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初めての妊娠、そして流産した話。①


初めて妊娠して、流産した。


私の人生はこれまでも結構ハードモードだったけど、妊娠してもなおハードモードさを出してくるとは思わなかった。いや、少し思ってたけど…、思ってたのがよくなかったのかな。


流産は、決して珍しい話ではない。妊婦さんのうち、10〜15%の人は流産を経験する。10人妊婦さんがいたら、そのうち1人は残念ながら赤ちゃんを出産できずにマタニティライフが終わってしまう。

私は、その1人に選ばれてしまった。



…それだけのこと。



でも、それだけで終わらせてしまうと、せっかく下見に来てくれた赤ちゃんに失礼な気がしたので、言葉にしてみることにした。

私は鉄のメンタルなので、すでに前を向いていて、次の妊娠のために在宅で仕事をしつつ身体を休ませている。

とはいえ学びの多い妊娠、そして流産だったから、感じたことや思ったことをそのまま書きたいと思った。これは、自分の気持ちを整理するためのnote。


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妊娠発覚。小さな心拍が愛しかった

忘れもしない2020/3/26。
2月の頭に亡くなった大好きな祖父の四十九日を控えたこの日、生理予定日を1週間過ぎたため、妊娠検査薬を使ってみた。

結果は、陽性。

積極的に妊活をしていたわけではないけど、子どもが欲しいと思えるようになった(この書き方をするのには理由があるのだけど…、それについてはいつか書こうかな)ので、とても嬉しかった。


今思えば、この時にはもう流産することは決まっていたんだよね。


旦那さんが仕事から帰り、ご飯など済ませて落ち着いた頃、検査薬を持って「妊娠したよ」と伝えました。初めはひたすらビックリしていましたが、「良かったね!嬉しい!」と言ってくれた。ただ、この時の旦那さんは、あまり心から嬉しそうではないように感じてた。


すぐに病院へ行っても袋が確認できなければまた後日、となることを調べて知っていたので、発覚してから1週間後に旦那さんに付き添ってもらって病院へ。

「6週くらいですね」と先生。無事袋が確認できて、小さいながら心拍も確認ができた。ほんっとうにとっても小さいのに、バクバクと一生懸命心臓を動かしているその子を見て「何があっても私が守る」と思った。

「もう母子手帳貰いに行ってもいいですよ」と言われたが、なんとなく8週の検診を待ってからにしようと思い、そこから2週間は病院へ行くことはなく、ただひたすら、赤ちゃんの状態がわかるアプリを眺めて過ごした。

その間、つわりらしきものもあった。とにかく身体が怠くて、リモートワークだったので、仕事は休み休み。昼休憩は30分寝て過ごす日が増えた。他には胃のムカムカが止まらず、おっぱいもかなり張っていてブラジャーが擦れて痛かった記憶。


そんなある日、7週に入るところで旦那さんと大喧嘩した。理由は、心拍が確認できても、旦那さんが妊娠に前向きでないように感じられたこと。

今思えば、知識量の差もあったのかなと思う。
私は「コウノドリ」や「隣の家族は青く見える」などのドラマを見ていたので、心拍が確認できることがどれだけ奇跡かを知っていた。だけど、リアルな話は感情移入してしまって苦手という旦那さんは、そういったドラマは一切見てこなかった。し、男の人だからよりその奇跡が分からなかったんだと思う。

妊娠したことが嬉しくなさそうな旦那さんに対して、私は泣きながら「そんなに妊娠が嬉しくないなら堕ろすよ!堕ろせばいいんでしょう!!」と叫んだ。

ごめんね赤ちゃん、きっとあのときの言葉聞いてたよね。本当はそんなこと、1ミリも考えていなかったよ。

冷戦状態が続いていたけど、旦那さんのほうから謝ってきてくれたので(お花を買って帰ってくれた)、泣きながらお互い思っていたことをきちんと話して仲直り。
それ以降は、赤ちゃんの名前や引っ越しのことなど、前向きに話をするようになった。


数日後、少し早いかなとは思ったけど、お義父さんの誕生日だったこともあって喜ばせたい気持ちから、旦那さんの両親に妊娠したことを報告した。

ご両親にとっては初孫だから、お義母さんもお義父さんもとても喜んでくれた。「身体を大事にね」と気遣いの言葉ももらって、ますますマタニティライフを頑張ろう、と思った。

私の母にも報告すると、それはもう、たいそう喜んでいた。妹2人にすでに子どもがいるにもかかわらず、「ゆきの赤ちゃんはずっと待っていたからすっごく嬉しいよ!生きる希望よ!ありがとう!」とまで言っていたから、あの人は相当な親バカだと思う。でも、私も嬉しかった。


そして、職場。妊娠を伝えるにはまだ早いとは思ったものの、いかんせんつわりがすでに辛かったことと、コロナのこともあって何かあった時がいけないと思ったので、念のため会社の上司にも報告しておいた。女性の上司なので、一緒に喜んでくれたのがやっぱり嬉しかった。


妊娠って、こんなに幸せな気持ちになれるんだと知れて、赤ちゃんに感謝しかなかった。

軽くなるつわり。9週の壁は、高かった

そんな7週を終え、8週に差し掛かろうとしていた頃。

フッと、つわりが軽くなった。吐き気や胸のハリはあるものの、それだけ。あれだけ感じていたダルさ、昼間の眠気などが一切なくなった。

「あれ……?普通、つわりってここから酷くなるものだよね……?嫌な予感がする。もしかして、流産かもしれない」

そう思ってネットで調べてみると、肌感として
・7週くらいで単につわりが軽くなっただけの人が3割
・7週くらいでつわりが軽くなって流産した人が7割
という感じだった。


私は、「あ、これ流産かも。覚悟しとかないと」と直感で思った。


そして8週の検診の日。はじめに行ったところは経過を診てくれる感じの病院ではなかったらしく、別のクリニックへ。

血圧を測って、採尿して待っていると先生から呼ばれ、まずは診察。その時から、先生の口調は変だった。どこか、「本当に妊娠してる?」とでも言いたいかのような。そんな話し方をする先生に、違和感を覚えながら話をしていた。

もしかしたら、この時すでに尿検査で妊娠反応がなかったのかもしれない。

そしていよいよ診察台へ。久しぶりに見る赤ちゃんに、思わず顔が綻んだ。しかし、先生から言われたのは「残念だけど、心拍が確認できないね…」という言葉。予想していた通りの結果に「あぁ……そう、ですか」とだけ返答して、診察台を降りた。そして再び診察室で話を聞くことに。

先生からは、稽留流産かもしれないと言われた。ただ、ごく稀に心拍が復活することがあるから、もう1週間様子を見てから診断しましょうね、と言ってくれた。

問診票に精神疾患を患っていたことを書いていたので、先生は精神面をかなり心配してくれて「この1週間は何も考えず、調べず、ゆっくり過ごしてくださいね」と言い、診察を終えた。


病院を出ると、ものすごい雨が降っていた。まるで、流産したことを悲しんでいるかのように。


病院から家までは歩いて帰れる距離だったので、傘をさして歩きながら旦那さんに電話。

「旦那ちゃんあのね、赤ちゃんダメだった。心臓が動いてないって」
「え……」
「でももしかしたら復活するかもしれないから、また1週間後に病院行くことになった」
「……そ、か……」
「まぁまだ分からないから、最後まで赤ちゃんを信じて待ってみるよ!買い物してから帰るから、1時間後くらいにおうち着くからね」
「そうだね。信じよう!買い物了解でーす」


そんな会話をして電話を切って、次に電話をかけたのは、実母。
母は私の前の子を流産しているので、その時のことが聞きたくて電話した。

その流れでダメかもしれないことを伝えると、泣いていた。私でもこの日は泣かなかったのに。笑

本当に本当に楽しみにしていたと。
次女や三女の子どもはすでにいるけど、長女である私の子どものことは長く楽しみにしていたから、とても悲しいと。

泣きじゃくる母に対して、なぜか私が「妊婦の10〜15%は流産してしまう可能性があるんだから、仕方ないんだよ」ということを話してなだめる始末。母が落ち着いてからは、お互いの近況を話して電話は終わった。

買い物をして家に帰ると、在宅ワークをしていた旦那さんが出迎えてくれた。その日のそれからのことは、正直あまり覚えていない。ただ、その日は一度も泣かなかったことだけは覚えている。


不思議なくらい、それほど悲しさを感じなかった。


だって、仕方ないじゃん。誰も悪くないんだもん。


私が経験した繋留流産は初期流産であり、医学的には「初期流産のほとんどは、染色体異常など胎児側の問題でおこる」っていわれている。受精した段階で、流産することも決まっているのだという。

だけど、それだとなんか「赤ちゃんが悪い」みたいに聞こえてモヤモヤするから、私は「下見に来てくれたんだ」と思うようにした。



もちろん、産みたかった。育ててあげたかった。絶対に幸せにする自信があるから、生まれてきてほしかった。でも、私が必要以上に悲しむと、もしかしたら復活するかもしれない赤ちゃんがかわいそうだと思ったから、1週間はあまり何も考えないようにした。


…けど、「繋留流産かも」といわれた日の翌日、『やっぱりちょっと悲しい』ってなって、旦那さんの腕の中で子どもみたいにうわんうわん泣いた。私、ママになりたかったんだ。




そして1週間後、やはり赤ちゃんの心拍は確認できず、繋留流産との診断を受けた。




「あぁ、この子の産声は聞けないんだ」
「私、ママになれなかったんだ」

そんなことを考えていたら、先生との話がいつの間にか終わっていた。


その間、そこの病院では流産の手術ができないことを説明され、流産が確定すると自然排出を待つ方法と手術で取り出す方法があるけど、初めての妊娠だから手術のほうがいいだろうということで、病院を紹介してもらった。



運良くその週の内に予約が取れたので安堵しつつ、旦那さんに「やっぱりダメだった」とラインをしながら、病院をあとにした。



キロク②へ続く。。。

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