「それありき」もバランス問題
結果を出さねば意味が無い。全く異論はないのだが、このことが重視され過ぎたために過程を軽視されることで問題が生じたり、様々な議論なども時々みかけるようになった。
AIによるイラスト作成や文章作成の是非や、問題点、商業的な損失などを主張するような話もあるが、脅威は特に感じることもなく個人的には「まぁいいんじゃね」というスタンスだ。他人からみたら細かすぎる屁理屈を錬成することに定評のある私だが、実はとてもいい加減な性格なので、大体は「いいんじゃね」しか言わない。おおらかなんだよ。ほんとうは。
大衆が望んでいるものは過程ではなく結果で、それを「コスパ」よく実現したものがAIでの創作出力だろう。なにかを受賞してから作品が売れる、美麗な完成度を持って注目を浴びるイラストもそうだが、それまでにあったであろう何千枚もボツにした原稿や、真っ黒になったクロッキーノートを想像して「価値があるなあ」と評価する人は実のところ少ないと思っている。技術的な好奇心や、挑戦は別としてもAI創作については「実に現代らしい」とそういった意味でも思う。
消費側の立場で「AI出力された絵にはこころがないんだよ」などと言っている人などを見たが、好みの美少女にしか興味が無いにも関わらず、作品全般に対して「こころ」とやらを感じるのは不自然だ。そもそも、描いているところを見ていないのに完成したものだけを見て「人が描いた」と思える根拠はなんであるのか(完成度からの推測についてはおいておく)。はっきりと解らない状況で判断をしているのだから結局、誰がどのように作り出そうと結果があれば良いのだろう。AI創作に難色を示す消費側の人達は、創作側にもそう思わせてしまうムーブは多少あるので、批判的な理由には少し疑問を感じてしまう。結果が良ければ良いのだろうから、過程に疑問を持つ理由がわからない。倫理やら常識を持ち出す時は自分が非常識な人間だと批判されたくないだけで「結果に見分けがつかない」以上は消費側にとっては「どうでもいい」ことに分類されるはずだ。
屁理屈を述べてみたが、実のところ個人的には創作がAIの独壇場になることはないと考えている。人間と見紛うレベルに達したアンドロイドがどうしても「不気味の谷」を超えられないような一種の気持ち悪さを払拭出来ない、そんな予想をする。なにかが欠落してるからだ。
言うなれば「らしさ」といったところか。こころがどーのこーの言っていた美少女好きがこの表現を使うのならば、もしかしたら少しは理解できたかもしれない。(ちなみに美少女好きなことを批判しているわけではなく、単に美少女が好きと言わない非素直さと謎の言い回しが嫌いなだけで、別に何が好きだろうと良いし、それ自体を批判しているわけではない。好きなら好きと言えばいい。)
話は逸れたが「らしさ」を機械的に学習して表現することは難しそうである。価値があるかどうかはともかく、私の癖のあるメチャクチャな文法を用いてAIが代わりに書けるかと言ったら恐らく無理だろう。節々に現れているこのカオスさを出力、理解出来ているのは自分自身の経験があってのことだからだ。それに「正しい一般的な答え」を出すことは、創作の世界には特に求められてもいない。これは絵も同じと思う。
絵については、個人的に過程が楽しくも(苦しくも)あるので完成してしまうとなんとも興味を失いがちだ。完成するとどうしていいか扱いに困る。プラモデル類もどちらかといえばそうで、確かに鑑賞することもいいのだけど「好きな物をつくりあげている」という過程のほうが熱量が高い。これはAI創作がどれほどの完成度をあげようと関係のない部分でもあろう。
そうであっても実際は、残酷に結果を求める市場を戦場にしているようなとても優秀な人達が反発する裏に「結果だけが求められている」といった実感が根付きすぎているのだろうなと、なんとも複雑な心境になってしまう。私から見たら創作者の個性があるのだから心配しなくてもいいと思うのだが、無料が一般的になり、短期間で作品が大量に消費される現代においては様々な権利までも不安になってくることは当然のことかもしれない。
先日書いたことにもつながるが、一方的に大量に、感想も(割に合う)見返りもなく消費される先の結果が「コスパ最強な最適解」のAI議論だったり、コピーや権利侵害につながる行為が横行する結果にもなるのだから「もうすこしだけ、その先のことや背景を考える」余裕が世間にもあれば、結果においても「こころ」と実利のバランスがよい塩梅になるのではないかといった妄想をするのである。
結果偏重主義というと「負け組ガァ」と罵られることが多いけれど、そこまで極端な意見ではなくても過程を楽しんだり、時に苦しんだり、その先の結果があるものだと妄想する暇人がここにひとりいることを、書き殴り、それらの呪縛に苦しむ人がいるのならば「そんなことねーよ」とも言いたいお気持ちを置いておくことにする。
大丈夫だ、問題ない。そのヘタさもうまさも、唯一無二だ。特にヘタさは需要もないが真似も出来ない。カオスを愛せ。
AIを少しディスり気味な話題になったが、私が結婚したい相手は「戦闘妖精雪風」に登場する機械知性体としての雪風、FFR-41メイヴなくらいなので、基本的に大好きな技術であることを述べておく。雑な持論展開のあとに、謎の告白を持って終わらせてしまい、なんだか申し訳ない気持ちになってしまったが許して頂きたい。