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【ドラマ】宙わたる教室(5話まで)

(1524文字)
なぜ人間は知りたいと思うのだろう。
なぜ人間は教えたいと思うのだろう。

あらすじ:
東京・新宿にある定時制高校。そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。負のスパイラルから抜け出せない不良の柳田岳人(小林虎之介)。
授業についていくことを諦めかけた、フィリピン人の母と日本人の父を持つ越川アンジェラ(ガウ)。
起立性調節障害を抱え、保健室登校を続ける名取佳純(伊東蒼)。
青年時代、高校に通えず働くしかなかった長嶺省造(イッセー尾形)。
年齢もバックグラウンドもバラバラな彼らの元に、謎めいた理科教師の藤竹(窪田正孝)が赴任してくる。
藤竹の導きにより、彼らは教室に「火星のクレーター」を再現する実験で学会発表を目指すが、自身が抱える障害、家庭内の問題、断ち切れない人間関係など様々な困難が立ちはだかり・・・

NHK公式サイト

なんとなく録画して観始めたドラマ。
予想以上に面白い。現在5話まで放送されたところ。

問題を抱える生徒たちが、1人の教師によって変わっていったり、分かりあっていくのは王道のパターンだけど、それはそこに人間の本質があるからなんだろうと感じさせてくれるドラマ。
科学部の年齢もバラバラな生徒たちが、「どうしたら火星の青い夕焼けが再現できるか?」など、一生懸命考えている姿は、見ているこちらがなぜか嬉しくなる。

問題を抱えている生徒たちを、少しずつ救っていくのが教師の藤竹。
窪田正孝はこういう役が本当に良いね。
穏やかさの中に、優しさや強さ、そして自らの問題も抱えている雰囲気がにじみ出てくる。表情はずっと変わらないのに。

5話までは生徒たちの抱える問題と、科学部ができていく様子が描かれていたけど、おそらく6話からは、なぜ実績のあった科学者の藤竹が定時制高校の教師になったのかが明らかになっていくと思う。
そこに藤竹が抱える問題があるはず。

人が誰かを救いたいと思うのは、救われたいから。

ボクがそのことを感じたのは東日本大震災の支援活動をしていた時。
当時、石巻市にある小さな漁港の支援をしていた。
週末になると東京をはじめとした各地から、NPOなどの団体がチャーターしたバスや、民間の夜行バスに乗って支援者たちがやってくる。
一日中、または土日の二日間、津波被害にあった家の片付けや泥かきの作業を行って帰っていく。
毎週やってくる人もいた。
ボクは彼らにその理由を訊いた。
「助けたいから」「がんばって欲しいから」
まずはそう答える彼ら。
しかしもう少し話を聞いてみると、彼らの日常が見えてきた。

「ここに来て汗を流していると、感謝してくれる人がいる。ストレスの多い会社勤めの中で、そんな風に感謝されることはない」
「普段は同じマンションの人とさえ挨拶をしないのに、ここに来るとありがとうと言ってくれる人がいる」

そんな答えが多かった。
彼らは日常で自分の存在を認めてもらう言葉や態度を受けていないのではないか、と思った。
仕事をすることはもう当たり前すぎて、誰もその意義を感じていない。
しかし、ここに来ると自分の働きが感謝される。
それはつまり、自分の存在を認めてもらえるということ。
彼らは救いに来ていると同時に、救われに来ているのだと思った。

このドラマを観ていて支援活動のことを思い出し、同時にこう思った。

人が何かを教えたいと思うのは、知りたいから。

主人公の藤代は、科学者としての活動の中で、きっと何かがわからなくなったのだろうと思う。
科学の楽しさなのか、自分が目指す方向なのか。ドラマとしてはそこに人間関係が絡んでくるのだろうと思う。
そして藤代は、そうした疑問を解くために教えるという道を選んだのではないだろうか。

まだ5話だけど、ボクはそう予想している。
続きが楽しみだ。

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