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#2021年の100冊 11月に読んだ本ベスト3

#2021年の100冊 は、ジャンル問わずとにかく本を読んで勉強することを目的に開始しました。月ごとにまとめて、読んだ本とその月のベスト本を公開しています。

11月30日時点で113冊!

100冊突破しました!

いつまで続くか、何冊で終わるか、と思いながら2021年の年末年始に始めた「#2021年の100冊」でしたが、驚くほどするすると習慣化できました。
平均月に10冊くらい読めたと思います。
読書ログのほうも、1冊も欠かさず書くことができました。

本が好きであることを改めて実感できたとともに、本の中でも小説ノンフィクションが好きだということがわかりました。

小説の方といえば、古い本を手に取るようになりました。これは、村上春樹『ノルウェーの森』に登場する主人公の先輩「永沢さん」の言う
「作者の死後30年経っていない」つまり
「『時の洗礼を受けていない』本は手に取らない」
というかの有名な(?) 信念に従っているものです。

12月のベストスリーはこの3冊!

1位:「月と6ペンス」(サマセット・モーム)

歴史的ベストセラーの英文学。古い翻訳小説は、なかなか没頭するまでに時間がかかり難しいですが、集中し始めたらあっという間に虜になりました。

2位: 「深夜特急 5」(沢木耕太郎)

異国情緒溢れる旅の風景にも、5冊目ともなれば飽きが来るころ、旅人本人も新しい光景に心を躍らせることがなくなっていく。むしろ、旅の前半で見た風景と重ね合わせて懐かしんだり、旅の意味を考え出し、旅の終わりに思いを馳せたりするようになる。

風景よりも心情が手に取るように伝わってくる第5巻(トルコ・ギリシャ・地中海)は、1巻(香港)の高揚感と並べてダントツに良かったです。

だからといって5巻をいきなり読むことに意味はなく、著者と一緒に香港〜マレー半島〜インド〜中東と旅を重ねたからこそ、心情を重ねられるのです。

3位:「パリでメシを食う。」(川内有緒)

生き方の自由さにハッとし、勇気がもらえる本。日本でも、パリでも、もっと自由になっていい。人の人生は、読んでいるだけで楽しい。
生き方に悩んでいる人に、参考にはならなくても読んでほしいです。

11月のリスト17冊

11月は、後半が暇だったので今年最多の17冊読みました。学びも多かったのでついつい長くなってしまい、このnoteも6,000字あります。

#97「深夜特急 2」(沢木耕太郎)

長くいすぎた香港を出て、バスと鉄道の旅に出る筆者。
マレー半島は、物価の安さに驚くばかり。香港が「最高すぎた」ので、ついつい香港とマレーシアやシンガポールを比較し、無為な時間を過ごしてしまいます。
人生にはそんなときもある。

#98「深夜特急3」(沢木耕太郎)

バングラデシュで読んだので、自分もカオスに揉まれながらカオスを読むという贅沢な読み方ができました。

沢木耕太郎はバングラデシュは行かなかったらしい。なのでインド人、パキスタン人から見たベンガル人の捉え方に、こんなものもあるのかとある意味客観的な事実も知ることができました。

#99「深夜特急4」(沢木耕太郎)

インドを抜け、パキスタンやイラン、アフガニスタンなどを通過します。
個人的にはこのあたりになるとあまり街並みの想像がつかなくなってくる。

シルクロードを走るバスでヨーロッパから来るヒッピーとすれ違い、「もとの生活」について思いを馳せるシーンが印象的でした。

#100「発達障害という才能」(岩波明)

ADHDやASD(アスペルガー症候群)の特性と活かせる環境、イーロン・マスク、ニトリ創業者、モーツァルト、ピカソなど才能の持ち主がどのような特性を活かしていったのか、などを考察している本。

例えば不注意、多動性、衝動性で知られるADHDの思考は「常に頭が考え事でいっぱいである、同時に複数の思考が浮かび制御ができない(p.72)」というマインドワンダリングが特性であることが指摘されています。

このマインドワンダリングの特性を活かすのであれば、数字が正しいか確認するような型にはまった仕事よりも、自分のペースで進められたり、アイディアビルディングや提案が評価される環境が重要だそうです。

自分の天才性を認識し活用するだけでは大きな成功を得るのは難しいように思える。それに加えて必要であるのは、大きな「志」であり、それに伴う公共性である。さらに彼らに共通しているのは、みな相当なワーカーホリックであることだ。
(太字筆者ーp.86)

読み終えてから、100冊目だったということに気づきました。

#101「はじめての精神医学」(村井俊哉)

特定の病気ではなく、発達障害やうつ病、依存症などメンタル疾患について軽く全体像を掴みたい人におすすめできる本。

職場や学校での周りの人への接し方についてもアドバイスがあります。
例えば躁うつ病の場合、躁状態(「なんでもできる」という異常なやる気状態)になるのは人生でもほんの数回。それだけをとって「働くのが難しい」と判断しないでほしいとのこと。ほんの少しのことで、再就職が難しくなっている人が多いのだそう。

また人は誰でも残念なところがあるので、「起きたくても起きられない」「後回しにしてしまう」などこれだけでは病気ではない、という忠告例もありました。

#102「月と6ペンス」(サマセット・モーム)

今月のベスト本。人間観察の描写は、体型から性格からとても魅力的で、小説全体がビビッドになる。ところどころで哲学的な考察にも唸らされます。前半の陰気さと、後半のからりとした雰囲気の対比も素敵です。

「ページターナー」という言葉(次から次へと手がページをめくってしまう・早く続きを読みたくなるような面白い本ということ)がピッタリの本でした。

サマセット・モーム
イギリスの小説家、劇作家。フランス、パリ生まれ。10歳で孤児となり、イギリスに渡る。医師になり第一次大戦では軍医、諜報部員として従軍した。1919年に『月と六ペンス』で注目され、人気作家となった。ロシア革命時は、秘密情報部に所属した情報工作員であった。同性愛者としても知られている。(Wikipedia

#103「人生は20代で決まる」(メグ・ジェイ)

自分が20代じゃなかったら、こんなタイトル見たくもないし、実際本屋で見たときもスルーしました。けどその直後に、ある女性経営者が書いた記事に「この本を読んで専門学校から大学に入り直し、今に至る」という話を読んで買ってみました。

キャリアだけでなく結婚や同棲、今後の人生設計についても書いていて、確かにみんなが言ってくれない頭の痛いことを言ってくれる本だとは思いました。

「20代は自由に人生を謳歌する時」なんて思っていたらあとできっと後悔する!
あなたのキャリア、生涯賃金、パートナー、パーソナリティーは
20代のあいだにほぼ決まってしまうのだ。

TEDトークが800万ビューを超える人気スピーカーのようだけど、いわゆる「マジョリティ」な社会人・大学生でなければ価値観に共感できない人もいるかもしれません。

#104「『できる自分』を呼び覚ます一番シンプルな方法」(三浦将)

自己肯定感習慣について書いた本。毎朝毎晩職場のことで胸をしめつけられていたので、再読のため本棚から手にとりました。

自己肯定感について
・「今の自分の状態がノーグッドでも、失敗しても、存在自体はOK」と自分を認めること
・「〜でなければならない」という潜在意識にこびりついた思い込みから自己否定が生まれる
・他人との比較や評価ではなく自分にOKを出す内側の自信が自己肯定 
・人はだれでもとてつもない潜在能力を持っている
習慣の力で行動と意識を変えることで、思い込みを書き換える 
習慣について
・三日坊主になる理由は、やることのハードルをあげたり、一度にたくさんの習慣を始めたりすること
「すぐに結果を求める心」は習慣化の敵(インスタントな努力はインスタントな実力しかうまない)
・習慣づけの真の目的を考える → 人生レベルで重要な習慣がわかる
・やるとやらないは雲泥の差

#105「深夜特急 5」(沢木耕太郎)

今月のベスト2。旅も終わりに近づいてきて、虚無感を感じる著者。好奇心も自分の命への関心も薄れてきたし、お金が減っていくことへの恐れも感じる。また他人との触れ合いはより心に沁みる。
そんな自分の思考を見つめるうちに、旅を人生と重ねるようになり、何を見ても新鮮で興奮していた<青年期>が終わり、たどってきた記憶が鮮明になっていく<老年期>に差し掛かっているのだとうろたえます。

波乱万丈なアジア生活では必要のなかった「この旅はなんだろう」という問いかけを、落ち着いたヨーロッパに入り考えるようになったとも書いている。それもまた、人生の終わりになって『生とは何か』と考える老年期になぞらえることができるのです。

初期に、香港やタイ、インドの鮮やかな風景描写に心躍らせていた読み手側も同じように、中東あたりでちょっと飽きてくる。その上でこの虚無感と思想に満ちた5巻目は、満足度が高かったです。

#106「深夜特急 6」(沢木耕太郎)

6巻にわたる香港からロンドンまでの陸路旅も、いよいよ最終回。
前号で、ラストはイタリア→フランス→ロンドンという路が見えていたので、スペインやポルトガルは行かなかったのだなぁと自分の旅行の風景を思い出しながら考えていたら、きちんと寄り道していった。納得の展開です。

最後の一文に、つこうとしていた息が奪われ落ち着かなさが残りました。何はともあれ鳥肌モノです。

#107「編集者という病い」(見城徹)

業界で類を見ないほどのミリオンセラーを出し、既得権益にまみれた業界で文芸出版の会社を立ち上げ上場させた、幻冬舎社長であり現役編集者である見城徹氏による血と涙が吐き出された本。「才能」への嗅覚と執着は常識外れ。クリエイトするのではなくあくまで「引き出す」側であるにもかかわらず、岡本太郎を彷彿とさせるような命との向き合い方を見ました。

No pain, no gain(痛みなくして前進なし)」がここまでぴったりくるビジネスマンもちょっといない。女性への執着もすごくて個人的にはちょっとひいています。笑

#108「本当の翻訳の話をしよう」(柴田元幸・村上春樹)

「暇さえあれば(なくても)翻訳してしまう」という"翻訳家"村上春樹さんと、彼の翻訳の師匠格ともいえる柴田元幸さんの対談を収めた本。すごく長い(505ページ)。

村上春樹さんは翻訳を「割のいい職業ではない」と言い、彼にとって翻訳は「盆栽」。ついつい翻訳に没頭してしまう2人なので、その対話には熱も愛もこもっているし、読者がついてこなくてもいいと思ってると思います。

対話に出てくる作品を知ってたらまた面白く読めるんだろうなと思いながらも、知らない作品ばかりでも興味深く読んでしまいました。
世界はまだまだ物語に溢れてる。

#109「パリの国連で夢を食う。」(川内有緒)

国連(UNESCO)に就職の決まった著者の、パリでの5年半のストーリー。国連の、特に本部の内情が赤裸々に語られ伝わってきます。国連で働くことに興味がある人はぜひ。

#110「パリでメシを食う。」(川内有緒)

アーティスト、花屋さん、スタイリスト、料理人、大道芸人、など「パリでメシを食う」10人の日本人を描いた本。

「普通」の人たちだけど、いろいろな努力がある。人生の道の切り開き方は、こんなにもカラフルなのかと思わせられ、勇気が出る本

#111「ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力」(塩田元規)

エンターテイメント企業である株式会社アカツキの創業者の著作。経営者の道のりと、感情を大切にする重要さを描いた本。

「人生に何かゴールがあると思ってないか?何かを手に入れたり、達成したら幸せで、そうじゃなければ不幸せだと思ってないか?(中略)人生の目的は何かを手に入れることじゃない。自分自身の器と可能性を広げていくこと、より大きな自分に出会うことだ。」(p.88)

学生時代の塩谷さんに、先輩のおじいちゃん経営者がかけた言葉。この本で言いたいこととそのまま繋がっています。

著者は、勉強家で自分に厳しいタイプだからか、人の言葉や教わったことを高いレベルで実践し、上場企業まで経営しています。

なのに、逆に彼自身の内面に入り込みすぎているせいか、自分がこの方を知らずに読んでいるからか、なんとなくブログを読まされているような感じになりました。ハウツー本ほど再現性に特化しているわけではないし、この方の生き方を知りたかったわけではないし、読み物としては中途半端な印象です。学びは多かったけど、ハイライトを見直したらほとんどが他の人の言葉でした。

#112「これからの生き方。」(北野唯我・百田ちなこ)

漫画と自己分析、ワークシートと解説から成るキャリア論。いろいろなタイプのキャラクターが出てきて職場で対立しているため、刺さるワードが多い漫画でした。読み終えてからも何度か読み直しました。

やっぱり、自分の場合だけは"特別"だと思っているわけ(p.129)
持って生まれた"華"だけで、勝負できる時間は短い(p.141)
わかりやすい成果、わかりやすい結果、わかりやすい肩書き、そういうものだけを求めてきた人は、30歳を超えたあたりから自分の限界にも気づき始めるものです。(p.277)

キャリアのタイプをスキル型、意思型、チーム型、バランス型にわけ、それぞれのキャリアタイプがどのような課題に当たり、何を経験しておくべきなのかが最後にわかりやすく描かれています。

#113「どうしても頑張れない人たち」(宮口幸治)

発行部数50万部を突破した「ケーキの切れない非行少年たち」第2巻。

奨学金や再就職など、「頑張ったら支援する」仕組みは巷に溢れているが、本当にそれで良いのか、というのが本著のメッセージ。

高校に来ないと退学させられてしまうが、学校に来られない生徒ほど支援が必要な生徒。
奨学金をとれない人ほど奨学金が必要で、セミナーに来られない引きこもりの親ほど、支援が必要な保護者かもしれません。

また「頑張らなくていい」も無責任な言葉で、「何かしらの形で頑張らないと、この社会で生きていけないのは事実」(p.35)。

挫折経験を重ねてしまった大人、人を信頼できていない子ども、そんな支援が必要な人たちへの対処法も詳しい。子ども(部下)の育て方に正解はないのだということが身に染みます。

おわりに

これだけあるとまとめたくなります。文学は「月と6ペンス」と「深夜特急」だけで、ほぼすべてノンフィクションだったようです。

#97「深夜特急 2」(沢木耕太郎)
#98「深夜特急 3」(沢木耕太郎)
#99「深夜特急 4」(沢木耕太郎)
#100「発達障害という才能」(岩波明)
#101「はじめての精神医学」(村井俊哉)
#102「月と6ペンス」(サマセット・モーム)
#103「人生は20代で決まる」(メグ・ジェイ)
#104「『できる自分』を呼び覚ます一番シンプルな方法」(三浦将)
#105「深夜特急 5」(沢木耕太郎)
#106「深夜特急 6」(沢木耕太郎)
#107「編集者という病い」(見城徹)
#108「本当の翻訳の話をしよう」(柴田元幸・村上春樹)
#109「パリの国連で夢を食う。」(川内有緒)
#110「パリでメシを食う。」(川内有緒)
#111「ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力」(塩田元規)#112「これからの生き方。」(北野唯我・百田ちなこ)
#113「どうしても頑張れない人たち」(宮口幸治)

自己理解や生き方についての思考法を渇望していた月だったということがわかりました。

12月はもう少し自分の視野を広げるような読書をしてみたいです。





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