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カナブンに神様と呼ばれる方法


森へ行くと、ひそひそ声が聴こえます。

「あ、神様だ!」、「神様こんにちは!」

「あの女の人が神様だよ。」

ヒソ…ヒソ…ヒソ…

草木や虫や小鳥たちの視線を感じます。


私がなぜカナブンに「神様」と呼ばれるようになったのか?

今日はそれをお話しします。

皆さんはひっくり返ったカナブンを見たことがありますか?

ひっくり返っているカナブンは、

「神様助けて!」と言いながら足をバタバタさせています。


勢いよく飛んでいるカナブンは、急に止まることができません。

勢いよく飛んできたと思ったら、

ゴン!とコンクリートのかべに激突して、

バルコニーやマンションの共用廊下の溝でひっくり返っていることがあります。


なぜか、ひっくり返ったカナブンは自力では起き上がれないようです。

最初は足をバタバタさせているのですが、

次第に体力が失われ、足の動きがゆっくりになって行きます。


私が通りかかると、「神様助けて……」と声が聞こえるので、

すぐに助けてあげるのです。

素手で触るのはちょっと気持ち悪いので…。

部屋から紙を取ってきて、

ひっくり返ったカナブンをもとの位置に戻してあげます。


救出後は体を固めてぴくりとも動かないカナブン。

死んだのかな?と思っていたら、

突然「ブン!」と飛んで行きます。

「神様!ありがとう!」

そう言いながら、カナブンは飛んでいくのです。


夕方になると、カナブンは森へ帰ります。

楠木の幹で休むカナブンもいます。

楠木は、「おかえり、今日はどうだった?」と優しくカナブンに話しかけます。

カナブンは、「今日は神様に命を助けてもらった!」と嬉しそうに答えるのです。


楠木とカナブンはテレパシーで会話をしています。

驚くことにカナブンは「ランダムには飛んでいない」と言うことを、

この間助けたカナブンから聞きました。

彼らの頭の中には、グーグルアースのような地図が入っており、

G P Sのような機能もあるそうです。


その個体がどこを飛行したのか、

どこで餌を食べたのか、

どこで危険な目にあったのか、

どこに何があるのか、

そのような情報が記録され、更新され続けます。


またそのデータは、カナブンの集合体で全体で共有されるのだそう。

勿論、カナブンを助けた「神様」についての

視覚、嗅覚、温度データや居場所も記録されます。

それはカナブン全体の集合体のデータで共有されるのです。

またデータは、木々ともテレパシー会話で交換されるのです。


木々たちは動けませんが、

こうやって昆虫から世界中のデータを受け取っているのです。

だから、私がカナブンを助けた回数も記録されるのです。

ある一定の回数を助けると

カナブン集合体から「神様」と呼ばれるようになります。

飛んでいるカナブンが、バルコニーを横切る時も、

「神様こんにちは!」と言いながら飛んでいます。


あなたもカナブン達から「神様!」と呼ばれることが出来ます。

カナブンに神様と呼ばれる方法は簡単です。

カナブンがひっくり返っていたら、

そっと助けてあげましょう。

すると、あなたのデータもカナブンの集合体に記録されます。


神様と呼ばれるほど、カナブンを救出していなくても、

あなたがカナブンに親切にしたことはデータに記録され、

自然や木々たちから

「カナブンの命を助けた人」としてそっと見守られるでしょう。




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