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夜間金庫のこと


この記事をもとに近々zineを発行します。

みなさんは「夜間金庫」をご存知だろうか。

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これ。
銀行の出入り口のそばの壁にひっそりとくっついている謎のアレ、それこそが夜間金庫だ。

子供の頃からこの夜間金庫が気になって仕方がなかった。

まず「夜間」というのが良い。
夜にはいろんなことが起こる。
良いことも、悪いことも。

それらを全て見てきたはずの夜間金庫たちは、しかし、何も語らない。
そのミステリアスさ。
勝手に物語を紡ぎ出したくなる。

白い銀行の外壁に撃ち込まれたかのような金属製の扉。
夜になると短い蛍光灯でもってぼんやりと照らし出される一角。
異世界への入り口を思わせるそこ。

不気味で、それでいて魅惑的な夜間金庫の存在は、大人になった今でも心の底にこびりついている。

そもそも夜間金庫って?

そもそも夜間金庫とは何なのか。
地方銀行のホームページにはこうある。

「夜間金庫サービス」とは、お客さまの売上現金や証券類(小切手・手形類)を、夜間金庫収納控票・入金伝票および通帳等とともに入金袋に入れ施錠のうえ、営業店店舗外壁に設けられた投入口から店舗内金庫に投入し、営業店が翌営業日に金額を確認のうえ指定の預金口座に入金処理するサービスです。

この銀行の場合、月額使用料は一袋あたり原則6,600円(消費税等込)とのこと。

つまりは、銀行の営業時間外(必ずしも日がとっぷりとくれた夜とは限らない)に、売上金等を袋に入れ、夜間金庫から銀行内へ投入することで、
翌日銀行が顧客に代わって専用口座へ入金してくれるという仕組み
なのだ。

Amazon等で検索すると、夜間金庫投入用の袋が販売されている。

夜間金庫を利用した犯罪

夜間金庫について調べていると必ずたどり着くのが、1973年、今から50年ほど前に発生した「大阪ニセ夜間金庫事件」だ。

大阪は梅田の銀行に偽物の夜間金庫が設置されたという事件。
現金を投入した客が不審に思って通報したため事なきを得たというが、通報時には偽夜間金庫と知らない客が2000万円(当時)をこえる現金を投入していたというから、なかなか笑えない話しではある。
結局犯人は捕まらず、1980年に時効が成立した。

被害を受けそうになった方たちにとってはたまったものではなかったと思うが、なんともユニークなこの偽金庫事件は何度かドラマ化されているとのこと。

ちなみに何度か模倣犯が出ており、一番最近の偽夜間金庫事件は、なんと2006年。
意外と最近で驚いた。

消える夜間金庫

現在、夜間金庫は減少を続けている。

コンビニエンスストアのATMの普及や夜間の集金に対応する警備会社の登場などで必要性が薄れていた。夜間金庫の終了で経費削減効果も期待できる。

というのがその理由のようだ。

町を歩いていると、銀行の外壁に金属の板のようなものが打ち付けられた謎の空間を目にすることがある。
おそらくそれが廃止になった夜間金庫の跡だ。

今後やってみたいこと

「夜間金庫の写真集を作りたい」

これが現在の密かな野望である。

確かに、わざわざ写真を撮りに行かなくても、夜間金庫を見ることは可能だ。

例えばグーグルマップで全国の銀行という銀行をくまなくチェックしさえすれば、あらゆる夜間金庫の姿を見ることができる。

それに今は感染症流行中なので、隣県へ夜間金庫探しに行くことすらままならない。

しかしそれでも、と私は思う。
自分の目で確かめ、その瞬間に感じたことも一緒に記録していけば、何か形になるものがあるのではないか、と期待する。

加えて、近々消えてしまうと思われる夜間金庫ではあるが、関心が高まり、興味を持つ人が増えれば、夜間金庫の周辺に人の目が集まり、結果として現在も利用し続けている人たちの安全につながるのではないかと考えている。

手始めに、夜間金庫に関するZINE(フリーペーパー)を作ることができたらいい。

最後に、この記事は筆者が夜間金庫に対して感じるロマンを語るためのものであり、決して上記で取り上げたような犯罪行為を推奨するつもりはないし、ましてや容認するものでもないことを明記しておきたい。

ほんとです。

🍩食べたい‼️