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難しかった音質重視のポン出しライブ配信

昨秋からライブ配信に取り組んでいる。といっても生で音楽演奏を配信するのではなく、お話を生で行っている。昨秋は用意したスライドや映像を流したが、音はBGMで、そこまで音質にこだわらず、StreamyardやZoomの画面共有を使い、ほぼ難なく終了したと思う。

今回は、恩師の演奏の入った動画ファイルを先に用意し、それも流すが生でも喋るというライブで、動画ファイルを音質劣化なく生配信中に流す事を重視した。

現状での選択肢と、採った方法

初心者でも非常に使いやすいStreamyardが、もうすぐ長尺の動画ファイルの直接配信に対応するので、その音質にも興味があるが、2021年2月1日時点では未対応で、Streamlabs OBS(以下SLOBS)のメディアファイル配信機能を使った。

フランスにいる先生や、参加者との対話はZoomで行う。Streamlabs OBS側でZoomの画面をWindow CaptureでYoutube等へ流す。

さて、昨日の技術上の失敗を記す(コンテンツ面の反省点もきりがないほどあるが)。

Streamlabs OBSでライブ配信予約をしたにもかかわらず、Facebookへの配信失敗

SLOBSで半日前にYoutubeとFacebook(以下FB)のライブ配信予約を行った。前もって配信URLを告知できたり、FBにもライブ予定が投稿されるので予約する事自体は悪くはない(SLOBSから行うと、ストリームキーなどの設定が自動なのは良いが、Youtubeのサムネイルはのっぺらぼう、FBのサムネイルはFBページのヘッダー画像になってしまうが)。

ライブ開始時刻になり、SLOBSで「開始」ボタンを押した。その時点でほぼ定刻だったので、次の画面では「予約済みの配信」を選ぶ事だけに集中し、すぐ開始した。そのときにどうもFBとの連携がオフ表示になっていたらしい。また、Twitterもその際に連携すれば配信は可能だったらしい。ライブはYoutubeのみの配信となってしまった(FBには10分後にYoutubeライブURLのお知らせを投稿はしたが)。

この点では2020年11月に使ったStreamyardはずっとスムーズだった。予約したのに連携がオフになってるなんてややこしい事にはならないし、Twitterは予約後うっかりChromeで別アカウントにログインしたせいで連携がすぐできなかったが、「連携できていません!」というアラートが目立つ感じで表示されたので、配信を取り仕切っている最中でも気がついてすぐ対処できた。

話は少しそれるが、SNSとの連携という点ではStreamyardは各SNSでのコメントも管理画面に一覧で表示され、その中から好きなものを選択して配信画面に表示できる。SLOBSではSNSコメントを配信画面に表示する機能はあるが、何を書き込まれてもそのまま出そうなのが気になったし、配信直前にそれでも配置してみようとしたらアプリケーションが終了したので、大事を取って触らずに済ませた。

Zoomで画面共有したものはStreamlabs OBSを通してYoutube配信した先の視聴者には見えていなかった

ZoomではChromeタブを画面共有し、Googleマップのトゥールーズの主な写真を見ながら話に花が咲いていた。ところが、このZoomの画面をさらに画面共有(ウィンドウキャプチャ)しているSLOBSを通したYoutube配信では、GoogleマップではなくずっとZoomの参加者画面が映っていた。

考えてみればそういう可能性は想像してテストしておくべきだった。ライブ中、この間に視聴をやめる方がいなかったのは皆さんの親切と忍耐、ありがたいと言う他ない。なお現在公開中のアーカイブでは、問題部分はZoom側での録画に差し替えたので、何も問題がなかったように見える:

先生方の声が放送では小さすぎた

リハーサルでもこの差は大きく感じられ、Zoomの設定で「マイク音量を自動で調整」にチェックが入っているにもかかわらずマイク音量アイコンが動くというバグ状態に気づき、チェックを入れ直して体感上は解決し、そこでYoutubeでも再度確認する前に時間切れとなっていた。

安心感を持って本番に臨めてかえってよかったかも知れないが、後で配信を確認したところYoutubeでは先生方の声(=Zoom参加者の話し声)は小さいままだった。

動画ファイルを配信中に生音の雑音が入った

知らせてくれたのはユイエ先生で、気がつかなかった方も多いかもしれないが、SLOBSでメディアファイル以外の音量を全て絞っているのにどこから入っているのか?

今回、Zoomで参加者の声をSLOBSを通して放送に入れるにあたり、Macはデフォルトでデスクトップ音声を出力させる装置がないという事で、BlackHoleとLadioCastをインストール、設定していた。

このうちLadioCastの入力2に外部マイクが設定されていたので、それを絞って、また、設定自体外してみた。しかしまだ雑音は聞こえるらしい。

動画ファイルが終わりに近づき、退席していたユイエ先生がZoomライブ画面に戻ってきたところで、先生の雑音がイヤホンに聞こえ、これか!と、Zoomで先生と私のマイクをミュートした。Zoomでご参加の視聴者の皆さんはきちんとミュートにされており、まったく優秀である・・。

Streamlabs OBSの音声配信の問題点

BlackHoleやLadioCastの使用で音の配給ルートが複雑化していたとはいえ、そのような配線をする前からSLOBSでメディアファイルの音声配信はできていた訳で、そこにZoomの音が混ざるとは、SLOBSが一体どんな方法で「メディアファイルの音」を取ってきているのか、謎である。

文章だけでは判りづらいので、設定した画面のスクリーンショットを撮ろうとして、さらに仰天。インストールできてもアプリケーション一覧に出てこなかったり、インストール失敗が続いたSoundFlowerがSLOBSのMixerに鎮座! もちろんSLOBSに設定した覚えはない。
同じくSLOBSに設定する前に却下したBackgroundmusicもいる。そして逆に、配信時に使ったBlackHoleは消え、アプリケーション一覧からも消えている。

タンタンの絵本で、登場人物の頭の上から「?」だけでなく「☆」がいっぱい出ている場面があるが、もはやそんな感じ・・。複雑なルートの要らないWindowsパソコンのほうが良いかも知れない。

Streamlabs OBSもZoomも、お互い連携を想定して設計されてはいない

Streamlabs OBSがZoomをキャプチャしても、音は別に取ってこなければならないし(「Zoomから出ている音」というのを選択するところはない)、「Zoomが画面共有しているもの」をキャプチャはできない。

Zoomの側も、Streamlabs OBSにキャプチャされる想定にはなっていない。おそらくZoomから直接Youtubeに配信した場合には、各参加者の声量は自動調整された状態で届くのだろうけれど。

うまくできた事も少しは記しておこう

生配信中に流したビデオ映像は、ふつうのYoutubeと遜色なく、最高の音質・画質だったと思う。

Zoomにも「音楽とプロフェッショナルオーディオ」>「高忠実度音楽モード」という設定はある。しかしオーディオマニアの方に確認してもらったところ、あくまで双方向コミュニケーションツールとしての最上級を目指したもののようだった。

(後記:私のライブ配信開始1時間後に2月1日となったサンノゼ本社のZoomでアップデートがあり、Zoom内蔵のビデオプレーヤーで動画を配信することが可能になったらしい。オーディオマニアの方との実験では2人しかサインインしていなかったためP2P通信になった可能性もあり、この新機能は確認してみたい。)

StreamyardのChrome画面共有(音声付き)はもちろんそれ以下であった。

その後、ニコニコ生配信に「動画を引用」という機能があるのを知り、有料会員登録までしてそれも試したが、引用の際の劣化は少ないものの、同じ動画ファイルをアップロードしたストリーミング動画が、ニコニコ動画とYoutubeでは「AMとCDくらい違う」との事であった(東京交響楽団さんのニコ生配信などは特別仕様なのかも知れない、との事)。

難しくても、録画済み演奏ファイル×生トーク出演は最高だと思う

演奏は音質よくお届けしたいし、生出演でのリアルタイム感、双方向コミュニケーションの充実感は欲しい。まだまだ続くコロナ禍では当然の欲求だと思うが、これを(個人ができる安価な方法で)やろうとすると今のところ、選択肢は驚くほど少ない。

設定方法の情報も少なく、知らない方々のブログにずいぶんお世話になったが、全て分かるには至っていない。