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【日記】カフェで味わうアウェイ感

(1134文字)

とある喫茶店に入った時のこと。
古い商店街の築50年くらいの建物を改修して、おしゃれというか、カッコ良い感じの外観。喫茶店というよりカフェですね。
入ってみると、30代後半くらいの夫婦と思しきふたりが笑顔で迎えてくれた。
上手く言えないけれど、子供がいたらスケボーやらせてそうな感じといえば伝わるか?
カウンター席とテーブル席がふたつ。そこに背を向けるように窓際にもカウンター。ボクはその窓際のカウンターに座ってコーヒーを頼んだ。
出てきたブレンドは美味しく、小さなクッキーがオマケについていた。
気が効くね。
ボクはそれらを楽しみながら持ってきた文庫本を開いた。

5分ほどして、店主たちと同年代の男女が入ってきた。
「どうもー」
なんてラフな挨拶で友達らしい。
ふたりは並んでカウンターに座った。
さらに続いてキャップを被った男が入ってきて、「よっ」という感じで右手を上げ、カウンターの後ろのテーブル席に腰を下ろした。
彼も友達らしい。

そうなると、当たり前だけど店主夫婦を含めて5人の雑談が始まる。
みんなかなりリラックスしていて、最後に入ってきた男は、椅子二つに横になって腰をかけ、壁にもたれ、片手をテーブルの上に乗せている。伝わるかな?
雑談の声は次第に大きくなり、友達の噂話をしているようで、笑い声も大きい。

10分ほど本を読もうとがんばったけど、どうも集中できず、半分残っていたコーヒーを一気に飲んで店を出た。

なんだろうね、あのアウェイ感。

別に誰が悪いというわけじゃない。
店主夫婦はもちろん、友達も悪くはない。
だけどあの感じって、店がダメになる予兆のように感じるんだよね。
内輪ノリというか、店がいつもあの雰囲気だと入りづらい。
入っても居心地が悪い。
間違いなく、ボクはもうあの店には行かないし、彼らはそれを知らない。
気にしない人もいるだろうけど、そうじゃない人の方が多い気がする。
でも店の人は気がついていない。
店の人にとっては心地良いんだろうな。

その点、良いママがいるスナックだと違う。
ひとりで行っても、初めての店だとしても、お客さんの様子を見て、いろいろ聞き出して、カウンターの隅にいる常連さんに話を繋げたりして。
まぁ、ひとりで静かに飲みたくてスナックに行く人はいないからね。カフェとは違うんだけど。

でもこのアウェイ感。
飲み屋でも、ちょっと趣味的に凝った作りの店などに多い。
カウンターを常連が占拠していたりしてね。
常連さんはありがたいんだけど、そんなに金を使うわけじゃない人が多い。頻繁に来るからね。
常連同士で仲良くなるのは良いけど、さらに新らしいお客さんは入りづらい雰囲気になる。
でも常連さんは応援の気持ちもあって通ってくれている。
そんな感じで潰れた店を何軒か知ってます。

難しいよねぇ。

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