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インド情報、ビル・ゲイツ氏とモディ首相の対談;インディアン・エクスプレス紙の要約訳と私のコメント

20240329 インディアン・エクスプレス;インドのデジタル・デバイドを許さないと決意...村々にインフラを: モディ首相とビル・ゲイツ氏、AIとハイテク革命について語る。

要約訳

ナレンドラ・モディ首相官邸での交流の中で、マイクロソフトの共同設立者であるビル・ゲイツ氏は、昨年のG20会議において、グローバル・サウス間の協力を促進する上でインドが果たした役割を高く評価しました。

人工知能のような技術はどの様に良い目的のために使われるのか、人々のプライバシーを侵害する事なくデータを活用するにはどうすれば良いのか、デジタル革命は医療へのアクセス、教育、農業の成果をどのように改善したのか、などの点について、ナレンドラ・モディ首相と億万長者で慈善家のビル・ゲイツ氏は、金曜日にデリーで45分間に渡り会談を行いました。

デジタル化の推進については、モディ首相は、テクノロジーが民主化され、人々が必要に応じて付加価値を生み出す事が出来る様になったからこそ、いろいろな事が可能になった、と述べました。

「インドにおけるデジタル・デバイド(情報格差)を許さない、と決意しており、全国の村々にインフラを整備しました」と、ビル・ゲイツ氏から、首相が期待している技術の進歩について質問された際、首相は述べました。

「世界におけるデジタル・デバイド(情報格差)について耳にした際、私は自分の国でそのような事態が起こるのは絶対に許せない、と思った。デジタル公共インフラは、それ自体が大きな必要条件です」。

インドでは女性の方が新技術の採用に前向きです。私は『Namo Drone Didi』計画を始めました。(注;Namo Drone Did;女性が農村でドローンを操縦する、と言う意味の女性参画農業プロジェクト)。

以前は自転車の乗り方も知らなかった人が、今ではパイロットとなってドローンを飛ばせるようになった、と言う事です。考え方が変わったのです」とモディ首相は付け加えました。

この計画では、ドローンは作物の監視、肥料散布、種蒔きなどに使用されます。

このプログラムは、村の変革者としての女性の姿を押し上げるでしょう、と彼は語りました。

モディ首相は、これによって技術に対する庶民の信頼も高まった、と述べました。

首相は、全国に2,000カ所あるアユシュマン・アロギャ・マンディール(包括的な医療サービスへのサービス提供を行うケア・センター)が、デジタル・ヘルス・サービスを活用し、多くのサービスを提供している例を挙げ、当初、人々は医師がいない際の治療を受ける事に不安を感じていた、と述べました。

しかし徐々に、人々は遠隔地にいる医師から、正しいアドバイスを受けている事に気付いたと言います。

モディ首相は、コロナ(Covid-19)ワクチン接種の成功について、政府は今後、子宮頸癌ワクチン接種に取り組む、と述べました。

「本予算では、子宮頸癌研究のため、科学者に資金を配分する予定です。

現地で研究を行い、ワクチンを作る様お願いしたい。私の目標は、最小限の費用で全女児にワクチンを接種し、確実に癌から守る事です。

新政権発足後、まず研究費を投入する積もりです」と首相は述べました。

マイクロソフトの共同設立者(ビル・ゲイツ氏)は、昨年のG20会議において、グローバル・サウス間の協力を促進する上で、インドが果たした役割を高く評価しました。

モディ首相は、又、デジタル技術を活用し、子供達がよりよく学べる様、映像や物語を作り、教師不足のギャップを埋める事が出来る、と述べました。

続いてゲイツ氏は、人工知能などテクノロジーの新たなフロンティアに話を移し、インドのビジョンは何かと、首相に尋ねました。

これに対し首相は、国内の多くの州で 子供達は母親の事を "アイ(ai) "と呼ぶが、今では子供達もAIのことを "アイ "と呼ぶ様になった、と冗談めかして答えました。

首相は、G20の際、運転手と代表団がアプリを使って異なる言語でコミュニケーションするのを助けるためにAIが広く使われた例を挙げて、述べました。首相は、又、カシ・タミール・サンガマムで首相がヒンディー語で話すのを、人々がタミル語で聞いていた例も挙げました。

モディ首相は、電子メールを作成する時間を節約するためだけにこの様なツールを使うのは不公平だと述べ、国民のために使う必要がある、と付け加えました。

二人は又、この様な技術で発生する偽物やデータのプライバシー問題についても議論しました。モディ首相は、誤った情報の拡散を防ぐために「AIが生成した」と言う様な透かしを入れるなど、Dos(やって良い事)とDon'ts(やってはいけない事)の区別が必要だ、と述べました。

データ・プライバシーに関しては、一般人にデータ品質を認識する訓練する必要があり、データ所有者はデータが何のために求められているのかを知る必要があると述べました。

その後、二人は屋外に場所を移し、気候変動について話し合いました。
 
首相は、再利用とリサイクルはインドの倫理観の一部である、と述べました。
 
彼が着ていたジャケットは布きれ出来ており、その30~40パーセントはペットボトルから作られたものだ、と 言う事です。

そして、(物事の)開発に関する世界の見通しを変えなければならないと付け加えました。

もし発展が電力や鉄鋼の使用量で測られるなら、人々はそれ(その様な指標)を使い続けるでしょう、とモディ首相は述べました。

しかし、彼は、グリーンGDPという概念が必要だ、と述べました。

二人は又、ゲイツ氏が訪問を予定しているグジャラート州の「団結の像(Statue of Unity)」についても話し合いました。

モニュメントは600の村の農民から寄付された鉄を使って作られました。モディ首相はビル・ゲイツ氏に、タミル・ナードゥ州の真珠とテラコッタの馬、カシミール地方のパシュミナ・ショールとサフラン、そして、ダージリン紅茶を贈りました。

https://indianexpress.com/article/india/pm-narendra-modi-bill-gates-conversation-technology-artificial-intelligence-9239403/?utm_source=Express_Newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=newsletterid-1,newslettername-ie-evening-newsletter,itemposition-3

私のコメント; IT技術の競争によるデジタル・ディバイドが、平等なインフラ整備環境整備・構築に逆行するのであれば、それは、許されない、と言うのが、モディ首相の考えと思われます。
医療現場、農業管理、(多言語社会における)翻訳ツールなど、国民に役立つ形の、応用例の説明がありました。この様な分野での今後の応用計画は、恐らく、ゲイツ氏との間で、具体的に案が出され、検討されるのではないでしょうか。
データ保護に関しては、独裁的で民主主義国家とは言い難い専制主義的国家での、データ管理方法と真っ向から対立する正当なセキュリティー・クリアランスの仕組みが必要だと思われます。情報戦の先端にいると思われるインドには、自由主義の国々の間で、精度の高い情報保護クリアランス・システムを纏め上げる力量があると、思います。
また、グリーンGDPに関しては、環境価値を上下させる因子をトータルのGDPからプラス・マイナスする、と言う概念の様ですね。国毎に、実際にどの様な数値の表れ方をするのか、 又、今後、世界的レベルでこの数値が、どの様に役立って行くのかを知りたいものです。
今年は、インド総選挙も予定されており、首相としては、現況下、実現のために時間の掛かっている諸問題の難点を少しでも縮小・解決し、問題解決の道筋を明示しなければならないのだと思います。


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