シングルマザー家を買う2*環境の経年劣化

長年住み続けた賃貸にはホントにお世話になった。

大家さんも本当に親切で、挨拶に行った際には畑のキウイフルーツやお菓子を分けてくれたり、共益費も取ってないのに、ゴミ置き場や建物まわりを常に綺麗にしてくれていた。

毎年冬至の日には『ゆず風呂にどうぞ』と書かれた、段ボールいっぱいに収穫された柚子が、住民の集合ポストの下にそっと置かれていた。

そして、夕方にこの2階の部屋から見る、夕日の差す線路と田んぼとのコントラストが本当に美しかった。すごく良い所に住めたなぁと幸せを噛み締めた。

そんな環境が、10年経つ頃に変わってしまった。

まず大家さんが亡くなり、その奥さんが後を任されたが、個人での管理は難しいようだった。アパートの管理は仲介業者へ委託された。

駐車場のフェンスを越えて、生い茂った草やツタが伸びてくるようになった。

2階の外廊下の排水口は詰まり、大雨が降ると、足元が数cmほど冠水するようになった。

その詰まりは直されることはなかったが、外側の1面のみ、見栄えのために外壁塗装が施された。西日でダメージを受けるベランダ側は、チョーキング(経年劣化で塗膜が剥がれ、触るとチョークを触った時のように粉状に塗料が取れる。外壁が、日光や雨風の影響をダイレクトに受け始めている証拠)が激しすぎて、布団も干せない状態なのに。

共用部の電球が切れても、住民が管理会社に伝えなければいつまでも、伝えたとしても平気で1ヶ月程度、何もされなくなった。

新しい大家さんである奥さんが修繕費を出し渋り、話がうやむやになる事があるのが原因のようだ。

ゴミ置き場も、内部の者か外部からかは分からないが、指定外の袋や収集できないゴミが持ち込まれ、放置されるようになった。

管理会社も貼り紙をするだけで、そのゴミをどうこうすることもなかった。担当者も代わり、その場しのぎの対応しかしなくなっていた。

冬至の日の夜に帰ってきても、柚子の入った箱を見る事はなくなっていた。

そして、徒歩15分くらいの場所に駅ができ、便利にはなったが大好きな田んぼの風景が減った。

気付けば息子も18歳。バイトしたお金で中古のロードバイクを買い、高校まで15kmの道のりを、毎日漕いで行き来できるくらい頼もしくなっている。


いつの間にかここに住み続ける喜びも、必要性も、きれいになくなっていた事に気が付いた。

こうして12年ぶりに、新しい引っ越し先を探すことになる。


今日のまとめ

・家族にとって「今」必要な環境を考えよう

・塗装には色付けよりも大事な役目がある

・管理人次第で建物の寿命は大きく変わる

・建物の知識がない奴が簡単に大家さんになるな!

・ってか知識がないならせめて人の意見を素直に聞け!

・私には田んぼが不可欠のようです

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