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あんな子やこんな子を見て思う(閲覧注意)

 (病気になったミカンの写真が出てきます。ちょいとグロテスクなので苦手な方はスルーしてください。)

うふふなミカン、5月に花が咲いた後、小さな青い実がつき少しづつ大きくなってきました。この写真は7月ごろのもの(に顔をつけました笑)。夏から秋にかけさらに大きくなっていきます。

夏は摘果(てっか)といって柑橘類は実を間引く作業をするシーズン。1本の木にたくさん実をならせすぎると、養分が行き渡らないので、数を減らしてひとつひとつの実を充実させます。また「表年」「裏年」とあるように、果樹は1年ごと実をつける年と休む年を繰り返すので、なるべく木の負担を減らして毎年同じだけ実をならせてくれるよう摘果します。

冒頭の写真も実は間引きした実に顔がついています。右端の子のほっぺには大きめのキズが。虫に食べられたり、風でこすれたり、病氣で外観が悪い子たちをとりながら、生育状況も確認していきます。

そういう時に下のような子たちを見つけてしまうと、正直ドキリとします。

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↑そうか病といって柑橘の葉や実にでる病氣です。雨などで他の木に広がることがあるので見つけたら取り除きます。これのくらいの子は自然に落下するのですが、見つけるとやっぱりドキッとしてしまいます。

この病氣は湿度が高いと広がりやすいので、うふふなミカンでは「剪定」で風通しをよくし、「木酢液+ドクダミ(殺菌作用)」などで対応しています。この病気というか状態も、(よっぽとひどくなければ)味には影響はありませんのでご安心を。

ただね、ドキッとする、この不安。まだまだ拭えません。農薬を使ってしまえばこの病気に関する心配は減るわけで、使いませんが使いたいと思う氣持ちはよく分かります(苦笑)。

5年前に会員制というかたちで先にお金をいただき一緒にミカンの成長を見守ってもらうこの仕組み、農業の素人だからこそ始められたんだなぁと今、改めて思います。(私は農家の娘に生まれただけで、うふふなミカンを始めた当初、本格的な農業の経験はほぼありませんでした。)

「この病氣が畑全体に広がったらどうしよう」「カメムシが大発生したら…」「サルやイノシシに根こそぎ食べられたら…」今、そんなことを考え出すとリアルすぎて眠れなくなります。年に1度の収穫に失敗したら…恐怖しかありません。

収穫できない=収入が0

というリスク。これを乗り越えるための技術のひとつとして農薬が使われているので、農薬を使わない、という判断は簡単にはできません。

まただれもが手に取りやすい価格で提供されるべき農作物は人手=人件費を抑えることも重要な課題。採算を上げるために、規模を広げ機械を使い合理的に作業を行うことが正しいとされ、減り続ける農業人口を補うための技術として除草剤や農薬が使われています。

今思うと、慣行栽培から農薬に頼らない手法へ切り替えるというのは農業の経験が全くなく=たくさんの方の応援しか耳に入らない、かつ小さな農家だからこそできた「幸運な荒業」だったのかも知れないと思います。私に迷いはありませんでしたが(キッパリ笑)、長年農薬を使ってきれいなミカンをつくることに邁進している父からしたら「そんな怖いこと!こいつは何を言っているんだ!氣でも狂ったか?」くらいの危ない話。そんな娘にチャンスをくれたこと、感謝しかありません。

父の意向も十分分かるので、当園でも「うふふなミカン」として販売するものは無農薬ですが、まだ慣行栽培で育てている品種もあり、経験を積む中で農薬の使用量を減らし無農薬へ移行できればと考えています。

応援してくださる皆さんがいるからこそ、この不安をモチベーションに変えることができています。たくさんの愛に囲まれてしみじみ幸せです。いつも本当にありがとうございます!

いただいたサポートは無農薬、自然栽培の勉強に充てさせていただきます。