品)

<著者について> 西條奈加さん 1964年北海道生れ。都内の専門学校卒業。その後は作家ではなく、貿易会社に勤務。その当時から小説を書き始める。2005年、『金春屋ゴメス』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞。2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞を受賞。アニメ好きで、時代小説から現代小説まで幅広く手がける作家さんです。 <直木賞とは?> 正式には「直木三十五賞」。単行本、各新聞・雑誌として出版された大衆小説の中で最

お探し物は図書室まで(青山美智子/ポプラ社/本屋大賞ノミネート候補作品)

<著者について> 青山美智子さん 愛知県出身。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。第28回パレットノベル大賞佳作受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。同作と2作目『猫のお告げは樹の下で』が未来屋小説大賞入賞。 <本屋大賞とは?> 2004年に設立された、NPO法人・本屋大賞実行委員会が運営する文学賞である。 一般に、日本国内の文学賞は、主催が出版